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製品情報

PRODUCT

有機EL・太陽電池デバイスの電気・光学特性測定器

Paios

有機EL・太陽電池デバイスの電気・光学特性を自動で測定できる測定器

Paiosは、たった1クリックで有機EL・太陽電池デバイスのインピーダンス分光やPhoto-CELIV、ダークインジェクション、IV特性など多岐にわたる実験を瞬時に実行します。一貫性のある詳細な測定データを取得し、結果をソフトウェア上で直接比較すれば、研究スピードを加速できます。
また、その他にも10種類以上の計測技術を備えています。

利用用途 有機EL、太陽電池(有機薄膜太陽電池、ペロブスカイト太陽電池)
測定項目 電流電圧(輝度)特性、過渡光電流(TPC)、過渡光電圧(TPV)、Photo-CELIV、DIT(Dark Injection Transient)、CELIV(Dark-CELIV、Photo-CELIV、遅延時間-CELIV、注入-CELIV、MIS-CELIV)、インピーダンス分光、静電容量-電圧特性、過渡EL
仕様
  • 最大印加電圧:±12V
  • 最大印加電流:100mA、最小測定可能電流:< 100pA
  • 時間分解能:16.7ns(サンプリングレート:60MS/s)
  • 測定分解能:12bit
  • 測定周波数範囲: 10mHz〜10MHz

Characterization Suite リリース情報

※Characterization Suite は Paios・Phelos・Litosの測定・制御ソフトウエアです。

リリース時期:2019年9月

概要

Fluxim Characterization Suiteのバージョン4.2には以下の機能が導入されています。

  • Automated Measurement Table(自動測定テーブル)用の新しいMulti-LED拡張
  • Key ResultsとExport機能の改良
  • Setfos Integration モジュールにおけるionic drift-diffusionソルバーの統合
  • Setfos Integrationモジュールによるパラメータフィッティング向けの新しいアルゴリズムsimulated annealing
  • Phelosデータに対する、EQEとlm/Wの後処理

その他多くの機能の追加と改良を行いました。

Multi-LEDモジュール

  • DC/AC/過渡実験に使用できる15個の単色LEDをAutomated Measurement Table(自動測定テーブル)に追加します。
  • スペクトロメーターを使えば、LEDの強度を絶対的に較正でき、太陽電池の外部量子効率を計算することができます。
  • 波長は、300〜1600nmの範囲でカスタマイズできます。

異なる波長のLEDを使用することで、吸収特性や吸収する層に影響を与えることができ、(例えば赤外)有機フォトディテクタやペロブスカイトフォトディテクタを調べることができます。
Multi-LEDモジュールはAutomated Measurement Table向けの拡張で、OLED用、スペクトルモジュール、全ての温度モジュールとも互換性があります。

Multi-LEDモジュールを使うことで様々な太陽電池のEQEを調べることができます。

Setfos Integration

  • SetfosをCharacterization Suiteと統合させることで、PaiosとPhelosで行える実験をシミュレーションできます。
    Setfosの光学モデルとDrift-diffusionモデル(の両方もしくは一方)を測定データにフィッティングすることでパラメータ抽出が可能になります。
  • ”Simulated Annealing”というフィッティングアルゴリズムをSetfos Integration機能群に追加しました。
    初期パラメータへの依存性がより少ないため、グローバルフィッティングに有益です。
  • インピーダンス分光、IMPS(intensity-modulated photocurrent spectroscopy)、IMVS(intensity-modulated photovoltage spectroscopy)の実験を過渡ステップ応答シミュレーションから計算することが可能です。
    可動イオンを含むペロブスカイト太陽電池もしくは電気化学発光セルのACモデリングが可能になります。

※ペロブスカイト太陽電池の測定とモデリングに関する最新の論文はこちらで見ることができます。

この変調実験における可動イオンの影響は、Characterization Suite4.2のSetfos Integrationを使って簡単に調べることができます。

特長

コンパクト設計

高精度で高速、高分解能な測定ユニットがコンパクトなボックスに格納されています。

様々な素子レイアウトに対応

プローブ(探針)で測定サンプルにコンタクトします。プローブは移動可能ですので、様々な素子のレイアウトに対応可能です。
試料ホルダーのカスタマイズも承っています。

パラメータスイープ

1つまたは2つのパラメーターを変えながら、複数回測定が可能です。
スイープスライダーを使って簡単に測定データを確認することが可能です。

データ測定と比較

多くのデバイスのデータを体系的に保存することができ、各デバイスのデータをソフトウェア上で比較することが可能です。

ユーザ定義波形

Paiosシグナルエディターを使えば、独自の波形を定義して、過渡特性実験が可能です。

適用例

電流電圧特性は、太陽電池に対してのデフォルトの特性技術です。標準的な太陽電池のパラメータである、短絡電流、開放電圧、フィルファクター(FF)、最大パワーが自動で計算されます。高電圧での空間電荷制限電流(SCLC)から、電荷キャリア移動度が解析できます。

解析されるパラメータ MPP(最大電力点),FF,Voc(開放電圧)、Isc(短絡電流)、SCLC移動度、理想係数測定
対象デバイス 太陽電池、ユニポーラデバイス

太陽電池の過渡的な実験により、定常状態の実験では得られない、電荷キャリアのダイナミクスに関する付加情報が得られます。デバイスが光パルスにより照射されて電荷が生成され、固定電圧での過渡的光電流が測定されます。

解析されるパラメータ 電子と正孔の移動度、トラッピングのダイナミクス
測定対象デバイス 太陽電池

高負荷の抵抗を用いて、光を消した後の開放電圧の減衰が測定されます。この実験から、電荷キャリア再結合の情報が得られます。

解析されるパラメータ 再結合、トラッピングのダイナミクス
測定対象デバイス 太陽電池、(OLED)

