従来の寸法公差方式で描かれた図面の場合、基準はどこになるかが非常にあいまいです。 一方、幾何公差方式の図面では、寸法の基準部分にデータム記号が指示されます。
幾何公差を使って図面を描くにあたって、必要不可欠となる「データム」。 このデータムについて理解し、使いこなすことで、設計側の意思を検査・製造部門や発注先へより正確に伝えることが可能になります。
「幾何公差」というと独特な指示の仕方が思い浮かぶかもしれません。この例では『位置度』の記号です。 データム文字記号のアルファベットが左に配置されているほど優先度が高くなり、最大3つまで指示することができます。複数のデータムを指定した場合はそれらをまとめて『データム系』と呼びます。
優先度の設定次第で、同じ形状の部品でも、検査の合否が変わってくる可能性があります。これがアセンブリ部品であった場合、組立時に突き当てる順番、つまり位置決めの順番によっては組めないこともあるかもしれません。よって、設計思想に沿った形で図面にはデータムの優先度を指示してあげる必要があります。
データムに指定した形体が平面でない場合でも、直交する3平面を定義出来れば「3平面データム系」が成立します。 データム参照について留意すべき点は、仮に製品でデータム形体が傾いていた場合、それを参照している幾何公差の公差域も連動して傾く場合があることです。 データム系の設定時には、データム形体はそれ自体がばらつく可能性があることを考慮に入れておく必要があります。
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