幾何公差入門
幾何公差とは?図面の曖昧さをなくし3DAを実現する基礎知識とメリット
「寸法公差から幾何公差に移行する企業が増えている。自社でも検討したほうがいいと感じているが、改めて”幾何公差”とは、どのようなものか?」
「3DA/PMI の利用促進には、幾何公差の理解が必要になりそう。幾何公差にはどのようなルールがあるの?」
昨今は DX 推進に伴う 3D CADデータの活用促進を受け、図面鎖国と言われてきた日本でも幾何公差の活用を本格的に検討すべき場面が増えてきました。
だからこそ、ここに来て「改めて幾何公差とはどのようなものか」気になっている方は多いのではないでしょうか。
幾何公差とは、形状や姿勢、位置関係などの誤差の許容範囲を指示して規定する方法です。
寸法公差とは異なり、湾曲や変形なども規制できるため、曖昧さをなくし、設計者の意図を正確に伝えられる点が特徴です。
3Dデータ活用を進めていくにあたっては、利用しているソフトウェアなどが、データに付与された情報の意図を正確に解釈できる(マシンリーダブルである)ことが必要です。そのため、曖昧さをなくすことができる幾何公差の特性が重要になってくるのです。
幾何公差とは
幾何公差には「形状公差」「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」の4つの分類があり、ルールに沿って正しく記載します。
幾何公差は寸法公差とは異なる考え方、ルールがあるので、現場の設計者任せにしていてはなかなか社内での活用は進みません。
この記事を読むと分かること
2-1.寸法公差では指示しきれない曖昧さを排除した設計者の意図を伝えられる
2-2. 図面のデジタル化(マシンリーダブル化)を実現でき、DX につながる
4-1. 公差記入枠の記載方法(幾何特性記号・許容値・データム記号)
幾何公差の基礎知識を理解したうえで、設計以外の部門や取引先へも教育機会を設け、計画的に導入できるようにしましょう。

そこでこの記事では、幾何公差の概要や導入が必要な理由、書き方などをまとめて解説していきます。
最後まで読めば幾何公差の基本を理解できます。幾何公差の導入、活用に向けて、まずは基礎知識をしっかりと身につけておきましょう。
1.幾何公差とは

冒頭でも触れたように、幾何公差※とは、形状や姿勢、位置関係などの誤差に対する許容範囲を指示して規定する方法です。
幾何公差を導入することで、公差指示を明確化して曖昧さをなくし、設計者の意図を正しく表現できます。

例えば、寸法公差で以下の指示をした場合を考えます。
- ・ 横幅は100mm
- ・ 許容範囲はプラスマイナス0.5mm
- ・ 厚みは50mm
- ・ 許容範囲はプラスマイナス0.3mm

この場合、規制できない部分は図面の読み手の解釈に委ねられることになり、左の図のように表面が凸凹な仕上がりになってしまうことも考えられます。
ここで、幾何公差を利用すると、下図のように、
・ 平面度(どれだけ平らな面であるべきか)
・ 平行度(基準に対してどれだけ平行であるべきか)
など、形状や姿勢を明確に指示できます。
(幾何公差の記入ルールは「3.幾何公差の分類と種類」「4.幾何公差の記入ルール」で解説しています)
「2-3.諸外国でも通用する図面が書ける」で詳しく触れますが、日本の製造現場では現在も寸法公差が使用された図面が多く見られます。しかし、寸法公差は図面上の 2 次元的な情報に基づくため、製品の立体的な形状や機能要求を十分に表現できず、曖昧さが残り、人によって解釈が異なるケースがありました。
幾何公差では、長方形の長さや厚みといった寸法情報に加えて、形状・姿勢・位置関係といった 3 次元的かつ細かな要件まで指示することができます。その結果、設計側と生産側との間で認識のずれが生じにくくなり、設計意図どおりの製品をスムーズに製造できるようになります。
幾何公差の導入にお悩みの場合は、お気軽にお問い合わせください。
※補足:JIS(日本産業規格)B 0021では、「製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式」と定義されています。
2.幾何公差を導入するべき3つの理由

