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設計開発DXがどのように企業のROI(投資対効果)を最大化するのか

技術部門が経営を動かす時代のデジタル活用プロセス変革

製造業の競争環境は、この10年で劇的に変化しました。製品は高度化し、複雑なシステムとして構成されるようになり、ソフトウェアとの融合は急速かつ不可欠に進んでいます。市場はグローバル化し、企業は世界中の競合と同じ舞台で戦うことを余儀なくされています。その結果、開発期間の短縮とコスト圧力は年々厳しさを増しています。

こうした環境のなかで、多くの技術部門の管理職が共通の悩みを抱えています。開発期間の短縮、増加する試作コスト、一向に減らない設計の手戻り。さらに部門間の連携はますます複雑になり、中核を担う設計者人材の不足がさらに追い打ちをかけています。

これらは、それぞれ個別の問題のように見えますが、開発プロセスが従来のままであるという共通する背景があります。この問題を根本から変える取り組みとして、サイバネットが提供しつづけている領域が設計開発DXです。

CADCAEMBSEMBDなどのデジタル技術を活用し、開発プロセスそのものを変革するアプローチです。しかし重要なのは、設計開発DXが単なるツール・技術導入にとどまらず、企業のROI(投資対効果)を大きく左右する経営テーマであり、技術部門の管理職が理解すべき部分ということです。

設計開発DXという技術投資を経営投資として説明できるかが、技術部門の管理職が直面する大きな壁です。

その一つが、技術投資の説明責任です。

技術投資を「経営投資」として説明できるか

技術部門が新しい取り組みを提案するとき、必ず問われる質問があります。

「それは会社の利益にどれだけ貢献するのか」

例えばCAE導入やMBSE環境の構築、MBD開発基盤の整備、あるいは設計データ連携基盤の整備など、設計開発DXの提案は多岐にわたります。しかし「技術的に必要だから」という説明だけでは、経営判断は動きません。

経営層が見ているのは、利益や収益性、投資回収、そして市場競争力です。つまり設計開発DXという取り組みが、企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ)にどのような影響を与えるのかが問われているのです。

そのため設計開発DXを語るときには、技術論ではなく「経営資源の最適化」という視点が不可欠になります。

「ヒト」設計者の時間は企業で最も高価値な資源

企業の技術力は、最終的には設計者の知識と経験によって支えられています。しかし現場を見渡すと、多くの設計者が本来の創造的業務とは別の仕事に膨大な時間を費やしています。

試作と評価の繰り返し、頻繁に発生する設計変更への対応、不具合原因の解析、部門間の調整。こうした業務は確かに必要ですが、その多くは「問題を解決する時間」であり、「価値を生み出す時間」ではありません。

ここでシミュレーション解析やモデルベース設計を活用すると、開発の考え方は大きく変わります。開発プロセスは「作ってから直す」ものから「作る前に検証する」ものへと変わり、さらに前に進めることで設計精度は向上し、高度化した状態は開発力、つまり企業競争力に昇華していくのです。

この変化の本当の価値は、単なる効率化ではありません。設計者の時間を問題対応から解放し、価値創造へと戻すことにあります。設計者の一時間は、企業にとって最も価値の高い経営資源の一つです。その使い方を変えることこそが、企業の競争力を大きく左右するのです。

「モノ」試作中心の開発からデジタル検証へ

従来の開発では、試作と実験が重要な役割を担ってきました。そのため、試作、評価、設計変更、再試作というサイクルを何度も繰り返すことがセオリーになります。

このプロセスは、試作製作費や材料費、実験設備の使用料、さらには機会損失に直結する開発時間の増大といったさまざまなコストを生み出します。

しかしシミュレーション解析やモデルベース設計を活用すれば、試作の多くをデジタル空間で再現することが可能になります。その結果、試作回数は減少し、検証の成功率は高まり、開発リスクは低減しますが、大事なのは視点です。

これは単なるコスト削減ではなく、製品品質の安定化という経営メリットを生み出す変化として捉えることが重要なのです。

「カネ」ROIを決めるのは開発期間の長短である

経営が投資を評価するとき、最も重視する指標はROIです。そして設計開発DXROIは、実は非常に明快です。開発期間を短縮することで、売上機会を拡大できることにあります。

多くの製品では、売上の大部分が市場投入のタイミングによって決まります。たとえ同じ製品でも、競合より半年早く市場に出せるかどうかで収益構造は大きく変わります。だからこそ、世界中の製造業で開発期間の短縮競争が激しくなっているのです。

設計手戻りの削減、試作回数の削減、そして部門間連携の高速化。これらが実現されれば、開発期間は確実に短縮されます。そしてこの時間短縮こそが、企業のROIに直接的なインパクトを与えるのです。

企業にとって利益への影響が大きいのは、コスト削減よりも売上機会の拡大です。
つまり設計開発DXとはコスト削減の施策ではなく、収益創出を加速するための経営施策なのです。

 

技術部門が企業の競争力を左右する時代

製品の高度化、大規模なシステム化、そして短い製品ライフサイクル。こうした変化によって、企業競争の中心は確実に設計力へと移りつつあります。

つまり、技術部門が企業競争力を左右する時代が到来しつつあると言えるでしょう。

だからこそ必要になるのが、技術と経営をつなぐ存在です。現場の課題を理解しながら、それを経営価値として説明できる人材です。そのような人材こそが、DXを単なる技術導入ではなく、企業変革へと導く原動力になります。

設計開発DXとは、ヒトの価値を高め、モノの無駄を減らし、カネの回収を早める取り組みです。言い換えれば、企業のROIを最大化するための設計基盤そのものなのです。

そしてこれからの製造業において、その設計基盤をどう構築するかが、企業の未来を決めることになるでしょう。

山本祥晃のプロフィール写真
著者

山本 祥晃

Yamamoto Yoshiaki

サイバネットシステム株式会社

営業本部 CPC営業統括部

シニアプリンシパル

大手製造業にて商品企画などマーケティング分野に10年以上携わり、製品開発から販売までPdM(プロダクトマネジメント)を統括。現在はマーケティングプロモーション分野で活動中。

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