Fluximニュースレター vol.1
LEDおよび発光材料の角度分解フォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス

Phelosについて

Phelosは、さまざまな発光角度と偏光角度で発光デバイスや薄膜を特性評価するためのゴニオスペクトロメーターです。 従来の装置では、エレクトロルミネッセンス(EL)またはフォトルミネッセンス(PL)のいずれかに焦点が当てられていましたが、Phelosは、ELとPLの両方を1つの卓上のコンパクトなシステムに組み込んだ唯一の角度分解分光計です。
付属のソフトウェアを使用すると、実験を完全に制御し、強力なシミュレーションソフトウェアSetfosと簡単に組み合わせて、データ分析、パラメータ抽出、およびデバイスモデリングを行うことができます。

Phelosで得られた新たな成果

1.Optical Outcoupling Efficiency of Organic Light-Emitting Diodes with a Broad Recombination Profile
(広い再結合プロファイルを備えた有機発光ダイオードの光取り出し効率)
Yungui Li, Naresh B. Kotadiya, Bas van der Zee, Paul W. M. Blom, and Gert-Jan A. H. Wetzelaer
Adv. Optical Mater. 2021, 2001812, 1
doi/full/10.1002/adom.202001812

再結合領域を拡大することは、有機発光ダイオード(OLED)の寿命を延ばすのに有効ですが、光取り出し効率への影響は不明です。 ポリマーLEDでは一般的にみられる、OLEDの幅広い再結合領域が光取り出し効率に及ぼす影響を著者らは分析しました。これまでのOLEDの光取り出しに関する研究とは異なり、この研究では、光学モデルと、実験的に検証された電荷輸送パラメータに基づいた再結合プロファイルの電気的シミュレーションが組み合わされています。 その結果、再結合領域の拡大が、光取り出し効率を犠牲にすることなく、アーキテクチャの簡素化と動作安定性の向上という利点を維持できることが示されています。
モデルの重要な要素として、エミッター薄膜の双極子配向を決定する必要がありました。これは、Phelosを使用してEMLのPLスペクトルの角度依存性を測定し、Setfosを使用してフォトルミネッセンスの角度依存性をフィッティングすることで行われました。
それらの再結合プロファイルと光取り出し効率の分析は、SetfosのEmissionおよびDrift-diffusionモジュールを使用して簡単に再現できます。

2.Kinetic Control over Self-Assembly of Semiconductor Nanoplatelets
(半導体ナノプレートレットの自己組織化における速度論的制御)
R. Momper, H. Zhang, S. Chen, H. Halim, E. Johannes, S. Yordanov, D. Braga, B. Blülle, D. Doblas, T. Kraus, M. Bonn, H. I. Wang, A. Riedinger
Nano Lett. 2020, 20, 6, 4102
doi/abs/10.1021/acs.nanolett.9b05270

CdSeの半導体ナノプレートレットは、分光的に純粋な蛍光を示します。プレートレットを固体状態で集合的に配向させることにより、単層から偏光発光を得ることも可能です。その際に主に問題になったことは、確実にプレートレットの整列に役立つが、電気的観点で薄膜を興味ないものにしてしまう絶縁性の配位子の添加を避けることでした。 この問題は、マックスプランク高分子研究所のリーディンガー博士が率いるチームによって解決されました。

研究者らは、液体界面での自己組織化に溶媒蒸発速度を利用して、単分子層におけるナノプレートレットの集団的な配向を速度論的に制御しました。ナノプレートレットの配向を制御した単層膜は、遷移双極子モーメントの長距離秩序を示し、巨視的に偏光された発光を示しました。さらに、ナノプレートレット間の面内電子結合により、単一のナノプレートレット単層膜を介した電荷輸送が可能になります。

著者らは、Phelosを使用して角度および偏光を分解したPL測定を実行し、Setfosを使用してデータをフィッティングすることにより双極子配向の情報を得ました。その結果、ミリメートルスケールでもプレートレットが長距離秩序(フェイスダウンまたはエッジアップ)を維持し、それらのフォトルミネッセンスが偏光していることが決定的に示されました。

