コラム
従来の設計フローで実現するEMC品質を考慮したパターン設計
目に見えないEMCリスクを設計段階で可視化
放射ノイズで困っていませんか?
EMC試験、特に放射エミッション試験でNGとなり、設計の手戻りやカット&トライによる対策に追われた経験はありませんか?
このようなEMC問題による設計手戻りは、開発期間の長期化やコスト増加につながります。
また、EMC問題は開発時の試験だけではなく、場合によっては製品の不具合につながる可能性もあります。
しかし、ノイズは目に見えるものではありません。
そのため、設計段階からEMCリスクを予測し、ノイズを考慮した設計を行うことは決して簡単ではありません。

こうしたEMC問題による設計手戻りを減らすためには、試験で問題が見つかってから対策するのではなく、電磁界シミュレータなどを活用し、設計段階からEMC品質を考慮した設計を行うことが重要です。
一方で、電磁界シミュレータを用いたEMCシミュレーションは有効な手段であるものの、日常の設計フローに組み込んで活用するには、いくつかのハードルがあります。

そこで本コラムでは、回路設計者・基板設計者自身が従来の設計フローの中で活用できるEMC設計ツールをご紹介していきます。
単なるツールの機能紹介だけではなく、実際の設計フローの中でいつ・どのように活用するのか、電磁界シミュレータとどのように使い分けるのかなど、設計現場での活用をイメージしていただける情報を発信していく予定です。
なお、本コラムの最後では、実際にCISPR 25に基づく放射エミッション試験を実施し、EMC設計ツールを活用したパターン改善によって放射ノイズが実際にどのように変化したのかをご紹介しています。
ツールの効果を実測結果とあわせてご確認いただけますので、ぜひ最後までご覧ください。
パターン設計の難しさ
EMC試験の結果を左右する重要な要素の一つが、基板のパターンレイアウトです。
そのため、パターン設計の初期段階からEMCを考慮することが、EMC設計では重要なポイントとなります。
しかし、EMCを考慮したパターン設計は専門性が高く、実際にはそう簡単ではありません。

パターンレイアウト時の設計者の課題
このように
「設計初期からEMC品質を考慮した方がよいと分かっていても、専門性の高さから十分な確認ができず、最終的には試験後のカット&トライに頼らざるを得ない」
ということが、EMC設計の大きな課題となります。
EMCリスクを可視化する「DEMITASNX」
こうした課題の解決に活用できるのが、EMI抑制設計支援ツール 「DEMITASNX」 です。
DEMITASNXはPCB設計の初期段階から利用でき、「EMIルールチェック」と「プレーン共振解析」の2つの機能によって、基板に潜むEMCリスクを確認できます。

DEMITASNXのメイン機能
特にEMIルールチェックでは、あらかじめ設定されたルールに基づいて基板全体を一括でチェックし、EMC問題につながるリスクのあるパターンを検出します。
さらに、問題箇所を表示するだけでなく、なぜ問題なのか、その理由や対策案まで確認できることもDEMITASNXの大きな特長です。
「DEMITASNX」の活用事例
では、DEMITASNXを使ってパターンを改善すると、実際のEMC試験結果はどの程度変わるのでしょうか。
同じ回路を使用した基板で、DEMITASNXのチェック結果をもとにパターンレイアウトを段階的に修正し、それぞれの基板で放射エミッション試験を実施しました。
なお、回路は変更せず、変更したのはパターンレイアウトのみです。

放射エミッション試験結果グラフ
試験結果より、DEMITASNXを活用してパターンを改善することで放射ノイズが大幅に低減し、放射エミッション試験をクリアすることができました。
この結果からも、パターン設計の段階でEMCリスクを見つけ、事前に改善しておくことの重要性が分かります。
まとめ
EMC問題による手戻りを減らすためには、設計段階からEMCを考慮した設計を行うことが重要です。
DEMITASNXを活用することで、従来の設計フローの中で、パターン設計者・回路設計者自身が設計初期段階からEMCリスクを確認し、問題を早い段階で修正することが可能になります。
これにより、EMC設計を「専門家が行うもの」から「設計工程の中で日常的に実施するもの」へと変えていくことができます。
次回は、DEMITASNXを実際の基板設計フローの中で、いつ・どのように活用すればよいのかをご紹介します。
