解析事例
工作機械におけるびびり振動を予測する振動解析
モーダル解析と周波数応答解析を実施し動剛性の把握と主軸高さの違いによる変化を予測
内容・目的
切削加工において刃先や非削材が振動するびびり振動が発生すると加工面品位の悪化だけでなく、 工具や機械の破損などの悪影響が生じます。びびり振動には強制びびりと再生びびりがありますが、それらの原因を考察するには機械の動剛性を知ることが重要です。
この事例ではマシニングセンタにおけるモーダル解析と周波数応答解析を実施し、動剛性の把握と主軸高さの違いによる変化を予測します。
びびり振動とは
「ひびり」とは、切削中に断続的に工具や切削機械などから発生する振動を指します。作業条件、工具や機械の状態によってひびりが発生します。
ひびりの発生によって加工精度や生産性の低下、ないしや工具や機械の故障にもにつながるため、対策が必要となります。
解析フロー
1
静的構造と連携したモーダル解析の実施
自重による変形・応力状態を考慮した動剛性の把握
2
周波数応答解析の実施
切削力による強制びびりの振動状態と大きさを把握
3
主軸位置を変更した解析により、送り軸位置 の違いによる動剛性を把握
送り軸位置を変更したモーダル解析/周波数応答解析の実施
解析モデル
- 縦型マシニングセンタ
- 直動器は詳細なモデルを作成せずに、バネ要素でモデル化することで解析精度と計算時間のバランスを向上させます
- ツールは8枚羽フェイスミルで、主軸回転数は 2,000[min-1] を想定し、このときの切削周期は266.66[Hz]となります
解析結果
送り軸位置によって工作機械構造体の動剛性である固有周波数や変形量は大きく変化するため、様々な軸位置での設計検証が必要であることがわかります
工作機械におけるびびり振動を予測する振動解析の効果
- 自重による変形を考慮した、より実機に近い工作機械の振動特性の把握が可能
- 切削力を考慮した周波数応答解析により、強制びびり時の振動状態の把握が可能
送り軸位置を自在に変更することで、様々な軸位置での設計検証を実現