事例紹介
EVパワートレイン向け電動モータの性能解析

公開日:2020年05月
自動車業界では純粋なバッテリー式電気自動車(EV)の開発と製造が推し進められています。このテクニカルペーパーでは、EVパワートレイン向けの電動モータの設計および開発において、モータのトポロジー、巻線タイプ、冷却システムといった設計上のさまざまな選択肢に関して、システム全体に与える影響を考慮しながら、それらを比較して評価する方法について説明します。
目次
- モータタイプの比較
- PMの設計
- IMの設計
- WFSMの設計
- 冷却システム
- 性能曲線
- 軸方向の寸法および質量
- 効率
- 巻線技術の比較
- 設計の比較
- 性能曲線
- 効率性
- 巻線技術比較のまとめ
- 冷却システムの比較
- ウォータージャケット方式による冷却
- ウォータージャケットと内部空気循環
- オイルスプレー方式による冷却
- 性能曲線
- 結論
モータのトポロジー

このテクニカルペーパーでは、バッテリー式電気自動車アプリケーションでの磁石埋込式(IPM:Interior Permanent Magnet)、磁石誘導型(IM:Induction Magnet)、巻線界磁型同期(WFSM:Wound Field Synchronous Magnet)の各電動機を比較します。どのタイプも量産型の電気自動車で実際に採用されていますが、最も多く見られる構成はIPM電動機です。3つのモータタイプを、質量、コスト、連続性能、効率、および代表的な運転サイクルにわたるエネルギー消費量について比較しました。
巻線タイプ

前セクションで説明した各モータ設計では、複数本の撚線による分布巻きという同一の巻線技術を採用しています。しかし、電動機で近年採用されることが多くなっているのは、ヘアピン巻線です。あらかじめ曲げ形成された長方形のバーをスロットに挿入して、一方の端で結合します。ヘアピン巻線は、撚線による従来型の巻線と比べて、大きく異なるプロセスで製造され、組み立てられます。EVトラクションアプリケーション向けのIPM電動機の設計で採用されたヘアピン巻線と撚線巻線の性能の違いについて説明します。
冷却システム

ここでは、EVトラクションアプリケーションの電動機で採用される3つの冷却メカニズムについて説明します。この比較では、前セクションで用いたヘアピン巻線を採用したIPM電動機を使い、異なる冷却システム(ウォータージャケット方式、内部空気循環を伴うウォータージャケット方式、オイルスプレー方式)を採用した3つのタイプを比較します。どのタイプの冷却システムも、EVトラクションアプリケーション向けに量産型モータで実際に採用されています。