WAON Version 5.1

WAONの最新バージョンであるVersion 5.1をリリースしました。

リリース日

2021年8月

WAON 5.1 の新機能

観測点音圧の高速計算機能

境界要素法における連立一次方程式の求解時に適用されていた高速多重極法(Fast Multipole Method: FMM)を、境界面での音圧と粒子振動速度から観測点での値を算出する計算(後処理)に適用することで、大量の観測点が存在する場合における後処理計算の負荷を大幅に低減します。 例えば自由度が約50万で観測点数が約15万のある解析において、従来の後処理計算では約200分を要するところ、本機能による計算では0.5分〜1分(周波数依存性あり)の所要時間に低減されました。

流体音解析における高速化機能の拡張

FMMに基づいた流体音源の寄与計算に関する高速化機能は、これまでは基本型(Basic Form: BF)において境界面への寄与を計算する時(流体音源の前処理計算)に限り使用できました。本バージョンからは表裏独立型(Double Layer Form: DLF)への適用と、観測点への寄与計算時(流体音源の後処理計算)にも適用できます。これにより、薄層境界を含む空間や閉じた境界面を有する外部空間の解析(この場合、見かけの内部固有値問題への対処が必要となる)に対しても高速化された流体音解析を実施できます。特に流体音源の後処理計算では、前処理で算出した値を多く再利用できるため、計算時間が劇的に短縮されます。

多指向性音源のモデル化機能

音源群を内包する閉曲面上における音圧と空気粒子振動速度により放射波を表す音源(境界積分方程式 (Boundary Integral Equation: BIE) 型音源)で、任意の放射指向性を表すことができます。閉曲面上の値はWAONやEnsightの結果ファイルから読み取ることができるため、WAONで実施した自由音場における単体の放射音解析結果や、CFDによる任意物体周りの圧力と速度変動(圧力と速度変動をFFTにより周波数領域へと変換する機能を有する)を音源とすることができます。前者はスピーカー単体の放射音解析結果を任意の空間に設置した場合の解析に、後者はファン騒音の解析などに適用することが可能です。


スピーカーの放射特性をモデル化した 敷地内の建屋表面における音圧分布図