幾何公差の概要が理解できたところで、なぜ今、幾何公差を導入するべきなのか気になるところでしょう。
弊社が2024年に開催したセミナーでのアンケート結果では、81%の企業が幾何公差での図面指示を実施、もしくは実施に向けた準備を進めていることがわかりました。
今、幾何公差を導入するべき背景には、主に下記の3つの理由があります。
- 寸法公差では指示できない曖昧さを排除した設計者の意図を伝えられる
- 図面のデジタル化(マシンリーダブル化)を実現でき、DXにつながる
- 諸外国でも通用する図面が書ける
ここからは、幾何公差を導入するべき具体的な理由を解説します。
2-1.寸法公差では指示しきれない曖昧さを排除した設計者の意図を伝えられる
1つ目は、寸法公差では指示しきれない曖昧さを排除した設計者の意図を伝えられることです。
設計図面に公差指示を記載する方法には、主に「幾何公差」と「寸法公差」の2種類があります。
| 項目 | 幾何公差 | 寸法公差 |
|---|---|---|
| 概要 | 形状や姿勢、位置関係などの誤差の許容範囲を指示して規定する | 基準寸法に対して許容できる範囲を指示して規定する |
| 規制対象 | 形状や姿勢、位置関係など | 長さや厚み、角度 |
| 計測方法 | 明確な基準をもとにルールに従って測定 | 2点間測定 |
| ポイント | ・基準・ルールが明確なため、人によって解釈が異なることがない ・曖昧な指示をなくせる |
・湾曲や変形の程度や基準の取り方などは明確に指示されない ・曖昧さが残るため意図と異なる解釈をされるリスクがある |
従来の寸法公差ではどの程度表面に凹凸があるのか、基準に対して傾斜しているのかなど、各部の詳しい形状や姿勢が指示できません。

そのため、寸法公差による指示だと、左の図のように許容誤差の範囲内で円が複雑に歪んだり、中心がずれた円になったりなど、意図する形状になっていない可能性があるのです。
幾何公差なら、寸法公差の課題である曖昧さを排除し、図面をもとに製品に求められる要件を正しく共有できるようになります。
設計側と生産側との間で認識のずれが起こりにくくなることで、製品品質が向上したり、関係者間の調整にかかる工数や、設計への手戻りを減らしたり、といった効果が期待できます。
2-2. 図面のデジタル化(マシンリーダブル化)を実現でき、DX につながる
昨今、製造業では、製造データをデジタル化して、業務効率化や他社との差別化を図るDX化が進められています。
図面指示についてもデータ化し、コンピュータでその内容を解釈できるようにしたいところですが、曖昧さの残る寸法公差ではこれが難しいのです。
人間が図面を読む場合は、経験なども含めた公差指示以外の情報から判断して基準を決めることもできましたが(ヒューマンビジブル)、コンピュータ相手ではそうはいきません。
一方、幾何公差では優先度や基準が明確にできるため、人間が介在しなくても、データ上の公差指示の情報だけで意図を正しく伝えることができます(マシンリーダブル)。
あらかじめマシンリーダブルな幾何公差を導入しておくことで、DX推進の基盤が整えられるようになります。
3DA の導入にも幾何公差での指示は必要不可欠
製造業DXの取り組みの一つとして注目されてきている 3DA(3D CADモデルに寸法・公差・注記などの製造情報を直接埋め込む手法)にも、幾何公差は必要不可欠です。
3DA/PMIでは、情報を3Dデータに集約することで各工程に必要なソフトウェアや設備でその情報を活用・自動化、といったメリットが語られますが、その恩恵を受けるためには、マシンリーダブルなデータが作成できていることが前提だからです。
3DAについては、こちらの記事もご参照ください。
3DAモデルがあたりまえの未来に向けて
2-3.諸外国でも通用する図面が書ける
3つ目は、諸外国に通用する図面が書けるようになることです。
日本では製造現場で図面から意図を汲み取り、今までの知識や技術で加工をする能力が高かったため、寸法公差が使用された曖昧な図面でも品質を担保できていました。
しかし、世界的には、図面に書かれていること以外はやらなくても問題ない、という考え方が主流です。必要なことは図面の中に明確に指示しておくことが重要になるため、曖昧さを許してしまうと製品が意図した通りの仕上がりになりません。

