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GLOSSARY

太陽電池の変換効率

太陽電池の変換効率とは

太陽電池は太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して出力します。一般的な太陽電池は、シリコン系、化合物系、有機系の3つに分類できます。シリコン系と化合物系の太陽電池では、さまざまな半導体が使われています。

半導体とは、電気が流れやすい金属などの導体と、電気が流れにくい絶縁体の中間の性質を持つ物質です。金属などでは、最外殻軌道の電子は原子から逃れやすく、金属中を自由に動き回ることができます。これは自由電子と呼ばれ、電気が流れる助けとなります。絶縁体や半導体では、電子は原子から逃れにくく、自由電子はほとんど存在しません。

これをバンド構造に基づいて解説します。結晶中のエネルギーバンドには、価電子帯(電子が原子に束縛されている状態)と伝導帯(電子が自由に動き回る状態)があります。絶縁体・半導体の場合は、価電子帯と伝導帯の間に禁制帯(電子が存在できない領域)があります。禁制帯の幅をバンドギャップと言い、絶縁体ではバンドギャップが広いので、ほとんどの電子は価電子帯から移動することができません。半導体ではバンドギャップが絶縁体より狭いため、熱エネルギーによって価電子帯の電子の一部が伝導帯に励起されており、この電子によりわずかな電気伝導性があります。太陽電池においては太陽光エネルギーによって、電子は価電子帯から伝導体へ移動して自由電子になり、価電子帯には電子がない正孔(ホール)ができます。金属は伝導帯と価電子帯が重なっているか、接しているため、電流がよく流れます。

しかし半導体は、すべての太陽光エネルギーを変換するわけではありません。太陽光にはさまざまな波長の光が含まれています。太陽電池は、半導体材料によって、電気エネルギーに変換できる太陽光の波長が異なるため、変換できずに熱エネルギーとして失われるものがあります。また、光によって電子・ホールが発生しても再結合によって失われるものもあります。太陽電池に当たった全体の太陽光エネルギーに対して、太陽電池で電気エネルギーに変換できた太陽光エネルギーの割合を変換効率といいます。

現在太陽光発電システムで一般的なシリコン系太陽電池の変換効率は約20%です。化合物系太陽電池では約14%、有機系太陽電池は約8%となっています。

※研究レベルの太陽電池変換効率の推移グラフ(産総研)
https://unit.aist.go.jp/rpd-envene/PV/ja/about_pv/principle/principle_4n.html
↑の図3

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