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コラム

補助金で加速させる設備投資と技術開発──航空分野で未来を拓く

日本の航空機産業、次なる挑戦へ

日本の航空機産業は、いま新たな成長戦略のもと、大きく舵を切ろうとしています。 
かつては航空機構造部品の主要サプライヤーとして国際的地位を築いてきた日本の航空機産業。しかし、機体構造やコンポーネントレベルの技術だけでは今後の成長は限定的であると考えらえています。 
2024年4月に策定された「航空機産業戦略」では、単なる下請け構造から脱却し、「完成機事業への参画」「システムレベルでのインテグレーション能力の確立」を目指す産業構造への転換が示されています。 

今こそ国による補助金・支援制度を活用することが大きな突破口となります。 

本コラムでは、航空機産業に対する最新の補助制度と、企業がその制度をどのように活かせるか、そしてサイバネットがどのように支援できるかを4つのポイントでご紹介します。 

【1】補助制度の拡充で“完成機事業への参画”を後押し

2024年に策定された「航空機産業戦略」では、産業構造の変革と国際競争力の向上を目的に、国が以下のような補助制度を打ち出しました。

■主な支援制度

・ GX移行債による設備投資支援(5年間で1,200億円) 
 例:ロボット導入、MRO施設整備、DX化投資など 

  GI(グリーンイノベーション)基金支援(最大516.8億円) 
 例:水素燃料航空機、電動推進、軽量構造などの研究開発

【2】国の補助金制度の概要と活用メリット

日本の航空機産業は現在、大きな転換期を迎えています。脱炭素・高効率化への対応、サプライチェーンの強靱化、さらには民間と防衛の産業基盤の融合など、産業構造の再構築が急務となっています。こうした状況を背景に、国は2024年に「航空機産業戦略」を策定し、航空機関連事業者の成長を後押しするため、複数の補助金・投資支援制度を打ち出しました。 

GX推進対策費による設備投資支援

経済産業省は、「GX移行債」を活用し、次世代航空機の開発や生産体制の構築に向けて、2025年度から5年間で総額1,200億円規模の支援を予定しています(うち2025年度分は81億円)。
この中で注目されているのが、以下のような設備投資・技術実証への補助です。

  • 次期航空機向け機体部品の高レート生産技術実証
  • 低燃費エンジン開発にかかる技術実証
  • 生産プロセスの自動化・DX化に向けた投資
  • 国内エンジンMRO(整備・修理・オーバーホール)拠点の整備

これらの事業は、大企業だけでなく、中堅・中小製造業の参入・連携も視野に入れた制度設計となっており、地域のものづくり企業が航空機産業に新規参入する好機にもなり得ます。

GI(グリーンイノベーション)基金によるR&D支援

環境性能の高い次世代航空機の開発を目指し、最大516.8億円が充てられ実施されています。
対象となるのは以下の4分野:

  • 水素航空機向けコア技術開発
  • 液体水素燃料を用いた燃料電池推進システム
  • 航空機主要構造部品の複雑形状・飛躍的軽量化開発
  • 電動システムや熱・エアマネジメント技術

すでに2024年10月には、川崎重工業が航空機用小型水素エンジンの運転試験に成功するなど、プロジェクトは着実に進行中です。
こうした先端技術分野への挑戦を、国が長期的に後押ししているのが特徴です。

補助金制度の位置づけと実務的な利点

これらの補助金は、従来型の「開発フェーズのみの支援」にとどまらず、試作 → 生産 → アフターサービス(MRO)に至るまで、航空機のライフサイクル全体を対象とした包括的なものです。

たとえば、以下のような企業ニーズに対応できます。

  • 新型機の量産に向けて生産ラインを強化したい
  • カーボンニュートラルに対応する新設備を導入したい
  • 品質認証取得のために検証設備を整備したい
  • エンジンの整備・再生事業を新たに立ち上げたい

このように補助金は「技術導入のハードルを下げる施策」であると同時に、「事業化・収益化への加速装置」として大いに活用できる制度です。

【3】国の補助金を活用してビジネスの可能性を広げませんか?

この制度は、次のような課題や計画をお持ちの企業様に最適です。

  • 航空機分野へ新規参入したい
  • 既存の生産体制を自動化・省人化したい
  • カーボンニュートラル対応の新技術を導入したい
  • MRO事業や装備品整備ビジネスを新たに始めたい
  • 設計・製造・認証の統合化によって事業を高度化したい

これらに1つでも該当する場合は、補助金活用によって技術導入のコストリスクを最小化しながら、ビジネスの可能性を大きく広げることができます。

官民が一体となって、事業の立ち上げを後押し

国は現在、各種検討会(航空機産業小委員会・サプライチェーン現代化検討会・無人機産業基盤強化検討会)を通じて、民間企業の声を政策に反映する仕組みを整備しています。つまり、「補助金は制度を受けるだけの一方通行」ではなく、「事業者のリアルな課題に即した設計に進化している」ということです。
また、国の支援によって高い収益性や社会的意義が見込まれる先端分野(水素燃料、電動化、空飛ぶクルマ、AI検査、自動加工設備等)への参入もしやすくなっています。

【4】サイバネットが補助金活用から技術導入までをトータルでサポートします

補助金を活用して航空機関連事業に挑戦したい――そうお考えの企業様にとって、「制度の複雑さ」や「技術要件の高さ」がハードルとなることもあるかもしれません。そんなときこそ、私たちサイバネットのソリューションサービスをご活用ください
サイバネットでは、設計・開発フェーズから量産体制構築、さらに認証対応やDX化までを見据えた、総合的な支援を提供しています。

サポート分野

内容

補助金申請支援

制度理解、対象要件の整理、事業計画書策定支援

技術検討支援

CAE解析(構造・熱・流体)、MBSE、シミュレーション導入

プロセス改善支援

設計~製造~認証を貫くDX化、トレーサビリティの強化

自動化・品質支援

AI検査、ロボット導入、デジタルツインによる生産最適化

PLMSCM連携支援

製品ライフサイクル管理、業務プロセス可視化、SC最適化

日本の航空機産業は"脱サプライヤー依存"を果たし、完成機事業にまで踏み込もうとしています。

そして、そこには多額の補助金・支援制度が用意されており、企業の挑戦を後押ししています。
新たな技術、ビジネスモデルを具現化したい企業にとって、いまこそが「国策と連動した成長」の絶好のタイミングです。

「補助金に応募したいが、どう準備していいかわからない」「設備導入や新製品開発に専門的なアドバイスがほしい」
そんなときは、ぜひ一度サイバネットにご相談ください。技術と制度の橋渡し役として、最適なソリューションをご提案いたします。

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サイバネットシステム株式会社
デジタルエンジニアリング事業本部