実際、欧州やアメリカでは、国際的な標準規格である「ISO 1101」や「ASME Y14.5」に沿って、幾何公差が品質を担保する手段として広く普及しています。
寸法公差では海外企業に発注をするときに思ったように設計意図が伝わらず、予期せぬ品質トラブルが起こる可能性が高くなります。
つまり、グローバル化に対応するには、幾何公差での指示が必須なのです。
先ほども解説したように、幾何公差では形状や姿勢、位置関係を細かく指示でき、誰が見ても同じように理解できます。そのため、国を越えて図面を共有しても、解釈が異なることが起こりにくいのです。
日本産業規格のJIS B 0420-1:2016「製品の幾何特性仕様(GPS)-寸法の公差表示方式-第1部:長さに関わるサイズ」の解説では「現状の多くの日本の図面では、決して欧米諸国などの技術者には理解されないものになってしまう」と警鐘を鳴らしています。
日本は幾何公差後進国とも、言われています。企業がグローバル化に対応して活躍できる幅を広げるには、幾何公差図面の読み書きができるようになることが急務と言えるでしょう。
3.幾何公差の分類と種類
幾何公差は、下記の4つの分類に分かれています。
| 幾何公差の分類 | |
|---|---|
| 形状公差 | 対象形体の基本的な形状を規定する幾何公差 |
| 姿勢公差 | 基準に対しその形体の姿勢を規定する幾何公差 |
| 位置公差 | 基準に対しその形体の位置を規定する幾何公差 |
| 振れ公差 | 回転軸を中心に対象物を回転させたときにその形体の振れを規定する幾何公差 |
形体に規定する内容により、どのような幾何公差を指示するのかが異なります。
幾何公差を指示するための記号や具体例は、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
「幾何公差の分類」
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4.幾何公差の記入ルール
幾何公差を指示するには、以下の2つを知っておく必要があります。
・ 公差記入枠の記載方法(幾何特性記号・許容値・データム記号)
・ 図面への指示方法
幾何公差を使用するための基礎となる部分なので、把握しておきましょう。
4-1. 公差記入枠の記載方法(幾何特性記号・許容値・データム記号)

幾何公差を指示するときは、左図のように幾何特性記号と許容値、データム記号の3つを指示します(データム記号は形状公差の場合には不要)。
それぞれどのように指示をするのか、1つずつ確認していきましょう。
4-1-1.幾何特性記号
幾何特性記号とは、「3.幾何公差の分類と種類」で解説した幾何公差の種類を示す記号です。幾何公差を指示するときに一番左側の枠に記入し、どの幾何公差を指定するのか明確にします。

例えば、このような表記がある場合は、平面度の幾何公差を指定していることになります。
幾何公差は種類が多くて使い分けが難しそうと感じるかもしれませんが、すべての幾何公差が記号化されています。記号を記入するだけで、どのような幾何公差を指定しているのかしっかりと伝えられます。
4-1-2.許容値

幾何特性記号の隣には、許容値を記入します。許容値とは公差値、つまり左側で指定した幾何特性の許容範囲で、具体的な数値で示します。下記の場合は、真円度の公差が0.05mm以内におさまることを指示しています。
許容範囲外の製品を避けるための明確な判断基準となるので、機能を確保できる精度や加工の難易度などを考慮しながら、適切な許容値を設定することが重要です。
4-1-3.データム記号
データムとは、指定した幾何公差に基づき加工や寸法測定をする場合に基準とするための、製品の形体から得られる理想的な面や線、点などを指します。

