製品情報
Version 5.1x
リリース
Version 5.12:2022年5月
Version 5.1 :2021年8月
重要なお知らせ
JRE の脆弱性の解消について
2021年4月21日にJREの脆弱性に関する発表があり、当該の問題が解消されたバージョン(jdk8u292-b10)がリリースされています。
これ対応しWAON Version 5.1には最新JREを同梱しました。なおAdoptOpenJDKのインストール方法は、WAONのインストールマニュアルをご参照ください。
ライセンスマネージャーの対応OSについて
ライセンスマネージャープログラムのWindows 32bit版はVersion 5.1x までとし、Versdion 5.2xからは廃止します。
新機能
観測点音圧の高速計算機能
境界要素法における連立一次方程式の求解時に適用されていた高速多重極法(Fast Multipole Method: FMM)を、境界面での音圧と粒子振動速度から観測点での値を算出する計算(後処理)に適用することで、大量の観測点が存在する場合における後処理計算の負荷を大幅に低減します。
例えば自由度が約50万で観測点数が約15万のある解析において、従来の後処理計算では約200分を要するところ、本機能による計算では0.5分~1分(周波数依存性あり)の所要時間に低減されました。
なお本機能の導入に伴い、FMMに基づく解析の結果は旧バージョンでの値に対して僅かに異なる場合があります。
流体音解析における高速化機能の拡張
FMMに基づいた流体音源の寄与計算に関する高速化機能は、これまでは基本型(Basic Form: BF)において境界面への寄与を計算する時(流体音源の前処理)に限り使用できました。本バージョンからは表裏独立型(Double Layer Form: DLF)への適用と、観測点への寄与計算時(流体音源の後処理)にも適用できます。これにより、薄層境界を含む空間や閉じた境界面を有する外部空間の解析(この場合、見かけの内部固有値問題への対処が必要となる)に対しても高速化された流体音解析を実施できます。特に流体音源の後処理計算では、前処理で算出した値を多く再利用できるため、計算時間が劇的に短縮されます。
多指向性音源のモデル化機能

スピーカーの放射特性をモデル化した敷地内の建屋表面における音圧分布図
音源群を内包する閉曲面上における音圧と空気粒子振動速度により放射波を表す音源(境界積分方程式 (Boundary Integral Equation: BIE) 型音源)で、任意の放射指向性を表すことができます。
閉曲面上の値はWAONやEnsightの結果ファイルから読み取ることができるため、WAONで実施した自由音場における単体の放射音解析結果や、CFDによる任意物体周りの圧力と速度変動(圧力と速度変動をFFTにより周波数領域へと変換する機能を有する)を音源とすることができます。
前者はスピーカー単体の放射音解析結果を任意の空間に設置した場合の解析に、後者はファン騒音の解析などに適用することが可能です。

- BIE音源を設定するための GUI
Version 5.11ではBIE 音源を設定するためのGUIを作成しました(右図のウィンドウ)。
BIE音源を作成する為に必要な情報は、こちらのウィンドウから入力することができます。 - BIE音源におけるNoUseInPostprocessフラグ
観測点における音圧は、境界要素からの寄与と音源からの寄与を加算することで算出しますが、この加算をせずに境界要素からの寄与のみで求める音圧は、境界面による反射音と見做せる場合があります。
タッチパッドによるメッシュの回転機能
Version5.0のリリースに伴い、ビューワーにおけるメッシュ表示に関するマウス操作方法を変更しましたが、Note PCでマウスを使用しない際のメッシュ回転機能がありませんでした。Shiftボタン+左ボタンの状態で、タッチパッドによるメッシュの回転ができます。
不具合の修正
Version 5.12で修正した不具合
PUNCHファイルによる構造モードの取り込みの上限次数が400次
Nastranの固有値解析結果を取り込むためにPUNCH OUTファイルを利用する場合、WAONが読み取ることのできる上限の次数が400次でした。
この不具合を解消したため、Version 5.12以降では次数の上限は存在しません。
読み取ることのできないOP2ファイルへの対応
Nastranのバージョンに依存して、WAONでは読み取れないOP2ファイルがありました。この点を解消しました。
音響-音響連成解析において音源をTableで設定した場合の補語Materialについて
音響-音響連成解析におけるSourceコマンド内でTableを使用した場合、補語Table以降のコマンドにおいて補語Materialが機能しませんでした。このことにより、二番目以降に発行するMaterialコマンドで設定する解析対象空間には、点音源や観測点を設定できていませんでした。
BIE音源の音源データとして使用する*.fddファイルの書式
Version5.1では*.fddファイルに節点座標値を含めた場合に読み取ることができませんでした。この点を解消しました。
Version 5.1で修正した不具合
観測点数が数十万個の観測点を読み取る際に生じる異常終了
観測点を再読み込みする際の異常終了
解析結果のカラーコンター表示とワイヤーフレーム表示に関する不具合
メッシュビューワーにて、メッシュをワイヤーフレーム表示した状態において要素セットを選択するとセットに色がつくが、そのまま結果コンターの表示を指定すると、ワイヤーフレームに戻ってしまいました。結果コンターが表示される様に修正しました。
修正できていない不具合
GUIへの入力時にプログラムが停止する不具合
Windows10 2004以降で提供されている新しいMicrosoft IMEの不具合の影響を受け、このIMEを使用してWAONのGUIに文字を入力すると画面がフリーズします。
この問題は従来のIMEを使用することで解決します。従来のIMEを使用する方法は下記をご参照ください。