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製品概要

Ansys Lumerical(以下Lumerical)は、フォトニックデバイス・システムの解析ソフトウェアを備えたパッケージです。
「Device Suite」、「System Suite」、自動化・最適化・ソフトウェア連携ツールである「Interoperability」から構成されており、デバイスからシステムレベルのシミュレーションを一貫して行うことができます。また、多くの外部ソフトウェアとの連携機能や、python とのAPI機能を持ち、マルチフィジックス解析や自動化・最適化が可能です。

DEVICE Suiteでの解析例
(左)フォトニック結晶のキャビティ解析
(右)Mie散乱解析

SYSTEM Suiteでの解析例
マッハツェンダー変調器のモデル

特長

①DEVICE Multiphysics Simulation Suite
多様なソルバー群で、様々なフォトニックデバイスを解析


DEVICE Suiteの解析例

DEVICE Suite(デバイススイート)は、電磁光学をベースとしたフォトニックデバイスの解析ツールです。多数の数値解析ソルバーから構成されているため、様々な形状・サイズ・動作特性を持つフォトニックデバイスの解析が可能となります。また、熱・電子解析ツールも含まれており、受光/発光素子等のデバイスのマルチフィジックス解析も可能となります。Lumericalは、様々なフォトニックデバイスの製造現場における現象を解析・把握し、試作や再現実験の回数や時間、コストを大幅に削減します。

②SYSTEM Circuit Simulation Suite
マルチモード、双方向、マルチチャネルを含むフォトニックシステム・回路を解析


SYSTEM Suiteの解析例

SYSTEM Suite(システムスイート)は、光トランシーバー、5G通信、PIC(光集積回路)などの光システムの解析ツールです。マルチモードファイバや双方向/マルチパスの伝搬特性を持つ光回路・システムの時間領域・周波数領域での解析が可能です。また、CML Compiler機能により、DEVICE Suiteにて設計解析を行ったデバイスを組み込んだシステムシミュレーションも可能となります。

③Interoperability
ソフトウェア連携機能により、マルチドメイン解析・最適化設計


Interoperabilityを利用した最適化例

Interoperabilityは、設計領域の拡大、工数削減のための各種ソフトウェアや、半導体ファウンダリとの連携機能です。解析の自動化や最適化のためプログラム言語Pythonの API機能、さらに各種EDA(Electronic Design Automation)ソフトウェアや幾何光学解析ソフトウェアZemax 等との連携機能があります。また、SYSTEM Suiteでは主要な半導体ファウンドリのCMLもサポートしているため、Lumericalで設計・解析したシステムは簡単に製造現場に投入することが可能です。

活用例

Case 1 メタレンズ

メタレンズとは、レンズ表面にナノサイズの突起物を持つ構造のレンズです。
ナノサイズの突起物が、光の位相変調素子として働きます。素子の特性をわずかに変化させることで、レンズ上の各座標点で適切な位相を与えることができ光が集光されます。

メタレンズは、従来のガラスレンズで厚みや形状を変えて光を集める方式と比べて非常に薄く作ることが出来きるというメリットがあり、スマホカメラ等で近年注目を集めています。
一方で、従来のガラスレンズとは動作原理が異なるため、フォトニクス解析ソフトウェアでの設計解析が必要となります。

Lumericalでは、スクリプトベースの特性解析・モデルファイル作成機能があるため、単位構造の解析からメタレンズ全体の設計までの一連の操作が可能です。また、メタレンズのニアフィールドをZemax等の解析ツールに取り込み、更に詳細な伝搬解析を行うことも可能です。

メタレンズの解析事例


(a) 設計されたメタレンズの構造
最適な位相分布となるように
適切な突起物が配列している。

(b) 最適なレンズの位相分布
焦点位置を定めることで目標とする
位相分布が決定する。

(c) シミュレーションによる
メタレンズの集光の様子

Case 2 ヘッドアップディスプレイ(HUD)

HUDはフロントガラス等に運転に関連する様々な情報を表示する、ドライバーの運転補助デバイスです。
HUDは、ADAS(先進運転支援システム)において、様々なセンサーを利用して得られた周囲の情報をドライバーに素早く伝えるデバイスとして、近年急速に導入が進んでいます。

HUDの設計においては、透明なディスプレイでありながら、プロジェクタからの光を高効率で反射させて、背景ビューとプロジェクタからの光を重ねて表示する必要があります。
これを実現する方法として、ナノ構造デバイスの偏光依存性を利用する方法等が提案されており、フォトニクス解析ソフトウェアでの設計解析が必要となります。

Lumericalでは、パラメータ最適化機能があるため、各偏光状態毎のデバイス特性を、設計仕様を満たすように設計することができます。
また、LumericalとAnsys Speos(以下Speos)には連携機能があり、Lumericalで設計したHUDデバイスをSpeosにインポートし、輝度・照度をシミュレーションすることも可能です。


(a) プロジェクタの光を選択的に反射する偏光素子
所望の特性を得るために最適化可能

(b) SpeosでのHUDの解析例
Lumericalで設計した
偏光素子を取り入れた解析が可能

(c)偏光素子の入射波長依存性
S偏光を30%反射、P偏光を反射しない
偏光素子を実現している。

Case 3 LiDAR

LiDARはレーザ光を用いた測距センシング技術です。自動運転などの先進安全技術として近年、非常に注目を集めています。
LiDARは高速に広範囲の空間を認識するためのステアリング機能を実装する必要があります。従来はモータ等の機械駆動により回転させる方式が主流でしたが、低コスト化、小型化の観点から非機械駆動である光フェーズドアレイ(OPA)方式のステアリングが期待されています。

OPA方式は出射領域の光の位相を変調させることで、レーザー光の出射角度を制御するビームステアリング手法です。Lumericalではデバイス解析ツールによる導波路・カプラの解析に加え、MATLAB連携による設計パラメータ最適化や、システム解析ツールや各種EDAツールとの連携による回路レベルでのシミュレーションなど、ツール連携によりLiDARシステム全体の設計、解析が可能となります。


(a)LiDARシステムの概要図
LiDARの発光・受光部はLumericalにより、
光波の伝搬部はMATLABにより解析できる。

(b)LiDARから出力されるレーザーのシミュレーション結果
照射角度を制御できるよう数が確認できる。

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