いまさらきけない光学計算第6回:偏光を計算するために

この記事の内容

3-2: 偏光度

ストークスパラメータの最後に、偏光度、という指標をみてみます。偏光度とは、文字通り偏光の程度を示す指標です。ストークスパラメータを使用し、次のように定義されます。


このDOPは、完全に1つの偏光状態のみを持つ光であれば1(完全偏光と呼びます)となり、全く偏光状態がわからない(無偏光または非偏光とよびます)の場合は0となります。 全体の何割かはXXX偏光である、またはXXX偏光とYYY偏光とZZZ偏光とが混ざっている、などという場合には、0 〜 1の値を取ります。

完全偏光の場合を考えて見ます。
例として、円偏光のケースを考えて見ましょう。円偏光ですから、位相差は±π/2です。


以上の式のそれぞれにφ=±π/2を、及びA0y = A0xを代入すると、


となり、DOPを計算すると、1となります。

次に無偏光(非偏光)の場合を考えて見ます。
読んで字のごとく、偏光の向きに偏りがなく、あらゆる方向に光が振動しているため、強度のみが観測され、どの測定方向の強度も等しくなります。即ち、


となります。そのため、ストークスパラメータは、以下のようになります。


最後に部分偏光を考えてみます。
ここまでに完全偏光と無偏光の場合を計算したので、両者を混ぜてみましょう。これで部分偏光となるはずです。
完全偏光を表すストークスパラメータを以下のように表します。添え字Aを追加します。


次に、無偏光を表す場合を以下のように表します。添え字Bを追加しました。


ここから部分偏光を表すストークスパラメータは両者の和を取り、以下のようになります。
お互い、干渉しないもの(インコヒーレント)として足し合わせています。


よって、偏光度DOPを見積もってみると、分子、分母の2乗がそれぞれ


となるため、差を取ると次のようになります。


更に変形して整理すると、


が導かれ、結局、


となります。部分偏光ということが分かります。

ストークスパラメータまとめ

ストークスパラメータとは、偏光状態を表すもので、測定可能な強度により構成されます。
偏光を表す、という意味ではジョーンズベクトルと同じですが、実測可能な数値により表現される、という点が大きく異なります。あとはストークスパラメータを用いると「偏光度」が記述できるという点が特徴的です(ジョーンズベクトルは1つの偏光状態のみを表現します)。ストークスパラメータも、一つ一つ導出してみると、そんなに難しい点はなかった(?)・・・のではないでしょうか。

偏光まとめ

ここまで、偏光計算に良く登場するジョーンズベクトル、ジョーンズマトリクス、ストークスパラメータについて、順を追って説明しました。どうでしたか? 計算のキモとなる考え方は、そんなに難しくないと思います。振幅を2方向に分解する、という考え方さえわかってしまえば、後はベクトルや行列の計算に過ぎません。
また、ジョーンズベクトルに対してジョーンズマトリクスがあるように、ストークスパラメータに対応する行列も存在し、この行列はミューラーマトリクスと呼ばれています。4 x 4 行列です。成分が16個もあります。これは、機会があれば、取り上げたいと思います。
今回はここまで。

「偏光を計算するために」終わり

<< 前へ

目次
おすすめリンク:光学基礎(入門)

光ってなんだろう!?
小学生にもわかる、光についての基礎的な話を紹介します。

いまさらきけない光学計算
光学ソフトウェアを、不安なく使うために必要な「光学」やその「計算過程」などを紹介します。

A君のレンズ設計物語
レンズ設計の初心者 A君がレンズ設計を学んで行く物語を連載しています。
「何故凸レンズと凹レンズが必要なのか?」「設計ツールが無いと単レンズさえ設計できない・・・」などお悩みの方にお勧めです。

新入社員の独り言
入社1年目のS君が光学と光学設計・シミュレーション解析ツール CODE Vを学び、一人前の技術スタッフになっていく過程をご覧ください。(全7話:完結)

光学設計コンテスト
弊社で光学設計コンテストを開催し、エンジニア同士が、互いの設計スキルを競い合いました。エントリーした4人の設計アプローチを順次ご紹介します。

 


お問い合わせ