自動化の取り組みが理想のフロントローディングを実現! 設計者がストレスフリーで解析を活用できる
腕時計や電子楽器、電卓など、「タフネス」という概念で開発・製造に取り組むカシオ計算機株式会社 様。
落下衝撃解析における設定ミスや手戻りという課題に対し、Ansys LS-DYNAとACTによる条件設定の自動化で挑んだ、設計者主体のCAE活用への道のりとは。

今回お話をお伺いした方
カシオ計算機株式会社
時計事業部 時計開発統轄部 技術開発部
デジタルエンジニアリング開発室
リーダー 遠藤 将幸 様
畠 祥悟 様
成田 結香 様
背景と課題設計と解析の理想であるフロントローディングを目指すも、新たな負荷増大につながった
2010年ごろからCAE解析を導入してきたカシオ計算機は、2018年に全社的な展開をスタート。設計段階から解析を取り入れて手戻りを防ぐ「フロントローディング」の重要性が社内に浸透していきました。
一方で、部品点数の多い製品ほど条件設定の手間が増え、わずかな設定ミスや漏れが数十時間規模の解析やり直しにつながるという新たな課題が浮上していました。
選定理由「高機能」と「使いやすさ」を両立するため、ツール内製化とカスタマイズを決断
「タフネスさ」を重視する同社にとって、落下試験のシミュレーションに強みを持つAnsys LS-DYNAは衝撃解析の要でした。しかし多機能ゆえに設定項目が多く、設計者が使いこなすにはハードルの高いツールでもありました。
そこで着目したのが条件設定そのものの自動化。Ansysのカスタマイズ機能であるACT(Application Customization Toolkit)を採用し、外部委託ではなく自社内でのノウハウ構築を重視して内製化を決断しました。
工夫や効果「設計者が楽になること」を最優先にツールを制作し、再解析をゼロに
2023年9月から本格化したツール開発では、サイバネットの技術支援や生成AIを活用。プログラミング経験が限られるメンバーが中心となって自動化を実現しました。
ねじの設定をワンクリックで完了できるようにしたことで、400本以上のねじがある品目でも設定漏れがほぼなくなり、床面設定の自動化にも展開しています。
今後の展望すべての製品に"確かな強さ"を。解析の裾野を広げ、より高品質な製品づくりへ
これまでにACTで開発したツールは20近くにのぼり、業務省力化に活用されています。今後は"オールカシオ"の視点で解析対象を広げ、より高品質な製品づくりを目指します。
解析結果を比較・分析することで新たな設計指針の発見につなげるとともに、ACTやPyAnsysによるカスタマイズに関するユーザー間の情報共有も積極的に進めていく考えです。
ワンクリック化に至るまでの試行錯誤、
その具体的な中身とは?
その具体的な中身とは?
フルインタビューでは、ACT開発の裏側にあった生成AIとの向き合い方、サイバネットのスクリプトサンプルがもたらした役割、そして400本超のねじ設定を自動化する具体的な工夫まで、詳しく語られています。
2025年取材
※記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
※自治体・企業・人物名は、取材制作時点のものです。