コラム
なりすましメールとは?
~なりすましメールの仕組みと対策を解説~
なりすましメールとは、攻撃者が送信者を偽装し正規のメールに見せかける手法です。その仕組みやリスク、防止策を解説します。
※本ページは、Valimail公式サイトのBlog に掲載された記事を翻訳・編集し、日本向けに作成されています。
-What is email spoofing? How it works and ways to prevent it
- 目次 - 1.なりすましメールとは |
なりすましメールとは?

なりすましメールとは、攻撃者がメールのヘッダー情報を偽装し、本来の送信者から送られたかのように見せかけるサイバー攻撃の手法です。
具体的には、「From」や「Return-Path」、「Reply-To」などのメールヘッダーの情報を操作することで、あたかも信頼できる相手からのメールのように偽装します。
攻撃者がなりすましメールを利用する目的はさまざまですが、特に多いのは以下のようなケースです。
- 詐欺
金銭を目的とした手口で、企業や銀行などの信頼できる組織になりすまし、被害者から金銭を騙し取ったり、支払い情報を盗んだりします。 - フィッシング
偽のメールを送り、ログイン情報やクレジットカード番号、個人情報などを入力させて盗み取る手口です。 - マルウェア拡散
信頼できる人物や企業になりすまして、マルウェア(ウイルス)付きの添付ファイルや悪意のあるリンクを送信し、受信者のデバイスにマルウェアを感染させます。 - ビジネスメール詐欺(BEC)
企業の経営者や取引先になりすまし、偽の送金指示を送ったり、機密情報を取得しようとする標的型攻撃です。 - 偽情報の拡散
なりすましメールを使って、特定の企業や個人の評判を傷つけたり、株価を操作したり、世論を誘導したりする目的で偽情報を広めます。 - スパイ活動
企業の機密情報や政府の重要データを盗むために、標的組織になりすまし、情報を取得しようとするケースもあります。
なりすましメールやフィッシング攻撃は近年増加していますが、実は、インターネットやメールが誕生した1970年代からすでに存在していました。
しかし、現在ではより高度な技術やセキュリティ対策が整い、適切な防御策を講じることで被害を防ぐことができます。
なりすましメールの仕組みや目的を理解することで、より効果的に対策を立てることが可能です。
攻撃手法は常に進化しているため、企業や顧客を守るには、最新のセキュリティ情報を把握しておく必要があります。
なりすましメールの仕組み
なりすましメールは、インターネット上でメールを送信するための標準プロトコルである SMTP(Simple Mail Transfer Protocol) の脆弱性を悪用することで実行されます。
SMTPには送信者の身元を確認する仕組みがなく、攻撃者はこの欠点を利用してメールの送信者情報を偽装します。
攻撃者は、通常受信者には表示されないメールヘッダー情報を改ざんし、From、Reply-To、Return-Path などのフィールドを操作することで、偽の送信元アドレスを表示させます。
この手法は、悪意のあるソフトウェアやスクリプトを使用してメールの送信元を偽装することで行われます。
これにより、攻撃者は信頼できる相手になりすましたメールを送信できるようになります。
SMTPの仕組みとその脆弱性
SMTPは、インターネットの初期の頃に設計され、セキュリティよりもシンプルさと効率性が優先されていました。
そのため、メールの送信時に送信者の身元を確認する仕組みがなく、単純に送信者のサーバーから受信者のサーバーへとメッセージを転送します。
この送信者を信用する設計を攻撃者は悪用します。
攻撃者は、SMTPコマンドを使用してメールサーバーと直接通信し、偽のメールヘッダー情報を持つメールを送信します。
SMTPには、送信者の情報が本物かどうかを検証する仕組みがないため、偽装されたメールは本物の送信者から送られたように見えてしまいます。
なりすましメールの代表的な例
代表例 | 具体例 |
ビジネスメール詐欺 - BEC | 企業の従業員が、CEO(最高経営責任者)からの緊急の送金依頼メールを受け取る。しかし、実際には攻撃者がCEOになりすまして送信した偽のメールで、送金すると詐欺師の口座に振り込まれてしまう。 |
フィッシング詐欺 | 銀行からの公式メールを装ったメールが届き、ロゴやデザインも本物そっくり。メールには「アカウント情報を更新してください」というリンクがあり、クリックすると偽のログインページへ誘導され、パスワードや個人情報が盗まれる。 |
