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解析事例

構造解析

Ansys Mechanical 機能による低次元化

モード縮退&状態空間表現による時刻歴解析の高速化

Ansys Mechanical 機能による低次元化の概要

こんな方におすすめ

  • 大規模線形時刻歴解析において、あるポイントの変位情報のみ高速に計算したい
  • Ansys TwinBuilderやMatlab/Simulinkで利用できる状態空間モデルを作成したい
通常Ansysを利用して大規模線形時刻歴解析を実施する場合、モード重ね合わせ法による時刻歴解析を実施します。この方法は、モーダル解析により求めたモードベクトルによりマトリクスを低次元化し、内部的に高速計算を実施後、各時刻・各節点の結果を出力します。
通常の運動方程式を直接計算する方法に比べて、計算速度は速くなりますが、大規模モデルの場合、それでも計算時間やディスク容量を必要とします。
変位出力ポイントが決まっている場合、さらなる計算時間の短縮・ディスク容量の削減のために、1Dシミュレーションで利用可能なモード縮退による状態空間モデルを利用することが可能です。このようなモデルをModel order Reductionを略してROMモデルと呼んでいます。

Ansys Mechanicalを利用して、モード縮退による状態空間モデルのROMモデルを作成します。
作成したROMモデルはAnsys TwinBuilderで読み込めるファイル形式となります。また、出力したデータを変換してMatlab/Simulinkで利用することも可能です。

解析事例

BELLE検出器の地震応答時刻歴解析

ここでは高エネルギー加速器研究機構様のご協力のもと、BELLE検出器の地震応答時刻歴解析を実施しました。

BELLE検出器とその中心に挿入される超伝導四極収束電磁石(QCS)が地震で接触しないかどうか高速に計算したいというご要望に対してこの手法を利用しました。ちなみに内部のQCSはほとんど振動しないことがわかっています。

ここでは実際の地震波の加速度加振に対する、中心付近の変位量を計算しました。

モーダル解析後に状態空間モデルを作成し、Ansys TwinBuilderにて1D計算を実施しました。

Ansys TwinBuilderでのモデル

Ansys TwinBuilderでのモデルを示します。

加速度データを入力し、計測位置の変位を出力します。

解析結果

ここでは、3Dモデルのモード重ね合わせによる線形時刻歴解析()と1D計算()の結果を比較しました。
もちろん、どちらの方法もモード縮退による計算であるため、結果は一致しています。
3D計算に関しては、計算時間・ディスク容量の関係から30秒までの計算となりました。

3D モデルと 1D モデルの計算時間比較

3D モデルと 1D モデルの計算時間等を下表のように比較しました。
3D解析は7680ステップの計算に約4時間かかり、結果ファイルも250GB必要でした。
それに対して1Dモデル化した計算は4秒で計算可能でした。
 

Ansys時刻歴解析(30)モード重ね合わせ法

1D解析(30秒)

解析項目

モーダル解析

時刻歴解析

状態空間作成 / モーダル解析

1D計算

コア数

12コアDMP

7コアSMP

1コア

計算時間

約3分

約4時間

約3分

4秒

使用メモリ

25GB

14GB

20GB

0.041GB

結果ファイルサイズ

0.6GB

約250GB

0.6GB

0.015GB

ステップ数

 

7680step

 

7680step

弊社対応について

弊社Ansysユーザ様におきましては、この機能の詳細および例題をユーザ専用コーナーのFAQ
FAQ 24167 モード縮退および状態空間表現によるモデル低次元化例題」からダウンロード可能です。(ログインが必要)

通常、この状態空間モデルはモーダル減衰比、レーリー減衰を考慮することが可能です。
ブッシングなどの減衰係数を考慮されたい場合、基本的な機能では対応できませんが、別途有償でマクロファイルの作成や、他のツールのご紹介なども可能です。弊社Ansysユーザ様以外でも対応可能ですので、ご興味ございましたら、ご連絡ください。

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