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構造解析

Ansys Workbench Mechanical環境で行う音響解析

Ansys Workbench Mechanical環境で行う音響解析

CAEのあるものづくり Vol.23|公開日:2015年10月

目次

  1. はじめに
  2. 音響解析とは
  3. AWMで音響解析ができる
  4. 音響解析モデルの作成
  5. 解析の種類
  6. 解析の種類
  7. 構造との連成解析
  8. おわりに

はじめに

音響解析とは媒質中の音の伝搬を解析するものであり、音源から発生した音が空間中にどのように分布するのか、遠方ではどのくらいの音圧となるのか、などをシミュレーションすることができます。音響解析自体は、古くから建物の騒音予測やオーディオ機器の設計などにおいて、目的に応じて様々な手法で実施されてきました。そして近年、騒音に対する環境意識の高まりや、各種製品により快適性が求められるようになり、音響解析の需要が非常に高まっております。また昔に比べて高性能の計算機が比較的簡単に手に入るようになったため、構造解析や流体解析で一般的な手法である有限要素法を用いて、実用的な規模・周波数帯域までの音響解析が手軽にできるようになってきました。

本稿では、マルチフィジックス解析ツール「Ansys ® 製品」の操作環境のひとつであるAnsys ® Workbench Mechanical環境(以下、AWM)を使用した、有限要素法による基本的な音響解析についてご紹介します。

音響解析とは

音とは媒質(空気や水)を伝わる粗密波(圧力波)で、大気圧(静圧)からの変動分が音圧となり、波動として媒質中を伝搬します。音響解析は一般的に音源で生成されたこの圧力波の伝搬を捉えるための解析であり(図1)、音を発生させる音源としては、構造物の振動や流体の運動に起因するものが挙げられます。実現象を忠実にシミュレーションしようとすると、音源の強度や分布、例えば構造物が振動して音を発している場合、どのくらいの速さでどの部分が振動しているかなどは、別途実験や構造解析によって求める必要があります。あるいは音源としては壁面の一部が一定速度で振動する、といった単純なものを設定し、伝搬空間の形状や吸音の条件などを変化させた音響解析を複数実施して結果を比較することで、最終的に観測される音に対して伝搬空間が与える影響のみを取り出して相対的に評価することもできます。

なお音響解析にはさまざまな手法がありますが、Ansys製品では解析において音波を波動として捉える手法を採用しており、音波の回折や干渉といった現象を正確にシミュレーションすることが可能です。

図1 音の発生と伝搬、観測
図1 音の発生と伝搬、観測

AWMで音響解析ができる

Ansys製品にはMechanical APDL(以下、MAPDL)環境とAWMの2つの操作環境があります。従来、標準機能としてはMAPDL環境でのみ音響解析が可能でしたが、AnsysR14.5でリリースされたカスタマイズ機能Application Customization Toolkit( 以下、ACT)による音響解析用のカスタマイズプログラム「AcousticsACTExtension」をインストールすることによって、AWM環境でも3次元の音響解析が可能となりました。このAcoustics ACT Extensionは、Ansys製品ユーザーであれば開発元である米国のANSYS,Inc.のユーザー専用Webページ(https://support.ansys.com)から無償でダウンロードすることができます。

Acoustics ACTExtensionをインストールすると、図2のようにAWMのメニューに音響解析用の各種設定のためのアイコンが表示されるようになります。これらを使用して、AWMの特徴である直感的な操作で音響解析を実施することができます。

図2 AWMの音響解析用メニュー
図2 AWMの音響解析用メニュー

音響解析モデルの作成

4.1 メッシュの作成

有限要素法による音響解析では...

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