データムを定義するために用いる製品上の形体がデータム形体であり、左図の場合は、下面をデータム形体として指示していることになります。
例えば、平行度では、参照データムを指定することで、そのデータム形体となる面や線と平行になるように加工や検査を行います。

幾何公差が参照するデータムは、一番右の枠に大文字のアルファベットで記入します。
図面上ではどの形体がデータム形体に当たるのか指示するために、データム三角記号とデータムのアルファベットを記入して、指定したい面や線などを指示します。
幾何公差の中でもデータムの指定が必要なのは、以下の3つの分類に属するものです。
・姿勢公差
・位置公差
・振れ公差
※詳細は「幾何公差の分類」をご覧ください。
該当する幾何公差の場合はデータムを記入して、基準となる面や線などを指定します。
【データムに優先順位がある場合】
参照するデータムを複数定義する場合は、優先順位の高い順に左側からアルファベットを記入します。
下記の場合は、データムBを優先していることが分かります。
データムの優先順位は、部品の組み立て順序や加工機への取り付け順序なども考慮した上で、製品の設計意図に沿って設定しましょう。
▼データムについては、下記の記事で詳しく解説しています
データムって何だ? 誰も教えてくれなかった!幾何公差の基本の「き」
4-2.図面指示の方法

幾何公差の情報を図面上で指示する場合は、指示する面や線などに指示線を垂直にあてます。指示線と幾何公差記入枠を結ぶことで、どの箇所への指示なのか明確にできます。
また、中心平面や軸線を対象に指示をする場合は、基本的には寸法線と一直線上に指示線を書きます。どちらの場合も幾何公差記入枠は図面に対して水平に配置するようにしましょう。
5.幾何公差の定着は教育機会を設けることが大切

ここまで、幾何公差の基礎知識をまとめて解説してきました。
3DA/PMIの活用や今後の動向を見据えて、幾何公差の導入を進めたいと感じた担当者様も多いのではないでしょうか。
幾何公差の導入を進めるには、会社として教育機会を設けることが非常に重要です。
なぜなら、幾何公差導入は下記のような点がハードルになりやすく、個人や設計を担当する部署だけに任せていてもなかなか導入が進まないためです。
【幾何公差を導入するときのハードル】
・社内に幾何公差を熟知している人材がいない
・書籍だけでは寸法公差との違いや幾何公差の考え方が理解しにくい
・設計技術者だけが理解していても、製造現場や購買部門と足並みが揃わない
幾何公差では製品の設計に関わる基本的な部分は変わりませんが、特有の考え方や解釈のルールなどを身につけなければなりません。
この部分が規格や参考書を見ても理解しにくく、実務で活用できるレベルになるまでには時間がかかることが予想されます。
また、少なくとも社内で図面を取り扱う可能性がある部署、場合よっては取引先に至るまで、幾何公差図面の読解ができる体制を整える必要があります。設計が幾何公差を使用した図面を出図したものの、製造現場や発注先で対応ができず、従来方式での公差指示を要望される、というのはよく耳にする話です。
実際に弊社が実施した「幾何公差入門セミナー」参加者へのアンケート調査では、社内教育の充実や実図面を用いた指導など、教育機会を望む声が多くありました。

現場で幾何公差を活用したいと思っている技術者も、より実践的な教育の機会を望んでいることが分かります。
だからこそ、幾何公差を導入したいと思ったら、まずは教育体制を整えるところからスタートしましょう。
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6.幾何公差の導入を推進するためのコツ

