CYBERNET

株式会社SCREENホールディングス

松井 則政 様
福田 啓太朗 様

体系的かつ業務内容に近い教育で、基礎力底上げしシミュレーションの全社活発化へ

半導体製造装置事業や印刷関連機器事業を展開するSCREENホールディングス様では、全社的にシミュレーション活用を促進するため、サイバネットのCAEユニバーシティを導入されました。シミュレーション活用のベースとなる知識の習得とともに、実務に近い課題を取り入れた実践的な教育を実施することで、現場での定着を図られました。

開催の目的

全社的なシミュレーション活用の促進に向けた、体系的な教育体制の構築。
※材料力学、有限要素法、応力解析、振動現象の基礎から応用まで

自社の課題

・グループ会社によってシミュレーションの活用度にバラツキがあった。
・シミュレーションに関する体系的な教育がなく、OJT主体となっていた。
・グループによってシミュレーションソフトが異なり、ノウハウが分散していた。

期待した効果

・全社的に設計者がシミュレーションを活用できるようになる。
・学習内容を定着させ、それぞれの現場でシミュレーションを使えるようになる。
・現象の本質を理解した上でシミュレーションを実行できるようになる。

背景:グループ会社ごとにCAEの活用度に差があり、全体の開発スピードに影響

Q まず御社の事業概要について教えてください。

SCREENホールディングス(以下SCREEN)は、1868年に石田旭山印刷所を創業、同社の研究開発部門が1943年に独立、大日本スクリーン製造株式会社(現・株式会社SCREENホールディングス)を設立しました。本年2023年は設立80周年に当たるとともに、創業155周年の節目の年でもあります。現在は祖業である印刷関連機器をはじめとして、主力である半導体製造装置を中心に、ディスプレー製造装置やプリント基板関連機器などを製造販売し、社会課題の解決に取り組んでいます。
私たちの所属する第三技術開発室 開発一課は、当社の技術開発部門に属しており、シミュレーション技術の専門集団が所属しています。当社のシミュレーション技術の高度化に取り組むとともに、シミュレーション技術の全社的な普及を行っています。

Q 企業理念を改定されたと伺いました。

設立80周年に当たって企業理念が改定されました。新たに存在意義として「人と技術をつなぎ、未来をひらく」を掲げました。シミュレーション教育の取り組みは、人と技術をつなげるとともに、これまで蓄積してきたノウハウを人から人に引き継いでいくという活動であり、当社の存在意義に則ったものです。

Qサイバネットの「CAEユニバーシティ」の導入に至った背景を教えてください。

当社のグループ内にはさまざまな事業会社がありますが、事業会社によりシミュレーションの活用度にバラツキがありました。活用度の低い会社も、シミュレーションを活用し開発を効率化したいという思いがありましたが、シミュレーション人材をどのように育成すればよいか分からないという状況でした。そうした状況を打開するため、グループ全体としてシミュレーション活用を促進し、フロントローディング型の効率的な開発を実現するためのプロジェクトが発足しました。その中で、構造解析の教育に協力してもらえる会社を探しており、サイバネットの「CAEユニバーシティ」の存在を知りました。

導入した理由:実際の設計業務に合わせてオーダーメイド可能なカリキュラムが、導入の決め手に

Q CAE教育サービスの検討はどのように進めていったのでしょうか。

サービスの検討においては3つの要件がありました。1つ目は、「基礎理論の教育」です。部署によって使うソフトウェアが異なることもあり、ソフトウェアに依存しない基礎理論の教育は必須の項目でした。CAEユニバーシティでは、大学教授から理論を教えていただいたり、実験を通して現象を理解するコンテンツも含まれていたり、要望に合っていると感じました。2つ目は「コンテンツの完成度と、種類の多さ」です。応力解析、振動解析など様々な分野に対して、理論・実験・E-learningと多様なコンテンツがラインナップされており、各コンテンツの内容も充実していると感じました。3つ目は、「カスタマイズ性」です。シミュレーションを定着させるには、教育内容を実務に沿ったものにする必要があると考えていました。そのため、当社グループの装置開発に類した題材を教育内容に取り入れたいという要望がありました。
教育サービスは、サイバネットも含めて3社で比較しましたが、全ての要望を満たしたのはCAEユニバーシティだけでした。

