3D CADの設計や解析にはいくつかの課題があります。以前から3Dデータを使用して設計の問題を洗い出し、業務効率向上やコスト削減を実現してきました。特にCAEによるシミュレーションは重要な役割を果たしており、解析結果を3Dグラフィックで表示することで他の部署や経営者に対して分かりやすい説明を行うことができます。しかし、3Dの解析結果を2Dの画像やフラットな画面越しに見るのには限界があり、奥行きや詳細の把握が難しいという問題があります。さらに、3Dデータを実寸で把握し、空間の余裕を検討するように、実際の製品や設備を完全に再現することも困難です。近年では設計が複雑化し、短納期化が求められていますが、問題の洗い出しが不完全であり、的確な分析が行えない、関係部署とのコミュニケーションに時間がかかるといった課題があります。
これに対して、VR（仮想現実）システムが期待されています。VRは3Dデータの視覚的な不完全さを解消するために活用されており、実寸大の製品が存在する空間に没入することで、製品の組み立てや使用感を確かめることができます。しかし、製造業におけるVRの活用にはさまざまなハードルがあります。3D CADのデータからVRコンテンツを作成する仕組みや、複数のCADデータに対応する必要があります。また、CAEの結果表示にVRを利用する場合もデータの変換や詳細な説明のためのデータ作成が必要です。さらに、リモート接続や複数人数の参加に対応していないシステムもあります。
その中でも、サイバネットシステムが提供する「バーチャルデザインレビュー」は、効率的な設計レビューを実現するソリューションです。バーチャルデザインレビューは、CAD上の3D設計データを独自の方式でそのままVR上に再現し、複数人でのレビューを可能にします。導入費用も手頃であり、専門家の教育やデータ変換の必要もありません。設計者や関係者はVR空間内で部品の動きや干渉をチェックすることができ、直感的に問題点を把握することができます。また、リモートでの共同作業も可能で、拠点を分散している関係者ともリアルタイムにコミュニケーションを取ることができます。バーチャルデザインレビューの導入により、効率性の向上とコスト削減が期待できます。
バーチャルデザインレビューは複数のCADデータを合成してVR空間上に表示できるため、共同作業でCADデータを直接レビューできるというメリットがあります。また、実寸大で表示されるため、たとえばクルマの運転席での居住性を確認することも可能です。さらにクルマを下から見上げたり工場内をテレポートするなど自由な視点で実感のあるレビューが行えることで、モックアップをベースにレビューするよりも詳細なレビューが可能となります。また、任意の断面表示やパーツ分解の容易にできることはモックアップに対する大きなアドバンテージです。
バーチャルデザインレビューは、CADだけでなく、AVS Inc.のAVS/Expressや、Ansys EnSightといった解析データの可視化ソフトウェアからも変換なしにVR表示も可能であるため、CADデータに解析結果を合わせて表示することができます。このCAE連携機能により、応力解析結果のコンター図、流体解析結果の流線や粒子などもVR空間の3D CADデータに重ね合わせてアニメーション表示することで、複雑なデータの直感的理解の促進や、設計開発の効率化につながります。
たとえば、次の図は、ANSYS EnSightで可視化した解析結果をバーチャルデザインレビュー上でCADデータと合わせて表示した例です。このように重ねて表示することで、EnSight単体よりもボンネットの設計形状と空気の流れの関係が直感的に掴めるようになり、解析に詳しくない設計者でも容易に解析結果を確認することができます。
流線やコンター図を直接 VR 空間に投影することで解析結果 の直感的な理解を促す
従来の3D CAD設計と解析では3Dの解析結果を2Dの画面で確認していましたが、より直感的に、かつ実寸で実感するためにVRでDデータをリアルな空間で確認する方法が期待されています。サイバネットシステムの「バーチャルデザインレビュー」はCADデータをVRに再現し、多人数でのレビューとリモートコラボレーションを可能にします。また、CAE解析結果を重ね合わせて表示することで、設計者が直感的に現象を把握することが可能になります。
VRと連携したCAE解析評価ソリューション 資料ダウンロードフォームへ