3.Scalable photonic sources using two-dimensional lead halide perovskite superlattices
(二次元ハロゲン化鉛ペロブスカイト超格子を使用したスケーラブルなフォトニックソース)
J. Jagielski, S. F. Solari, L. Jordan, D. Scullion, B. Blülle, Y.-T. Li, F. Krumeich, Y.-C. Chiu, B. Ruhstaller, E. J. G. Santos, C.-J. Shih
Nature Communications 2020, 11, 387
doi.org/10.1038/s41467-019-14084-3

著者らは、半導体の2次元(2D)材料をベースにした小型化されたフォトニックソースが、最新のIII-V族を超える新たな技術的機会を提供できる可能性があることを示しています。
本研究では、ハロゲン化鉛ペロブスカイトのコロイド量子井戸からなる多重量子井戸超格子を、極薄の量子障壁で切り離すことができました。これは、狭帯域発光、高い量子収率、増強された光取り出し、および波長可変性を備えた2D材料超格子による、スケーラブルなフォトニックソースを独自にデモンストレーションしたものです。 これらの特性は、ナノアンテナや発光ダイオードなどの多くのニアフィールドおよびファーフィールドのアプリケーションにとって非常に望ましいものです。
Phelosにより、研究者が角度分解PLを分析する上で、独自の利点がもたらされました。Phelosには半球状のガラスレンズが装備されており、通常は基板モードで失われてしまう正規化された波数ベクトルk / k0> 1の光子を取り出すことができました。

4.J-Aggregation Enhances the Electroluminescence Performance of a Sky-Blue Thermally Activated Delayed-Fluorescence Emitter in Nondoped OLEDs
(J-会合体によるノンドープOLED中のスカイブルー熱活性化遅延蛍光エミッターのエレクトロルミネッセンス性能の向上)
Wei Li, Wenqi Li, Lin Gan, Mengke Li, Nan Zheng, Chengyun Ning, Dongcheng Chen, Yuan-Chun Wu, and Shi-Jian Su
ACS Appl. Mater. Interfaces 2020, 12, 2
https://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/acsami.9b17585

本論文では、ノンドープの有機発光ダイオード(OLED)において増強されたエレクトロルミネッセンスを示す新しい熱活性化遅延蛍光(TADF)が紹介されています。 ドープされていないスカイブルーTADFOLEDで25.7%の高い外部量子効率(EQE)が達成されました。これは、ノンドープスカイブルーTADFOLEDで報告されているいかなるEQEの値よりも高いです。

本論文では、DspiroAc-TRZと呼ばれる効率的なTADFエミッターについて詳しく説明しています。 この分子の結晶は非平面的なパッキングパターンを示し、これにより、非常に効率的な固体での発光、短い三重項励起子拡散長、および励起状態での小さな幾何学的な振動緩和がもたらされます。

これらの系のPLをPhelosで測定し、データをSetfosでフィッティングすることで、様々な薄膜の双極子配向を決定しました。

ペロブスカイト量子ドットを使用した光変換

量子ドットは半径が数ナノメートルの結晶性半導体粒子で、その大きさによって光学的および電気的特性が本質的に決まります。粒子が小さければ小さいほど、光の吸収と発光は短波長側にシフトします。

ナノ結晶の最も重要な用途は、量子ドット増強液晶ディスプレイ(LCD)です。最も有名なブランドは、ソニーのトリルミナスとSamsungのQLEDTVです。これらのディスプレイでは、量子ドットは、カラーフィルターの直前で背景光を目的の色に変換するためのダウンコンバージョン材料として使用されたり、ディスプレイ全体に背景光を均一に分散する光拡散層に添加されたりします。

Fluximによるブログ投稿では、量子ドット、特にペロブスカイトナノ結晶の特性と用途について説明しています。

角度分解エレクトロルミネッセンスを使用して量子ドットバックグラウンド散乱フィルムの特性評価を行い(Phelos)、電気光学シミュレーション(Setfos)と十分に結び付けて結果を分析する方法を示します。

こちらで概要を紹介した、ペロブスカイト量子ドットを用いて光の波長を変換するトピックの詳細(英文)については、こちらからご覧になれます。

本ニュースレターの原文はこちらです。(英文ページに遷移します。)

https://www.fluxim.com/news/2021/5/25/latest-research-with-phelos

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