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Excel での手計算と 3 次元公差解析ツールはどこが違うか?

事前定義、精度、結果の確認など、プロセスごとの比較表付き

簡単な計算や小規模なプロジェクトではExcelでの手計算でも十分な場合がありますが、部品点数が増えてくると手計算では時間がかかる上、人為的ミスのリスクも高まります。一方、3 次元公差解析ツールは、3 次元CADモデルを活用して高度な計算を短時間で行えるため、精度と効率を向上させることができます。

公差解析を行うには、図面などから必要な情報を集め、ループ(寸法の繋がり) を完成させる必要があります。この例におけるアセンブリ要件 M ( 解析寸法 ) は、2 つの部品間でシール性が維持されるかを表しています。ループは A-E の寸法経路によって定義されます。寸法 A の始点は測定終点(解析寸法) 1 つであり、もう一方の終点は寸法 E の終点と一致していることが重要です。この寸法経路は、適切な公差解析を行うために必要な閉じたループを形成します。

 

Excel でこのループを解析するには、CAD モデルまたは図面から、必要な寸法のノミナル値と公差値を確認し、シート上に入力する必要があります。さらに、各寸法が定義されたループの方向と同じか(1)、反対か(-1)を指定します(下図のVector列を参照)。結果としてExcel のシートは、最終的には以下のようになります。

公差解析シートの例

ズバリ、ここが違う!Excel での手計算と 3 次元公差解析ツールを徹底比較

上記の解析例に基づく比較

まずは、上記の解析例に基づきどこが違うのかを解説します。

 

要件 Excel 分析 CETOL 6σ
測定(解析寸法)の定義

Excel 上でプログラムされた方程式などに基づいて入力

ミスが生じる可能性あり

3 次元CAD モデル上で直接設定

ノミナル値を自動で算出

ループの作成

断面を使用してループを描画するか、手描き図ベースで手動で決定

設定変更時は描きなおしが必要なことも
部品の拘束や寸法設定することで、ループを自動生成
ベクトル +1 または -1 の定義

Excel のシートに手動で入力

ミスが生じる可能性あり

解析時に自動で算出

寸法の入力

図面または CAD モデルからノミナル値を手動で入力ミスが生じる可能性あり

寸法を設定することでノミナル値は自動入力

公差の入力 手動で入力

ツール内で入力、または3Dアノテーション自動読み取り

CAD モデル変更時の評価 手動で更新 モデルの再読み込みで変更内容を反映

その他、ばらつき解析でよく使用される機能を比較

下記はばらつき解析でよく使用される機能で比較した表です。

 

要件 Excel 分析 CETOL 6σ
2次元、3次元での解析 寸法寄与度(感度やレバー比)を手動で計算する必要がある 設定に基づき、寸法寄与度を解析時に自動計算
がたの考慮 別途算出が必要
詳細な組立条件の再現は困難

設定により自動で算出、解析結果に反映される

がたのランダム性など、より現実に近い組立条件を考慮可能

複数のループ(解析寸法や組付条件)の管理

Excelのシートごとに管理

または大きな 1つのシートにそれぞれの結果を配置
1つのモデルに対して複数のループを設定して一度に解析が可能
結果の比較 複数のシートなどにまたがっての結果の確認が必要 専用のポスト処理画面で、複数の結果の一覧比較が可能
標準化 計算式、レイアウト、レポート形式など、属人化している場合も多い

アドバイザー機能あり

設定の過不足などを警告、誰でも同じ環境で解析が可能

自動レポート機能あり

類似モデルへの設定流用も可能

結論

3次元公差解析ツールの活用によって、より複雑な製品の解析も精度よく効率的に行うことが可能となり、ミスの削減、標準化、CAD モデルとの連携、結果の視覚化のほか、さまざまな公差解析のニーズに対応できます。

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