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FEM原理講座

CAEの中枢であるFEMについて、基礎理論、構造解析を学ぶ講座です。

こんな方におすすめ

  • 主に有限要素法(FEM)による構造解析の実務に携わっている方
  • ブラックボックス的に利用してきたFEMソフトウェアの“中身”について学びたいという方

講座の内容

本講義では、有限要素法による構造解析の基礎を講義する。有限要素法が物理現象を支配する方程式の近似解法であるという立場にたって、その離散化の考え方と方法について具体的な例題を用いて解説するとともに、離散化による近似誤差・近似解の特性などについてのエッセンスを説明する。特に、微分方程式の離散化と離散化後のプロセスを明確に区別することで、有限要素法の全体像が見えるよう工夫した。

具体的には、まず、ばね構造を例にとって構造系の構成要素を示し、部材ごとに作った行列形の方程式を全体系に組み立てて解くマトリックス構造解析手法を説明する。また、ばねとトラス部材のアナロジーから、2次元トラスの構造解析手法を紹介し、具体的な例題を通して部材系から全体系の方程式を組み立てて、境界条件処理を行った後に解く、という有限要素法にも共通する一連の解析プロセスを説明する。 加えて、はり・板などの構造要素についても同様の手続きで解析が可能であることをエネルギー原理の解説をかねて補足的な説明を行う。

次に、1次元弾性体の静的つり合い問題を例にとって、微分方程式で与えられた支配方程式を仮想仕事式(弱形式)に変換する方法、ならびに数学的な意味付けを解説する。そこから、古典的近似解法としてのGalerkin(ガラーキン)法を説明し、具体的な例題を通してその近似解法としての特徴を述べる。そして、この古典的近似解法の枠組みでの有限要素法を紹介し、形状関数を用いた要素単位の近似を導入することのメリットを例示した後、1次元問題の近似解法としての有限要素法の定式化を示す。 ここでは、MATLABのスクリプト言語を用いたFEMプログラムソースを紹介し、実際の数値計算の手続きについても補足的に解説する。

次に、弾性体の静的つり合い問題について、応力やひずみ、平衡方程式、境界条件などの材料力学および弾性体力学における基礎事項を解説し、強形式と仮想仕事式(弱形式)で表した支配方程式を導く。そして、線形三角形要素を例に、形状関数を用いた要素単位の近似を導入し、有限要素法における離散化のプロセスを詳しく解説する。具体的には、変位の補間近似の考え方と方法、そして要素ごとの弱形式に代入して要素剛性行列と荷重ベクトルが作られ、さらに全体系の方程式に組み込まれるプロセスを例示しながら説明する。特に、要素間での変位の連続性と節点力の連続性、等価節点力の考え方、境界条件の設定など、微分方程式を代数方程式に変換したことによる留意点を述べる。

また、弾性体の静的つり合い問題については、双一次四辺形要素およびアイソパラメトリック要素を紹介し、自然座標から実座標へのパラメトリック変換を導入する必然性と数値積分を適用した剛性行列・荷重ベクトルの算出方法等を解説する。ここでも、線形三角形要素とアイソパラメトリック要素を用いたFEMプログラムコードを参照しながら、FEMの離散化解析の具体的な手順を説明する。

最後に、有限要素法の数学理論を概念的に述べ、ベクトル幾何学とのアナロジーを用いて有限要素法による近似解の幾何学的解釈を解説する。特に、有限要素法の解が、どのような場合に、どの程度、どのように誤差を含みうるのかについて、例題を示しながら説明する。また、メッシュパターンや要素種類によって解が変わりうることなどを例示し、有限要素法の仕組み・仕掛けを説明する。 加えて、有限要素法の近似解を極端悪化させる原因として知られるせん断・体積ロッキングの現象についても、そのメカニズムと回避方法について講義する。

※FEM原理講座を受講するに際して、材料力学の知識を補いたい方は「材料力学講座」を受講をお奨めします。 (従来、FEM原理講座の中で材料力学に触れていましたが、講座を分離し充実した材料力学講座を設置しました。また、FEM原理講座も材料力学の内容が抜けた分、本来の目的である有限要素法の基礎を充実した講座となりました。)

事前学習として望ましい知識

微分・積分学、線形代数学
受講形態 座学(シミュレータの操作はありません)
受講料 80,000円(税別)

