プリント基板の製造費用の中に、イニシャル費というものがあります。このイニシャル費とは主にフォトマスク(フィルム)やシルク版の作成、CAM編集、電気チェックの費用で、これらは製造する基板のサイズや枚数に関係なく必要になり、製造する基板の枚数が少量の場合はイニシャル費が製造費用全体の90%を越えることもあります。
イニシャル費は、一般的に試作の4層基板で20万円程度です(この金額は基板メーカーや基板の層数などの条件で変わってきます)。
例えば、40mm×20mmの4層板を10枚製造した場合、基板単価を1,500円とすると、
となり、イニシャル費の割合が93%となってしまいます。100枚製造した場合でも57%です。
少量で複数種類の基板を製造する場合、それぞれにイニシャル費がかかっては製造費用が膨らんでしまいます。そこで、小型の基板を組み合わせた状態で製造用データを作成し、イニシャル費を削減することができます。
3種類の基板を個別に製造すると イニシャル費=20万円×3=60万円 |
3種類の基板データをひとつにして製造すると イニシャル費=20万円×1=20万円 |
|
![]() |
![]() |
また、大型基板の外形にへこみ(凹)形状がある場合、このへこみ部分に収まる小型基板を組み合わせ大型基板の一部とすることで、小型基板のイニシャル費だけでなく基板単価もなくなり、大型基板の費用だけで小型基板がタダで製造できることになります。基板のへこみ部分は外形加工時に切り捨てられゴミとなってしまうので、材料=資源の有効活用にもなります。
L字形基板のへこみ部分は製造用面付けの組み合わせ方で活用できる場合があります。 | ![]() |
凹字形基板のへこみは活用が難しくゴミになってしまいますが、そこへ小型基板を組み合わせることで・・・ | ![]() |
このように、サイズが小さく納期や層構成などの条件に余裕がある基板は、別の基板と組み合わせることで製造費用を大幅に削減することができます。