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コラム

パターン設計時における適切なEMC設計ツール活用方法

部品配置段階からのチェックで設計後半の修正負担を軽減

EMC設計ツールの効果的な活用タイミングは?

前回のコラムでは、従来の設計フローの中で活用できるEMC設計ツールとして、「DEMITASNX」をご紹介しました。
では、実際のパターン設計において、DEMITASNXをどのタイミングで活用するのが効果的なのでしょうか?
「パターンをチェックするツール」と聞くと、すべてのパターン設計が完了してから、最後にまとめてチェックする使い方をイメージする方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、DEMITASNXは設計完了後の最終確認だけではなく、パターン設計の初期段階から活用し、設計の進捗に合わせて繰り返しチェックすることでより効果的に活用できます。
特に、部品配置が決まった段階からチェックを実施することで、EMCリスクのある箇所を早い段階で把握し、後工程への影響が大きくなる前に設計へフィードバックすることができます。

今回は、実際に基板設計を進める流れに沿って、DEMITASNXをパターン設計のどのタイミングで活用するとよいのかをご紹介します。

パターン設計の進め方

パターン設計の進め方は製品や設計者によって異なりますが、本コラムでは一例として、以下の流れで考えてみます。

部品配置は、その後の配線や電源・GNDの構成に影響するため、EMC設計を行う上で非常に重要な工程です。
また、電源・GNDのパターンもEMC品質に大きく関わります。
このように、パターン設計では設計途中にも確認すべきポイントが多くありますが、実際にはすべてのパターン設計が完了した後にまとめて確認するケースも少なくありません。

しかし、パターン密度の高い基板では、設計完了後に問題が見つかっても簡単に修正できるとは限りません。
1本の配線を変更するために周囲のパターンや部品配置まで見直す必要が生じるなど、設計が進むほど修正の影響範囲が大きくなる可能性があります。

そのため、

  • 部品配置が決まった段階
  • 電源・GNDパターンの設計が完了した段階
  • その他のパターン設計が完了した段階

といった設計の節目でチェックを行い、問題があればその都度修正しながら設計を進めるのが効果的です。

そして、DEMITASNXも設計完了後の最終確認だけではなく、こうした設計途中のタイミングで活用することができます。

「設計完了後にまとめて問題を探す」

のではなく、

「設計しながら問題を減らしていく」

ことが、DEMITASNXを効果的に活用するポイントです。

ここからは、実際のパターン設計を例に、各段階でDEMITASNXをどのように活用できるのかをご紹介します。

① 部品配置段階でのチェック

今回の例では、Analog Devices社製「LT8641」を使用したDCDCコンバータ基板を題材に、設計の各段階でDEMITASNXを活用します。
まず、配線を始める前の部品配置段階でチェックを行います。

部品配置段階

チェックを実施すると、デカップリングキャパシタの配置に関するエラーが検出されることがわかります。

EMIルールチェック結果 (部品配置段階)

DEMITASNXでは、エラー箇所だけでなく問題となる理由や対策案も確認できるため、その内容を参考に部品配置を見直します。 
部品配置の修正を行ったら再度同じようにチェックを行います。

EMIルールチェック結果 (部品配置修正後)

修正によって該当するエラーが解消されていることがわかります。
このように、配線を始める前の部品配置段階からEMCリスクを確認できることがDEMITASNXを設計初期から活用するメリットの一つです。

② 電源-GNDパターン設計後のチェック

次に、電源・GNDパターンを設計します。
今回の基板では、4層基板の2層目にGNDプレーン、3層目に電源プレーンを配置しています。

電源-GNDプレーン設計

電源-GNDプレーンの配置が終わったらプレーン共振解析で共振による放射ノイズのリスクを確認します。 
結果を確認すると、560MHzで判定基準を超える共振が確認され、基板の下半分で共振による電圧レベルが高くなっていることがわかります。

プレーン共振解析結果

そこで、今回は共振対策として電源プレーンの形状を見直し、電源ベタの面積を縮小しました。
修正後に再度プレーン共振解析を実施すると、対象とした周波数範囲で電圧レベルが判定基準を下回り、プレーン共振のリスクが低減していることがわかります。

プレーン共振解析結果 (電源パターン修正後)

このように、電源-GNDパターンを設計した段階で一度確認しておくことで、その他の配線に進む前にプレーンの構造を見直すことができます。

③ すべてのパターン設計後に最終チェック

最後に、その他すべてのパターン設計を実施してEMIルールチェックを実施します。

その他すべてのパターン設計

EMIルールチェック結果 (すべてのパターン)

チェック結果ではいくつかのEMCリスクが検出されています。

しかし、ここまで部品配置や電源・GNDパターンの段階で問題をチェックして修正してきたため、最終段階では残った問題にのみ対応することができます。

各段階でチェックを行うメリット

ここまで、パターン設計の各段階でDEMITASNXを活用する方法をご紹介しました。

もし、すべてのパターンが完成してから初めてチェックを行った場合、それまでの設計工程で生じたエラーが一度に検出される可能性があります。
エラー数が多くなれば確認や修正の負担も大きくなり、さらに配線が完成した後では対策内容が分かっていても周囲の配線や部品との関係から簡単には修正できない場合があります。

実際に、基板パターンのルールチェッカーを使用したことのある方から、

「数多くのエラーが検出されてしまう」
「対策内容は分かっても、すでに配線が完成しているため修正できない」

といったご相談をいただくことがありますが、こうした課題を抑えるためにも、

部品配置 → 電源・GND → その他のパターン

と段階的にパターン設計を進めながら、各段階でDEMITASNXによるチェックを実施し、問題をその都度修正していくことが重要です。

まとめ

DEMITASNXは、完成した基板パターンを最後にチェックするだけのツールではありません。

部品配置 → 電源・GNDパターン設計 → その他のパターン設計

という設計の各段階で活用することで、EMCリスクを早期に発見し、修正の影響が小さいうちに設計へフィードバックすることができます。
すべての設計が完了してから問題をまとめて修正するのではなく、「設計 → チェック → 修正」を繰り返しながらEMCリスクを減らしていく。

このようにDEMITASNXを設計フローの中に組み込むことで、EMCを考慮したパターン設計を効率よく進め、後工程での設計手戻りを抑えることにつながります。

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