マルウェア拡散 | 有名な配送業者を装ったメールが届き、「荷物の配送状況を確認するには添付ファイルを開いてください」と書かれている。添付ファイルを開くと、パソコンにマルウェアがインストールされてしまう。 |
ブランドなりすまし | 有名な小売企業を装ったメールが「特別キャンペーン」の案内を送信。受信者が偽サイトで個人情報を入力すると、攻撃者に情報が渡ってしまい、身元盗用(アイデンティティ詐欺)につながる。 |
なりすましメールの見分け方と防止策

なりすましメールを防ぐ第一歩は、それを見抜くことです。
怪しいメールの特徴を知っておくことで、企業や個人のセキュリティを強化できます。
以下に、なりすましメールのよくある特徴を紹介します。
なりすましメールを見抜くポイント
- メールアドレスの違和感
表示名は本物のように見えても、実際のメールアドレスが少し異なっていたり、不審なドメインを使用している場合があります。 - 曖昧な宛名
自分の名前の代わりに、「お客様各位」のようなあいまいな宛名や挨拶が使われている場合があります。 - 急かす・脅すような内容
「すぐに対応しないとアカウントが停止されます」など、緊急性を強調したり、脅迫的な表現があるメールは疑いましょう。 - 不審なリンクや添付ファイル
知らない相手からのメールや、突然送られてきたリンク・添付ファイルのクリックは避けるべきです。 - 不自然な文法や誤字脱字
公式なメールは通常、しっかりと校正されています。文法ミスや違和感のある文章は要注意です。
メールヘッダー情報を確認
メールのヘッダーには、そのメールがどのサーバーを経由して届いたのかなどの詳細な情報が記録されています。
疑わしいメールを見つけたら、以下の点をチェックしましょう。
- Return-Path(返信先)を確認
送信者のメールアドレスと一致していない場合、なりすましの可能性があります。 - Received(受信)フィールドを分析
メールの送信経路を確認し、不審なドメインが含まれていないかをチェックします。 - DKIM署名を確認
DKIM(DomainKeys Identified Mail)対応のドメインから送られている場合、有効な署名があるか確認。
署名がない場合はなりすましの疑いが高まります。
なりすましメールを防ぐための対策
自社の企業名を騙った、なりすましメールが送られるリスクを減らすためには、そもそもそれらのメールが届かないようにすることが重要です。
以下のセキュリティ対策を導入し、多層的な防御を行いましょう。
メール認証技術の導入
- DMARCの設定
DMARCは、なりすましメールの送信を防ぎ、自社のドメインが不正利用されるのを防止します。 - SPFレコードの設定
SPFは、自社のドメインから送信を許可するメールサーバーを指定し、不正な送信を防ぎます。 - DKIMの設定
DKIMは、メールに電子署名を付加し、受信者が本当にドメイン所有者が送ったメールかどうかを検証できるようにします。 - 認証ポリシーの定期更新
SPFやDKIMの設定は、メールシステムの変更に応じて最新の状態に保つことが重要です。
従業員向けセキュリティ教育の強化
技術的な対策だけでなく、従業員がなりすましメールのリスクを理解し、適切に対応できるようにすることも大切です。
- 定期的なトレーニング
なりすましメールの手口や見分け方について、従業員向けに教育を行う。 - 模擬攻撃(フィッシングテスト)の実施
実際の攻撃を想定したシミュレーションを行い、従業員がどのように対応するかを評価。 - セキュリティ意識の向上
「怪しいメールはすぐに報告する」「安易にリンクをクリックしない」など、セキュリティ意識を根付かせる。 - トレーニング教材の最新化
なりすましメールの手法は進化し続けるため、教育内容も最新の脅威に対応できるように定期的に更新する。
Valimailでなりすましメールを防ぐ
なりすましメールは単なる迷惑行為ではなく、データ漏えい、金銭的損失、企業の信頼低下を引き起こす深刻なセキュリティリスクです。
基本的な対策やトレーニングも重要ですが、より確実な防御には包括的なメール認証対策が不可欠です。
Valimailの認証ソリューションは、DMARC、SPF、DKIM の導入をスムーズに実現し、ドメインとメール通信を強固に保護します。
なりすまし攻撃から企業と顧客を守り、ブランドの信用を損なわないためにも、今すぐ適切な対策を講じましょう。
DMARCでなりすましメールを防ぐ仕組みや
ValimailによるDMARCの効果的な運用方法を
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