幾何公差の導入は社内への教育から開始して、現場に定着するまで段階を踏みながら進める必要があります。
ここでは、幾何公差を推進するためのコツを導入ステップに沿ってご紹介します。
幾何公差の導入を検討するときに、何をすればいいのか分かるようにまとめましたので、参考にしてみてください。
▼幾何公差の導入時のポイントは、下記の記事でも詳しく解説しています。 幾何公差の必要性と導入するときの3つのポイントを分かりやすく解説
6-1.幾何公差を使うための知識を養う
まずは、先ほども触れたように、幾何公差を使うための知識を養いましょう。
このときに重要なのは、幾何公差の学習を設計者個人に委ねずに、企業として教育する機会を設けることです。
公差指示方法の変更は、図面を取り扱う部署全てに影響があるため、個人や単一部署レベルの活動では完結しません。
また、技術者間の理解に差が出ると、社内の技術者の足並みが揃わないことも考えられるでしょう。
幾何公差が導入できる基盤を整えるために必要な投資だと捉え、企業として幾何公差をしっかりと学べる機会を創出してみてください。
「7.幾何公差教育支援」で詳しく解説していますが、弊社では幾何公差教育をサポートする講座、動画を提供しています。
幾何公差教育の第一歩として、ぜひご活用ください。
6-2.幾何公差を使う環境を定着させる
幾何公差の教育が進んだところで、続いて幾何公差を使う環境を定着させましょう。
設計技術者だけが幾何公差を理解していても、全社的に幾何公差を活用する意義を理解できていなければ、他部門の反発を招いたり、正しい解釈ができなかったりなどのリスクがあるからです。
会社として幾何公差導入を推進する姿勢を示すためにも、幾何公差定着に向けた計画を立てて進めましょう。
特に、重要なのは、現状の課題を払拭して、幾何公差に関する共通認識を持てるようにすることです。
例えば「幾何公差を使うと負担が増える」と感じている社員が多い場合には、工数削減につながる可能性があることを示し、幾何公差を使う意義をしっかりと説明します。
誰もが幾何公差を使うことに納得できる状態にすることで、全社的な導入が推進しやすくなるでしょう。
6-3.公差解析ツールを使い効率化する
幾何公差が推進できる環境が整ったら、ツールを導入して効率化しましょう。
製品の各部に公差を設定する場合、製品が求める性能を満たしているか、ばらつきの範囲が基準内かを確認するために、一般的には公差解析を行います。
Excelなどを使って公差解析をする場合もあるかと思いますが、幾何公差による3次元的なばらつきまで考慮しようとすると非常に難易度が高くなります。
そこで、3次元公差解析ツールを活用すると、画面上の3D CADモデルを基に公差の検討を行うことができます。頭の中にある構想を可視化でき、確認しながら幾何公差を設定できます。
特に、部品点数が多い場合や複雑な製品を手掛ける場合は、公差解析ツールの活用によって製品設計の問題点に気づけたり、公差設定のミスを防いだりすることが期待できるでしょう。
3次元公差解析ツール「CETOL 6σ」は、使いやすさにフォーカスしたインターフェースで、幾何公差での公差解析・公差設定を強力にサポートします。
実際に「手作業では算出の難しい公差解析で、精度を維持しながら効率よく業務ができている」「工数削減につながった」「ロスコスト削減につながっている」などの声も届いています。
CETOL 6σ については、お気軽にお問い合わせください。
▼CETOL 6σの活用事例
公差解析ツールの活用により組立品質が向上し、 大幅なロスコスト削減に (グローリー株式会社)
自動車用電子制御装置の筐体設計における幾何公差・3Dの活用(株式会社デンソー)
7.幾何公差教育支援
「5.幾何公差は教育機会を設けることが大切」でも触れたように、幾何公差は寸法公差と考え方やルールが異なるため、正しい知識を習得することが大切です。
とは言え、どのように教育機会を作ればいいのか悩んでいる担当者様も多いでしょう。
サイバネットは、幾何公差教育サービスを提供しています。
1985年の創業以来、科学技術とデジタル技術の両面に精通した技術者集団として様々なサービスを提供してきました。
幾何公差教育にもいち早く取り組み、多くの企業様の幾何公差導入を支援してきました。
ここでは、弊社が提供している幾何公差教育サービスを簡単に紹介しているので、ぜひご覧ください。
7-1.オンラインで基礎から学べる「幾何公差講座」
弊社では長年図面の幾何公差化に取り組んできた幾何公差のエキスパートとタッグを組み、オンラインでの幾何公差講座を実施しています。
幾何公差を基礎から学べる「幾何公差 学びなおし講座」と自由度のある設計ができる知識を学ぶ「幾何公差方式入門講座」の2つをご用意しています。
| 幾何公差講座 | |
|---|---|
| 幾何公差 学びなおし講座 | ・「幾何公差をもう一度基本から学びたい」「幾何公差化を推進したい」など、幾何公差の活用を検討するときにおすすめの講座 ・各用語の基礎知識や図示例、指示する際のポイントをディスカッションなどを含めながら実践的に学べる |
| 幾何公差方式入門講座 | ・「幾何公差 学びなおし講座」後や幾何公差を読む、書く経験のあるエンジニアにおすすめの講座 ・自由度のある幾何公差設計を目指して幾何公差指示に必要な「データム・システム」を正しく理解できるように、演習やディスカッションを通じて実践的に学べる |
どちらも一方的に話を聞くだけではなくディスカッションや演習など双方向での学びを通じて、現場で使える知識を習得できる点が特徴です。

