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<ハイブリッド開催>
FEM原理-II 応用編

シミュレーターを正しく利用するために、有限要素法で得られる近似解の特性を理解することを目的としています。

こんな方におすすめ

  • FEM原理-I 基礎編の受講者
  • 有限要素解の数理的側面、近似特性、精度把握・向上等に興味がある方

講座の内容

「FEM原理-II 応用編」では、対象とする現象の支配方程式や得ようとしている近似解の意味、離散化方程式とそれを実装したFEMソフトウェアの中身および特性を学び、妥当な数値シミュレーション結果、すなわちFEMの近似解(以下、単にFEM解)を得るための、そしてその結果を正しく判断し、精度向上につなぐための基礎知識を身につけることを目的とします。実際に有限要素法(FEM)のソフトウェアを用いた実習を折り込み、その結果を正しく判断するための基礎知識を身につけるよう工夫しました。実際に自分で求めたFEM解に対して理論的な解釈を与え、専門講座である「FEM原理-I 基礎編」における理論学習を補完することができます。

CAEにおける数値シミュレーターであるFEMは、物理現象を数理的に表現した偏微分方程式の近似解法です。用いる要素の形状や補間次数、メッシュ分割パターンにより得られ解は変化しますし、材料特性や特異性の有無が近似解に大きく影響することもあります。したがって、対象としている現象と偏微分方程式(および初期条件と境界条件)との対応だけでなく、用いられている近似解法の特性に関する知識を持つことは、計算結果が妥当か否か、どの程度の精度が保証できるか、といった判断を行う際に大いに役立ちます。本講座では、FEM解がどのような場合にどのような誤差を含みうるのかという点に注目し、幾つかの実習例題を織り交ぜながら、その理論的背景とFEM解の意味づけを材料力学の基本事項と有限要素法の基礎理論に照らして解説します。

はじめに、有限要素法の数学理論を概念的に述べ、ベクトル幾何学とのアナロジーを用いて有限要素法による近似解の幾何学的解釈を解説します。特に、有限要素法の解が、どのような場合に、どの程度、どのように誤差を含みうるのかについて、例題を示しながら説明します。要素選択やメッシュ分割を様々に変化させた有限要素解析例を示し「有限要素やメッシュを変えるとFEM解が異なる」ことを例示します。具体的には、簡単な解析対象を設定してFEMシミュレーションによるケーススタディを行い、各ケースで得られたFEM解と理論解(あるいは参照解)、あるいはFEM解同士を比較することで、解析結果が「メッシュパターン」、「メッシュの粗密」、「要素種別」に依存して変化することを例示します。そして、その理論的背景、すなわち有限要素法の数学理論を学ぶための導入として、関数近似における再現性と完全性について説明します。

次に、構造物の代表的な変形形態である一軸引張、純粋曲げ、せん断曲げの問題を取り上げ、それぞれに対してFEM原理-Iで学んだFEM解の挙動を理解し、要素特性やFEM解の特性について、数学理論および材料力学の原理に照らして解説します。具体的には、まずFEM解を基本変形モードに分解して有限要素法の数理的側面と解こうとしている問題の物理とを関連付けます。ここでは、剛性行列の固有値に着目して、完全性と再現性の観点から有限要素の性能に関する理解を深めます。そして、そのような特性に照らして精度向上のための方策について学び、適切なメッシュパターンと要素選択について考察します。特に、高性能要素として紹介する内部自由度を追加した4節点四辺形要素を紹介して、汎用FEMソフトウェアの中で精度向上のためにどのような工夫が行われているのかについて解説します。最後に、要素がゆがむことで精度が劣化するこのメカニズムを説明し、具体的な解析例を通して要素の挙動を体感します。

最後に、精度劣化の代名詞ともいえるロッキング現象とその回避方法について詳説します。まず、曲げ変形におけるせん断ロッキングと擬似非圧縮材料を対象とするときに発生しやすい体積ロッキングの例を示して、ここでの目的を明確化します。次に、これらのロッキング現象のメカニズムについて、基本変形モードや再現性などの数学的知見に照らして説明し、それらの理解に基づいて、ロッキングの様々な回避方法を紹介します。特に、内部自由度を追加する高性能要素や次数低減積分法を用いることで擬似非圧縮弾性変形や塑性非圧縮変形に起因するロッキングによる精度劣化を軽減し、高次要素に頼ることなく効率的に精度向上を図る方策について、FEM実習を織り交ぜながら学ぶことにします。

※FEM原理-II 応用編を受講するに際して、「FEM原理-I 基礎編」の先行受講は必須です。2次元弾性体の力学とそれを記述する微分方程式に関する知識、線形代数学における行列・ベクトル演算、線形変換、表現行列の性質などの基本的事項は習得済みで、かつ線形弾性体に対する有限要素法の離散化方法についてはある程度理解していることが前提となります。

事前学習として望ましい知識

マトリックス構造解析法、2次元弾性体の有限要素法、材料力学、線形代数学、解析学

日程・お申し込み

会場開催

オンライン開催

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受講形態 座学+シミュレータによる実習 ※実験はありません
受講料 60,000円(税別)

※ お支払い方法は、セミナー受講料のお支払いについてをご確認ください。 ※ 本価格は税別価格です。別途消費税が加算されます。 ※ 参加費はセミナー開催日時点での消費税率が適用されます。 ※ 消費税率変更前に事前支払いをされた場合も、別途差額を申し受けます。
時間 1日目 14:00~17:00
2日目 10:00~17:00
会場 ハイブリッド
東京開催:  弊社 東京本社
オンライン
受講要件 こちらから
定員 東京会場:9名
オンライン:11名
「計算力学技術者」認定試験 本講座は日本機械学会公認CAE技能講習会です。
付帯講習会の免除規定についてはこちら
※講義内容の進捗によって上記スケジュールは変更される場合がございます。
※休憩時間はお昼休憩が1時間で基本的に1時間ごとに5分から10分の休憩が入ります。
※その時々の受講者の事前確認事項によって内容が変化します(講義内容の一部を省略する場合もございます)。
開始時間 コンテンツ
10:00 1. 有限要素法の近似解の基本的性質
1.1 FEM解の特徴とその数学的背景
1.2 メッシュパターンによる解の変化
1.3 要素種別による解の変化
1.4 メッシュの細分化による解の変化
1.5 関数近似:再現性・完全性
11:00 休憩
11:10 2. 有限要素解の理論解からのずれ
2.1 棒状構造物の一軸引張・純曲げ・せん断曲げ
2.2 基本変形モードと蓄えられるエネルギー
2.3 精度向上のための幾つかの対策
12:30 昼食休憩
13:00 2.4 メッシュパターンと要素種別
2.5 要素のゆがみと精度
14:40 休憩
14:50 3. ロッキング現象
3.1 せん断ロッキングと体積ロッキング
3.2 理解のための準備:要素構造の分析
15:50 休憩
16:00 3.3 ロッキングのメカニズム
3.4 ロッキングの回避方法
3.5 ロッキングに関するFEM実習
17:00 講義終了
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