マルチスケール解析パーコレーション解析〜数値材料試験による複合材料設計〜

  • フィラーの充填率の変化による材料物性値への影響を知りたい
  • フィラー形状の変化による材料物性値への影響を知りたい
  • 複合材料の詳細な設計をCAEで行ないたい

解析概要

熱伝導率が低い樹脂に熱伝導率の高いフィラーを充填していくと,ある充填率で熱伝導率が飛躍的に上昇することが知られており,このような現象をパーコレーションと呼びます。マルチスケール解析によるパーコレーション現象の解析事例を紹介します。

・パーコレーションとは

熱伝導率が低い樹脂に、熱伝導率が高いアルミナなどのフィラー(粒子や繊維)を充填させていくと、ある程度の充填率で熱伝導率が飛躍的に上昇することが知られています。また、絶縁体の樹脂に導電性の高いカーボンなどを充填していくと、同様にある程度の充填率で電気伝導率が飛躍的に上昇します。このように特性が変化する現象はパーコレーション(Percolation)と呼ばれています。パーコレーションのこのような特性は、系内の物質がつながってクラスターと呼ばれる集団を形成し、熱や電気が通るパスを形成することで発現します。フィラーの充填率が高くなり、クラスターが系全体を連なることでより高い熱伝導性や電気伝導性が現れます。


図1 クラスターの形成と伝導特性の向上

・高熱伝導/高電気伝導性複合材料の使用用途

近年では電子部品の消費電力の増大に伴い、放熱が問題になることが多くなっています。従来は金属などが使用されてきましたが、プラスチックは成形性が良いことなどから、ノートパソコン、携帯、LEDなど幅広く普及してきています。さらに、電子基板の絶縁層にも放熱性の向上を目的として利用されています。また、高電気伝導性の複合材料も二次電池や燃料電池の電子キャリアー材や触媒胆持体、電極材料、電磁波シールド材、面状発熱体など様々な分野で使用されています。

・パーコレーション解析の重要性

熱伝導性(導電性)が低い樹脂に、高い粒子や繊維を充填させることで、熱伝導性の良い材料を作成することが可能です。しかし粒子や繊維の充填率を高くすると、成形性が悪くなりコストも増加します。そのため目的の材料物性値を達成するために充填率やフィラーの形状などを適切に選ぶ必要があります。そこで、パーコレーションの解析を実施することで、粒子や繊維の形状および充填率によってどのような材料物性値になるか、もしくは目的の材料物性値を得るためにどの程度の充填率が必要かを予測することが可能となり、材料設計を行なうことができます。

・解析方法

Multiscale.Simの均質化解析機能を使用して,フィラーを充填した樹脂の熱伝導特性を取得します。フィラーの充填率を変化させることで,熱伝導率の充填率依存性を把握します。
具体的には,熱伝導率の低い樹脂(0.25[W/m・℃])に熱伝導率の高い粒子(800[W/m・℃])を充填率30〜80[%]の範囲で変化させ,各充填率の等価な熱伝導率を算出します。それぞれ,粒子半径が0.1[mm]で1種類の場合(モデル1)と,0.1[mm]および0.05[mm]で2種類(体積比2:1の割合)の場合(モデル2)とで解析を実施し,粒子径が異なることによる影響を把握します。モデリングはMultiscale.Simのモデリングテンプレートを使用します。また,粒子同士の繋がりを模擬するために,粒子同士の微小な食い込みを許容してモデリングします。モデルの一例を図2に示します。


図2 粒子分散モデルの1例

解析結果

図3に各モデルの「粒子充填率-熱伝導率」の関係を示します。各解析結果はX、Y、Z方向で熱伝導率が異なるため、その平均値を示しています。また図4には図3に示した@からGでの粒子の最大クラスター(伝熱パス)を示します。図3より、モデル1(粒子半径一定)では充填率が45%(@)を越えた辺りから熱伝導率が上昇し始め、その後線形的に増加しています。モデル2(粒子半径2種類)では、充填率50%(E)を越えた辺りから熱伝導率が上昇し始め、充填率60%(F)あたりで顕著な上昇が見られます。その後充填率65%(G)に達するとモデル1と同じ値を示し、その後は線形的に上昇します。図4より、モデル1では充填率50%(A)くらいでほぼ全ての粒子が繋がりクラスターを形成しています。その後充填率が高まると粒子間の繋がりが強くなり、熱伝導率が線形的に増加しています。モデル2では充填率60%(F)でも繋がっていない粒子が存在し、65%(G)になると一気に全ての粒子が繋がります。全ての粒子が繋がった後は充填率の増加に伴いモデル1と同様に熱伝導率が線形的に増加することが分かります。


図3 粒子充填率-熱伝導率関係

図4 各充填率における最大クラスター

解析種類

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