幾何公差 学びなおし講座を受講した技術者の方からは「幾何公差の土台を構築できた」「テキストにはない知識を習得できた」など、嬉しい声が届いています。
幾何公差講座についても幾何公差教育の第一歩としてぜひご検討ください。
7-2.無料動画でノウハウを学べる「幾何公差道場」
弊社が提供している「幾何公差道場」は、これから幾何公差の基礎を学びたい設計者様を対象に基礎知識や実践的なノウハウが学べるサイトです。
幾何公差の基礎から最新トレンドまでを動画にまとめて、分かりやすく配信しています。
| 幾何公差道場 | |
|---|---|
| 基礎 | 幾何公差の必要性やデータムの基礎知識など、幾何公差を活用する前に知っておきたい基礎知識を配信 例:幾何公差の必要性・データムの優先度 |
| 応用 | 幾何公差を実務で活用する方法とポイントを配信 例:幾何公差図面での公差解析のポイント |
| 情報箱 | 先進国である海外の動向や業界別に知っておくべき知識、情報を配信 例:幾何公差と3DAで開発プロセスの効率化 |
例えば、「幾何公差の必要性」の動画では寸法公差の曖昧さや幾何公差で指示した例などを踏まえて、なぜ幾何公差が必要なのか分かりやすくまとめています。

「幾何公差道場」は無料の視聴申し込みさえしていただければ、すべての動画を視聴でき、幾何公差の知識を深めることが可能です。
無料の視聴申し込みは最短10秒で完了しますので、ぜひ幾何公差の教育にご活用ください。
8.まとめ
この記事では、幾何公差の基礎知識と具体的な導入方法をご紹介しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
〇幾何公差とは、形状や姿勢、位置関係などの誤差の許容範囲を指示して規定する公差指示方法
〇幾何公差を導入するべき理由は下記のとおり
・寸法公差では指示できない設計者の意図を伝えられる
・図面のデジタル化(マシンリーダブル化)を実現でき、DX につながる
・諸外国でも通用する図面が書ける
◎幾何公差を記入するとき(公差記入枠)のルールは下記のとおり
1)一番左側に幾何公差の分類を示す幾何特性記号を記入する
2)幾何特性記号の右隣に寸法の許容範囲となる許容値を記入する
3)(姿勢や位置の幾何公差の場合には)一番右側に参照データムを記入する
データムの優先順位がある場合は、左側から優先順位順にアルファベットを記入する
〇幾何公差の導入時は教育機会を設けることが大切
〇幾何公差を推進するためのコツは下記のとおり
・幾何公差を使うための知識を養う
・幾何公差を使う環境を定着させる
・公差解析ツールを使い効率化する
幾何公差の導入は企業単位の課題として捉え、社内の足並みを揃えて進めることが重要です。
幾何公差の教育に課題がある場合や、幾何公差の導入を本格的に進めたい方は、ぜひお問い合わせください。
