本年はCAEユニバーシティ講座を開講いたしまして、記念すべき10周年の年となりました。これもひとえに、お客様および関係者皆様のご支援とご指導の賜物であると、心より感謝しております。
さて、本年も昨年に引き続き「CAEユニバーシティ特別公開フォーラム」を開催する運びとなりました。今回はテーマを「シミュレーションをするためにヒトは何を考えるべきか?」としました。そもそもCAEとは何なのか、いかにして手段としてのCAEをモノづくりに活かすのか、に焦点をあて、モノづくりのためのヒトづくりについて、来場者の皆さんと一緒に考えていければと思います。
基調講演には横浜国立大学 大学院環境情報研究院 准教授 松井和己様をお迎えする他、ユーザー様による教育事例発表や、講師による各種講演、講師とユーザー様によるディスカッションなど、充実の内容でお届けいたします。
参加ご希望の日程をクリックしてください。申し込みフォームが表示されます。
日程 | 開催地 | 時間 | 受付状況 |
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2017/07/27(木) | 東京 | 10:30〜17:30 (10:00 受付開始) | ![]() |
※参加お申し込みの受付は終了しました。
開催場所 |
TKPガーデンシティ品川 地図 |
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定員 | 200名 |
参加対象者 |
※同業他社の方、また弊社判断によりお断りする場合がございます。 |
参加費用 | 無料(Webにて事前登録制) |
時間 | 講演内容 |
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10:30〜10:35 |
開会のご挨拶 サイバネットシステム株式会社 |
10:35〜11:30 |
基調講演
工学部時代の勉強はVerificationばかりだった!〜V&Vという観点から大学における教育と社会人向け教育との違いを分析〜 横浜国立大学 大学院環境情報研究院 准教授 松井 和己 様 |
11:30〜11:35 | 休憩 |
11:35〜12:10 |
講師講演
材料力学・CAE活用を1日で体得する発泡スチロール力学教材の開発岐阜大学 工学部 機械工学科 准教授 永井 学志 様 |
12:10〜12:45 |
講師講演
設計者CAEを推進するための秘訣 TMEC技術士事務所 所長 遠田 治正 様 |
12:45〜13:50 | 昼休み ※昼食は各自で手配くださいますようお願いいたします。 |
13:50〜14:25 |
ユーザー講演
解析融合設計実現を目指して〜CAEユニバーシティを活用した技術者教育〜 ブラザー工業株式会社 開発センター メカ基盤技術開発部 部長 秋山 茂樹 様 |
14:25〜15:00 |
ユーザー講演
座学+実験によるCAE技術の浸透〜実験結果依存文化との戦い〜 株式会社ロキテクノ 開発部 設計開発グループ 小田 英明 様 |
15:00〜15:20 | 休憩 |
15:20〜15:55 |
講師講演
CAEユニバーシティ講座(FEE実験室振動解析編)を準備するにあたって愛媛大学大学院理工学研究科 教授 中畑 和之 様 |
15:55〜16:30 |
ユーザー講演
CAE活用による設計技術力向上に向けて〜CAE研修を通じた組織の風土改革〜 デンソーテクノ 株式会社 CAE部 開発・促進室 主任部員 高野 守啓 様 |
16:30〜16:40 | 休憩 |
16:40〜17:30 |
パネルディスカッション
解析のスキルスタンダードとはコーディネーター 愛媛大学 中畑様 パネリスト 横浜国立大学 松井様 ブラザー工業 秋山様 デンソーテクノ 高野様 サイバネットシステム 井上 (メカニカルCAE事業部 技術部 副部長) |
17:30 | 閉会 |
17:40〜19:00 | 懇親会 |
※プログラム/名称などは予告なく変更する場合がございます。
横浜国立大学 大学院環境情報研究院
准教授 松井 和己 様
工学部で機械工学や材料力学を学んできたはずの技術者が、業務においてCAEを使いこなせないのはなぜなのか? どのような教育を受ければ、CAEを活用できる技術者になれるのか? 本講演ではそのような疑問をV&Vという観点で分析します。大学では材料力学や有限要素法の基礎理論(Verification)は学べるものの、境界条件の決めかたや考えかた(Validation)は教えてくれませんでした。この点を意識するための導入教育として企画した、社会人向けのCAE教育シリーズを紹介します。
