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制御モデル

制御モデルとは?システム開発における役割

制御モデルとは、システムや製品を動かすための制御アルゴリズムを数式やブロック図で表現し、コンピュータ上で動作をシミュレーションできるようにしたものです。たとえば自動車のエンジン制御や電動化システム、ロボットのモーション制御など、複雑な挙動を事前に仮想空間で確認することが可能になります。近年はモデルベース開発(MBD)の普及とともに注目されており、制御モデルはMBDを実践するうえでの中心的な要素となっています。従来の設計手法では、試作品を製作して動作確認を行うために時間とコストがかかりましたが、制御モデルを活用すれば、開発初期から仮想的に検証を進められ、効率的な設計が可能になります。

制御モデルを導入するメリット

制御モデルを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。第一に、早期検証によるリスク低減です。実機を製作する前にさまざまな動作条件をシミュレーションできるため、不具合の早期発見や仕様変更への柔軟な対応が可能になります。第二に、部門間での共通言語としての役割があります。ブロック図やモデルをベースに議論することで、設計者・制御エンジニア・マネジメント層が同じ理解を持ちやすくなり、意思決定のスピードが上がります。第三に、自動コード生成との連携です。制御モデルを用いれば、シミュレーション環境で検証したアルゴリズムをそのままソフトウェアコードとして出力でき、ヒューマンエラーの削減や開発効率の向上につながります。これらの効果はMBDの推進に直結し、企業全体の開発競争力を高めます。

制御モデル導入のポイントと今後の展望

制御モデルを効果的に導入するには、いくつかのポイントがあります。まず、目的を明確化することが重要です。省エネ性能向上を目指すのか、制御の安定性を重視するのかによって、モデルの粒度や解析方法が変わります。次に、適切なツールの選定が欠かせません。MATLAB/Simulinkなどの代表的なツールは、プラントモデルやCAE解析とも連携でき、MBDの基盤として広く利用されています。また、段階的な導入もポイントです。最初から複雑なモデルを構築するのではなく、まずは簡易なモデルでシミュレーションを行い、徐々に精度を高めていくと定着しやすいでしょう。さらに、将来的にはAIやデータ同化技術を取り入れた制御モデルが増え、システムの自律性や最適化が一層進むと予想されます。制御モデルは単なる技術的手段にとどまらず、MBDを支える中核として今後ますます重要性を高めていくでしょう。

事例/活用例

モデルベース開発(MBD)プロセス構築支援ソリューションのご紹介|MBSE & MBDエンジニアリングサービス

MBD導入では手順不明やノウハウ不足が課題となります。サイバネットは40年の実績と研究経験を活かし、要件定義、制御・プラントモデル構築、RCP/HILS検証、テスト実行まで、MATLAB/Simulinkをベースにしたモデルベース開発を支援します。

制御開発におけるRCP/HILS検証環境の構築と事例紹介

制御開発における RCP(Rapid Control Prototyping)/HILS(Hardware-in-the-Loop Simulation) 環境の構築手法と事例を解説しています。MBDプロセス内での位置付け、RCP/HILS導入による実車試験抑制や検証スピード向上の効果、Raspberry Pi や dSPACE を用いた構築例などが紹介されています。検証環境整備の実践ノウハウを得たい方には役立つ内容です。

データ駆動型制御器チューニング手法 ” FRIT ” の提案 -繰返し実験することなく1回の実験データのみで制御器のパラメータを最適化

この資料では、実験を何度も繰り返さず、1回の実験データから制御器パラメータを最適化できる「FRIT」手法を詳しく解説しています。数式モデルを必要とせず、実測データから周波数応答を推定して制御性能を改善できるのが特徴です。自動車のエンジン回転制御や化学プラントの温度制御などへの適用事例が紹介され、従来の試行錯誤型チューニングと比べて開発効率や品質向上につながる点が具体的に示されています。

モデルベース開発におけるSILSの適用と環境構築手法 ~MATLAB/Simulinkで構築するSILS検証環境~

本資料では、組み込みソフトウェア開発におけるSILS(Software In the Loop Simulation)環境構築についてMATLAB/Simulink にて使用可能な手法や、シミュレーション実行速度の高速化事例をご紹介いたします。

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