WAONの驚異的なパフォーマンスを実現する「FMBEM」。
ここでは従来のBEMにおける課題と、FMBEMの特徴をご説明します。
BEMを使った音響解析を行う場合、解析対象物の表面を要素分割する必要があります。一般的に、要素分割数が多ければ多いほど解析精度が高くなりますが、従来型BEMは非対称かつフルマトリクスの計算を行うため、その計算にかかる負荷は非常に大きくなります。
そのため、解析モデルの縮小や要素分割数の低減を考慮する必要があり、結果として作成される解析モデルが非常に制約の多いタイプとなる事も少なくありません。
このように、従来型のBEMでは要素分割数と周波数の制限を受けながらの音響解析となります。
FMBEM (Fast Multipole Boundary Element Method:高速多重極境界要素法)は、FMA(Fast Multipole Algorithm:高速多重極アルゴリズム)を境界要素法に適用した解析手法です。
従来の境界要素法と比較した場合に必要メモリ・演算回数が極端に少なく、驚異的なパフォーマンスを実現します。
従来の境界要素法の課題
に対する解決策として、WAONはこのFMBEMを採用しています。
従来型BEM | FMBEM | |
---|---|---|
計算量 | O(N2)、O(N3) | O(N) |
必要メモリ | O(N2) | O(N) |
東京大学 大学院工学系研究科 建築学専攻 佐久間 哲哉 教授
FMBEMを音響解析に適用した先駆者の一人です。
WAONのFMBEMソルバーは、佐久間准教授等の研究グループによって開発されました。