幾何公差方式の国際規格として、ASME GD&T(Geometric Dimensioning & Tolerancing)とISO GPS(Geometrical Product Specifications)の2つが存在します(JISは基本的にISOに含まれます)。サイバネットシステムでは、CAEユニバーシティの講座の一環として近代幾何公差方式の教育プログラムをご用意しています。なぜ「近代」なのかと言うと、2大国際規格のASME及びISOのどちらも形体に固有の自由度によって合理的に幾何公差方式を扱うようになったことに由来します。 教育プログラムは、ISO 1101:2017準拠の「幾何公差 学びなおし講座」とISO 5459:2011準拠の「幾何公差方式入門講座」です。
「幾何公差 学びなおし講座」は、幾何公差教育の初級編として位置付けられます。初級とはいえ、最新の国際規格に準拠しており、耳慣れない用語も少なくありません。「学びなおし」には、今もなお寸法公差のみ、または寸法公差と幾何公差が混在する図面を書いている設計者に最新の幾何公差方式を学んでいただきたいとの気持ちが込められています。前半はISO準拠の幾何公差方式においてキーとなる基本ルールを解説し、後半は14種類の幾何特性について、見やすさと実用性を考慮した同一フォーマットの表に幾何公差記号、図示例、解釈、ポイントをまとめました。さらに、理解度向上のため随所に設問を配置しました。
「幾何公差方式入門講座」は、副題として「~自由度による幾何公差設計~」が付いています。近代幾何公差方式では、設計は優先順位を考慮しながら順にデータム形体を選択(すなわち、形体に固有の自由度を拘束)し、最終的に頭の中に理論的な「データム参照枠」を確立できなければなりません。そして、このデータム参照枠に対して公差形体の自由度を幾何公差によって統計的にコントロールします(これは、公差解析における入力に相当します。幾何公差を扱う人は公差解析もできなければなりません)。残念なことに、この概念を理解して図面を書いている設計者は国内に殆ど存在しません。そこで、近代幾何公差方式の「入門」として、本講座を開設しました。幾何公差教育の中級編に位置付けられます。上記の概念について、単純な形状のモデルを対象に動画と演習問題を用いて分かりやすく解説しました。この講座は、公差解析理論編をまとめた幾何公差方式アドバンスト講座につながっています。
先ずは初級編及び中級編を受講され、最新の近代幾何公差方式に触れてみてはいかがでしょうか?受講された方々から「多くのことに気づかされました」との好評をいただいております。