※ お支払い方法は、セミナー受講料のお支払いについてをご確認ください。 ※ 本価格は税別価格です。別途消費税が加算されます。 ※ 参加費はセミナー開催日時点での消費税率が適用されます。 ※ 消費税率変更前に事前支払いをされた場合も、別途差額を申し受けます。
時間 1日目 10:00〜17:00
2日目 10:00〜17:00
会場 オンライン
受講要件 こちらから
定員 15名
開始時間 1日目
10:00 1.序章
1-1 FEM 概論
[補足]数学的準備
1-2 ばねのマトリックス構造解析
10:55 休憩
11:00 1-3 トラスのマトリックス構造解析
1-4 構造要素のマトリックス構造解析
[付録] 数学的準備
12:00 昼食休憩
13:00 2. 一次元問題のFEM
2-1. 一次元弾性体の静的つり合い問題
2-2. 仮想仕事の原理
13:55 休憩
14:00 2-3. 古典的近似解法
14:50 休憩
15:00 2-4. 一次元弾性体の有限要素法
[補足] プログラム構造の紹介とデモ
[付録] FEMソフトのプログラム構造(1D)
15:55 休憩
16:00 3.平面弾性体問題のFEM
3-1. 弾性体の力学:応力・ひずみ・構成則
17:00 講義終了
※実験の状況によって上記スケジュールは変更される場合がございます。
※休憩時間はお昼休憩が1時間で基本的に1時間ごとに5分から10分の休憩が入ります。
※その時々の受講者の事前確認事項によって内容が変化します(講義内容の一部を省略する場合もございます)。
開始時間 2日目
10:00 3-2. 支配方程式とその弱形式
10:55 休憩
11:00 3-3. 線形三角形要素
3-4. 要素剛性行列と節点荷重ベクトル
12:00 昼食休憩
13:00 3-5. 剛性方程式の組み立て・求解・後処理(ポストプロセス)
[補足] プログラム構造の紹介とデモ
3-6. 種々の境界条件処理/高次要素/等価節点力
[付録] FEMソフトのプログラム構造(2D)
13:55 休憩
14:00 4. アイソパラメトリック要素によるFEM
4-1. 双一次四辺形要素
4-2. アイソパラメトリック要素
4-3. 数値積分による要素剛性行列・荷重ベクトルの計算
[付録] FEMソフトのプログラム構造(2D-アイソパラメトリック要素)
14:50 休憩
15:00 5. 有限要素法による近似解の理解
5-1. 有限要素解の近似特性と精度
5-2. 要素のしくみ
15:55 休憩
16:00 5-3. 精度に関する数学的な理論背景
5-4. ロッキングとその回避方法
クイズ
17:00 講義終了
化学/研究開発
講義内容に関しては、自身の勉強不足もあり、難しく感じましたが、ボリューム、タイムスケジュールから考えても非常にわかりやすかったと思います。
試験研究機関/研究
自分の知っている知識と、今回の講義での内容の関係性がつかめてよかった。テキストに載らないコメント(どんな式にしたいのか、何故そうするのか)が聞けてよかった。実務に関わる話まであったので良かった。
精密機器メーカー/解析
強形式→弱形式→離散の流れ、誤差が生まれる理由の説明など、わかりやすくておもしろかったです。
化学メーカー/設計・開発
FEMを体系的に学ぶいい機会になった。以前から疑問に思っていた点がかなり解決してすっきりしました。式の展開や物理的な意味も詳細に解説していただけたので、教科書を読むよりもはるかに理解しやすかったです。
電子機器メーカー/研究開発
剛体移動の意味やFEMプログラム内部でやっている基本的な部分が理解でき、今後の自分で勉強する際の壁が1つなくなった。重要な内容を繰り返してくださり、理解できた。
精密機器メーカ/解析
今までブラックボックスだったFEMについて、その原理を深く理解できた。また、いままで深く考えずに使用していたメッシュの切り方を注意しないと思わぬ結果になることがよく理解できた。このような講座を受講してからFEMの専門書を熟読するやり方が最も効率的だと感じました。また、今回CAEユニバーシティの材料力学講座を事前に受けていたので、本講座にも比較的スムーズに入っていくことができました。
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