Q CAEユニバーシティをいつ導入されましたか。また選んだ決め手は何でしたか。

2021年4月に検討を始め、導入を決定したのは6、7月ごろでした。そこからサイバネットとカリキュラムの内容の打ち合わせを開始し、9月に初回の教育をスタートしました。
選んだ決め手は「教育内容が要件を満たしていた」ことに加え、「ソフトウェア(Ansys)が使い勝手が良かった」ためです。全社的にシミュレーション活用を高めるには、グループ全体で共通利用できる構造解析ソフトウェアの導入も必要だと考えていました。Ansys Mechanicalは構造解析ソフトウェアとして十分な機能を持ち合わせていました。また、Ansysの柔軟なライセンスプログラムであるElastic Licensingは、使用人数や使用場所の制限が無いためグループ全体で利用する際に非常に使い勝手がよいと感じました。また、当社は働き方改革を推進しており、在宅勤務でも使用できる点も当社の要望に合っていました。

Q 教育内容はどのように決められたのでしょうか?

グループ全体として活用を活発化させるために体系的な教育を行いたいと考えていました。その要望に合わせて、サイバネットからいくつかのコンテンツを組み合わせたカリキュラムを提案していただきました。そこから、当社の装置開発の事例を盛り込むなどカスタマイズを行っていただきました。

導入後の変化:CAEの機能を使いこなし、設定に根拠を持つことで難易度の高い解析も可能に

Q CAEユニバーシティをどのように運用されているのでしょうか。

1年のうち上期に初級教育、下期に中級教育を行い、それぞれの定員は20人です。初級・中級共にトータルで5日間実施します。最終課題(実技)が基準点数以上であれば技術面を習得、加えて知識を問うeラーニングに合格することで理論面を習得したと判断しています。また、初級教育を受けた後に中級教育を受けられるようになっています。

Q 受講者からはどういった評価を受けていますか。

「シミュレーションの設定に根拠を持てるようになった。」や「これまで使用していなかったシミュレーションの機能を使いこなせるようになった」という声を聞いています。また、教育を始めたことで、以前より幅広いメンバーがシミュレーションを活用するようになっていますし、ソフトウェアや計算機の稼働時間は確実に増加しています。
教育を開始して2年になりますが、各部署から継続して多数の受講者が参加してくれており、手応えを感じています。
また、授業時間が足りない、もっと手を動かす課題を増やしてほしいといった要望も受けており、サイバネットと協力しながらカリキュラムの改善を行っています。

【実習を通して実験とCAEの違いを知るCAE実験室】

【課題_解析例】

これからの社内教育について:カリキュラムにはおおむね満足。より設計業務に近い内容へのカスタマイズも検討していきたい

Q 今後はどのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか。

サイバネットの教育パッケージ自体には非常に満足しています。そのため、カリキュラムの大きな変更は今のところ考えていません。サイバネットが提供する受講者のサポートについては、よりスムーズに利用できるようになればありがたいですね。
この先、受講者の活用状況などに応じて、教育内容をカスタマイズすることもあるかもしれませんが、その際は協力いただけることを期待しています。

【洛西事業所 オープン・イノベーション・エリア Sophiaの前にて】
ご利用いただいた企業様

社名:株式会社SCREENホールディングス
事業内容:半導体製造装置事業、グラフィックアーツ機器事業、
ディスプレー製造装置および成膜装置事業、
プリント基板関連機器事業、ICTソリューション事業など
従業員数:5,987名(2023年3月末)

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