岐阜大学 工学部 機械工学科
准教授 永井 学志 様
本教材は、設計者CAEに最低限必要となる力学的事項を1日の体感型セミナーでお伝えするために、開発したものです。すなわち、A1)まずは発泡スチロールのブリッジについて、熱線カッターで切り出して実験&設計をしてから、A2)事後解析としてCAE計算と材料力学による概算をします。B1)続いて発泡スチロールのフックについて、今度は逆にCAE計算と材料力学による概算を先行させて、所定の力学的条件を満たすように設計してから、B2)一度の試作&実験ののちに、競技形式にて実験・評価を行います。
TMEC技術士事務所
所長 遠田 治正 様
近年のCAEと3次元CADの機能と操作性の向上を背景に、設計者がCAE解析を行って検証を行いつつ設計を進めるという”設計者CAE”が提唱されています。この設計者CAEは、身につけば「今日ここまで済ませたこと大丈夫!」という確認ができ、手戻り発生の防止に結びつくのですが、実際には推進者や設計者が持つ先入観や思い違いのために、なかなか普及していないのも実情です。本講演では、設計者CAE推進上の問題点を明らかにし、効果的な推進方法の秘訣についてご紹介します。
ブラザー工業株式会社
開発センター メカ基盤技術開発部
部長 秋山 茂樹 様
弊社では設計品質と生産性の向上を目的とした解析融合設計の実現を目指し、商品開発現場でのCAE活用に取り組んでいます。しかしながら、評価手段としてのCAE活用にとどまり、単なる合否判定ツールとしての使い方も多く、CAEが設計構想段階から活かされているとは言い難い状況です。そこでCAEを含むエンジニア教育の必要性を感じ、CAEユニバーシティの導入をおこなってきました。今回はこれら解析融合設計実現にむけた取り組みを紹介します。
株式会社ロキテクノ
開発部 設計開発グループ
小田 英明 様
弊社の開発はこれまで現象のモデル化や結果の予測はほとんど行っておらず、いわば「実験結果依存型」の技術文化でした。現在までほとんどCAEを活用してこなかった弊社が技術を多角的に発展させていくためにCAEを活用していこうと考えていますが、「(予測)数値計算vs(現実)実験」という技術文化の障壁がありました。CAEの概念と必要性、ベネフィットをスムーズに浸透させるために選択した手法が「実験+座学」のFEM実験室の実施でした。これまでの技術文化の障壁をスムーズに越えるための試みと、なぜ流体問題が主の弊社があえてFEMをテーマとして選択したかということを中心に発表します。
愛媛大学大学院理工学研究科
教授 中畑 和之 様
大学での「振動」の講義といえば、主として質点系のアプローチが学生に教授されており、「振動実験」においても球などを揺らせた質点のアプローチを検証するような実験が行われています。このアプローチは振動理論の基本で非常に重要でありますが、実際のものづくりで見られる振動現象とは乖離しています。そのため、実務で対面する問題にこれまでの基礎知識を生かせず、どのようにスタートしたらよいのか分からない企業の技術者も少なくありません。私も本講座を引き受けるにあたって、大学で教える知識と企業で必要としている技術が大きく異なることを知り、「役に立つ振動理論とは何か」を主眼として、大学教育とは全く異なる方法で講座内容を考えました。ここでは、本講座を準備するにあたって留意した点、チャレンジした点について講演します。特に振動を理解するためには、時間と周波数の二つの軸の理解が不可欠であり、このあたりをうまく融合して理解を促すための工夫についても説明します。
デンソーテクノ 株式会社
CAE部 開発・促進室
主任部員 高野 守啓 様
弊社はこれまで、実験の置き換えによる設計の効率化を主に、CAEを活用してきました。今後はさらに活用の幅を広げ、設計の技術力向上のためのCAE活用を強化していきます。その実現には、設計部門主導のCAE活用推進が鍵になると考え、理解を得る目的でマネージャー向けにCAE研修を開始しました。受講後の設計現場では、「CAEをコミュニケーションツールとした技術議論」が活性化され、設計技術力向上に向け、組織風土に良い変化が見られたのでご紹介します。