この実験は、2つの光パルスに対する太陽電池の電流応答を測定する際に役に立ちます。二つのパルスの遅延時間を変えることで、2つ目の光電流の一時的な変化を引き起こせます。十分に長い減衰時間に対しては、第1と第2のパルスは同一になります。この手法は、トラップのダイナミクスやその他のゆっくりとした過程を解析するために使用できます。

解析されるパラメータ トラッピングのダイナミクス
測定対象 デバイス太陽電池

この過渡的実験では、空間電荷が制限される注入領域での電荷キャリア移動度が解析できます。デバイスにパルス電圧が印加され、その電流が記録されます。注入電流は、電圧ステップによる変位電流に重ね合わせられます。ユニポーラでトラップがない場合は、電流のピーク位置は電荷キャリア移動度に関係しています。

解析されるパラメータ 電荷キャリア移動度
測定対象デバイス ユニポーラデバイス、太陽電池、OLED

パルス電圧が印加されます。DITと比べて、振幅が非常に小さいです(約0.1V)。デバイスがアクティブにならない条件(一般的には、ゼロまたは負のバイアス)において行われます。デバイスの最初の変位電流ピークから、直列抵抗が評価されます。また、変位電流の減衰によりRC時間が決まります。

解析されるパラメータ 直列抵抗、幾何容量、RC時間測定
対象デバイス 太陽電池、OLED,その他のデバイス

暗中のデバイスに、負のランプ電圧が印加されます。直列抵抗と誘電率が、最初の電流増加と変位電流から解析式により評価されます。固有電荷キャリアが抽出される場合、それらは、電流のオーバーシュートを引き起こします。そのピーク時間は、電荷キャリア移動度に関係しています。

解析されるパラメータ ドーピング密度、相対誘電率、直列抵抗、電荷キャリア移動度
測定対象デバイス 太陽電池、OLED,その他のデバイス

光パルスが、電荷キャリアを抽出するランプ電圧をかける前に、デバイス内部に電荷を作成します。抽出される電荷キャリアが、変位電流に重なる電流のオーバーシュートを生じます。ピーク時間に関して、高速な電荷キャリアの移動度が、解析式により評価されます。電流のオーバーシュートを積分することにより、電荷キャリア密度が見積もられます。

解析されるパラメータ 電荷キャリア移動度、照射による電荷キャリア密度
測定対象デバイス 太陽電池

Photo-CELIVの実験ど同様に、ランプ電圧よりも前に、光パルスが加えられます。光生成電荷の一部が再結合するように、パルスの終わりとランプの間の遅延時間を変えて適用されます。抽出される電荷を遅延時間に対してプロットすると、再結合のダイナミクスを知ることができます。

解析されるパラメータ 再結合のダイナミクス、Langevin再結合の予備因子
測定対象デバイス 太陽電池

暗中のデバイスに、負のランプ電圧が加えられます。Dark-CELIV実験との違いは、付加バイアス電圧が注入を導くために加えられます。
そのため、ランプ電圧が、注入電荷キャリアを再抽出します。この実験により、特定の動作点での電荷キャリア密度が決まります。

解析されるパラメータ 異なる動作点での電荷キャリア密度、電荷キャリア移動度
測定対象デバイス 太陽電池、OLED,その他のデバイス

様々なバイアス電圧で、暗中のデバイスに正のランプ電圧をかけます。バイアス電圧に依存するMISキャパシターの場合、半導体や絶縁体のキャパシタンスは、二つの固有の平坦部を生じ、変位電流に寄与します。

解析されるパラメータ 幾何容量、相対誘電率
測定対象デバイス MISキャパシター

微小な正弦波状の電圧を印加し周波数空間での電流を測定することで、デバイスのインピーダンスが複数の周波数で測定されます。
広い範囲の周波数を用いることで、それらの異なる過渡的ダイナミクスにより、デバイス中の異なる物理的効果が識別されます。
トラップは、例えば、低周波数領域で大きな効果を示します。

解析されるパラメータ 電荷キャリア移動度、照射による電荷キャリア密度、トラッピングの変動、等価回路
測定対象デバイス 太陽電池、OLED,その他のデバイス

インピーダンスの測定により、Paiosは、デバイスのキャパシタンスとコンダクタンスを自動的に計算します。幾何容量は、通常、ダークと負バイアス測定により、抽出されます。しかしながら、トラップが解析を複雑化することもあります。このプロットは、しばしば、トラップの研究のために使用されます。低周波数でのキャパシタンスが、トラップ密度に伴って増加するためです。

解析されるパラメータ 移動度、トラップ、幾何容量、直列抵抗
測定対象デバイス ユニポーラデバイス、太陽電池、OLED

JVL曲線は、有機ELに対する基本的な特性評価です。電流-電圧曲線が、通常のJVとして測定されます。加えて、有機ELの定常状態の発光が、光検出器を用いて記録されます。有機ELのスペクトルとフォトディテクタの感度を知ることにより、有機ELの電気的や光学的な効率が計算できます。ただ、直接比較だけでなく、Paiosにより自動で計算される非定性的な効率も役に立ちます。

解析されるパラメータ 発光開始電圧
測定対象デバイス OLED

この過渡的実験では、発光デバイスの発光強度の開始と減衰が評価されます。開始電圧を超える電圧パルスが印加され、発光に対して比例する光検出器の過渡電圧が測定されます。立ちあがり、減衰および遅延の時間から、電荷キャリア移動度に関する特性情報と同様に、エミッタの寿命が得られます。同時に測定されるデバイス電流は、ダーク注入に相当し、空間電荷状態で解析されます。

解析されるパラメータ 発光の寿命、電場依存の電荷キャリア移動度
測定対象デバイス OLED