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車載太陽電池の発電性能解析

解析概要

本事例では、3次元光学解析ソフトウェアAnsys Speos、有機EL・太陽電池の光学・電気シミュレータSetfos、大面積半導体デバイスシミュレータLaoss、およびエレクトロニクス設計シミュレータAnsys Electronics Desktop(AEDT)を連携し、車載太陽電池の発電性能を予測した解析事例をご紹介します。まず、Step1ではAnsys Speosを用いて、自動車上に設置した太陽電池デバイスへ入射する照度分布を算出します。次に、Step2ではSetfosを用いて、照射条件に応じたペロブスカイト太陽電池の電流密度−電圧特性(J-V特性)を計算します。続いて、Step3ではLaossを用いて、実使用サイズの太陽電池デバイスにおける電流−電圧特性(I-V特性)を算出します。最後に、Step4ではAEDTを用いて、複数のデバイスを接続した場合の発電性能を評価します。これにより、時刻変化や周囲環境による照射条件の変動を考慮した、車載太陽電池の発電性能予測が可能となります。

解析目的および解析手法

背景と目的

車両の外装に太陽電池を組み込むVIPV(Vehicle Integrated Photovoltaics:車両統合型太陽光発電)では、平置きの太陽電池と異なり、車体形状や周囲環境の影響によって入射光条件が大きく変化します。また、建物や樹木などによる部分影や、時刻・季節の変化に伴う照射条件の変動により、デバイスごとの発電性能が不均一となるため、実環境下での発電性能を正確に予測することが課題となっています。本事例では、Speos(光環境解析)、Setfos(電気特性解析)、Laoss(大面積デバイス解析)およびAEDT(回路シミュレータ)を連携し、実環境下における照射条件の変動や部分影を考慮したVIPVの発電性能予測を実現します。

解析対象

本事例では、車両上に配置された80個の太陽電池デバイスを解析対象とします。各デバイスは150 mm × 150 mmのペロブスカイト太陽電池モジュールであり、22個のサブセルが直列接続されています。さらに、80個のデバイスは8個のデバイスを直列接続したストリングを10本並列接続した構成(8直列×10並列)とし、複数デバイス接続時の発電性能を評価します。

図1. 本事例の解析対象

図2. デバイスの接続

解析手法

以下の4つのStepで解析を行います。

  1. 照度解析
  2. デバイス単体の電流密度-電圧特性
  3. デバイス単体の電流-電圧特性
  4. 複数デバイス接続時の電流-電圧特性

解析内容

1. 照度解析

Speosで自動車上の太陽電池の設置位置(屋根部分)に照度センサーを作成し、遮蔽物の影響を加味した放射照度を計算します。本事例では計算の簡略化のために1つのデバイス内の放射照度は均一として扱い、80デバイス分の分光放射照度と入射角度ごとの強度分布の計算を行います。

図3. 太陽電池の設置位置に照度センサーを作成

図4. 遮蔽物の影響を加味した、太陽電池設置位置の放射照度解析

2. デバイス単体の電流密度-電圧特性

Setfosで太陽電池デバイスの層構造とエネルギーダイアグラムを作成し、光学パラメータおよび電気特性パラメータを入力します。本事例では計算を簡略化するため、光電変換層であるPerovskiteを半導体(Semiconducting)として扱い、電子輸送層であるZnOと正孔輸送層であるSpiro-OMeTADは電極(Electrode)として取り扱います。

図5. デバイスの層構造(左)とエネルギーダイアグラム(右)

Setfosで設計した太陽電池デバイスに対し、Speosで取得した分光放射照度および入射角度ごとの光強度分布を入力することで、各入射角におけるJ-V特性を算出します。これらのJ-V特性を合成することで、実際の照射環境を反映したデバイスのJ-V特性を求めます。

図6. J-V特性の算出

本解析を各デバイスに対して実施することで、それぞれの照射条件に応じたJ-V特性を算出します。その結果、影の影響を受けていないデバイスほど短絡電流密度(Jsc)が高くなることが確認できます。

図7. 各デバイスのJ-V特性

3. デバイス単体の電流-電圧特性

前Stepで算出したJ-V特性、太陽電池デバイスの形状、電極のシート抵抗、直列接続箇所の導電率をLaossへ入力し、実使用サイズの太陽電池デバイスにおけるI-V特性を算出します。

本解析を各デバイスに対して実施することで、それぞれの照射条件に応じたI-V特性を算出します。

図8. 各デバイスのI-V特性

4. 複数デバイス接続時の電流-電圧特性

AEDT上で図2に示す回路を構築し、複数の太陽電池デバイスを接続した際のI-V特性を算出します。これにより、部分影やデバイス間の発電性能差がシステムに与える影響を評価できます。

まとめ

本事例では、Speos、Setfos、Laossおよび回路シミュレータを連携し、実環境下における部分影を考慮したVIPVの発電性能予測を実現しました。本手法により、車体形状や周囲環境の影響を考慮しながら車載太陽電池の発電性能を事前に予測できるため、設計の最適化や試作回数の削減に貢献します。また、下記ボタンよりダウンロードいただける資料では、各Stepの入力条件に加え、バイパスダイオードの有無による発電性能の比較結果についてもご紹介しています。ご興味がございましたら、ぜひ資料をダウンロードをお願いいたします。

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