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大面積有機太陽電池のグリッド電極最適化
大面積半導体デバイスシミュレータLaoss
こんな方におすすめ
- 有機・ペロブスカイト太陽電池の研究者・開発者
- 透明導電膜(TCO)の研究者・開発者
- 透明導電膜上への金属電極形成の効果に興味がある方
概要
本記事では、FLUXiM AGの大面積半導体デバイスシミュレータLaossを用いて、大面積有機太陽電池のグリッド電極の幅、本数を最適化した事例を紹介します。有機太陽電池では透明導電膜上に金属でできたグリッド電極を配置することで、デバイス全体のシート抵抗を落とすことができる一方で発電できる領域を示すアクティブエリアが減少します。本記事では、Laossを用いてグリッド電極を有する5 × 5 cm2の大面積有機太陽電池において、グリッド電極の幅および本数を最適化し、電力の最大化を行いました。Laossは最適なグリッド電極のサイズを即座に見つけることができ、無数のシミュレーション結果を比較検討する手間を省くことができます。
この資料はFLUXiM AGのResearch Blogを参考にして作成しました。詳しくはこちらをご覧ください。
解析目的および解析手法
背景と目的
ペロブスカイトおよび有機半導体は、大面積の太陽電池モジュールやLEDの安価な量産に適しています。これらの材料は溶液プロセスかつ低温で成膜できる特長を持ちます。これにより、太陽電池であれば、製造コストが削減できるほか、屋内IoTアプリケーションといった新たな利用機会を切り拓く可能性があります。
しかしながら、これらの太陽電池やLEDにおけるラボスケールでの良好な性能は大面積デバイスでは大幅に低下します。透明導電性酸化膜(transparent conductive oxide, TCO)のシート抵抗(sheet resistance, Rs)は大面積化に伴う性能低下の要因の一つです。TCOは光学的に透明な層であり、光電変換層(光を放出または吸収する層)と金属電極との間に良好な電気的接触を提供します。酸化インジウムスズ(indium tin oxide, ITO)は代表的なTCO材料であり、そのシート抵抗は10 Ω/□程度ですが、大面積デバイスの生産においては1 Ω/□未満にすることが求められています。
デバイスを大面積化する際、ラボスケールで最適化された太陽電池の効率をどのように維持するかが課題となります。Burwellらの最近の論文[1][2]では、TCOに金属グリッド電極を追加することで、全体のシート抵抗を低減させ、有機LEDや太陽電池の性能を維持できることを示しました。
一方で、不透明な金属グリッドが存在すると、アクティブエリア(発電ができる領域)を減少させます。したがって、グリッドの形状、厚、幅の間で最適点を見つけ、大面積化と性能維持を両立させる必要があります。
本記事では最大出力を得るために、大面積(25 cm2)の有機太陽電池のTCO上に堆積したグリッドの形状を最適化する方法を示します。シミュレーションではLaossを使用します。Laossは有機ELや太陽電池の大面積化の他、ディスプレイや太陽電池モジュールのモデル化も可能です。
解析条件
本記事では、Rs = 10 Ω/□のTCOを持つ5 × 5 cm2の有機太陽電池デバイスを対象に、体積抵抗率1.59×10-8 Ω・mの銀グリッドを用い、印加電圧のバイアス方向に沿って配置されたストライプ状グリッド構造について検討しました。グリッドのストライプ幅は200 µmに固定し、本数を3から50まで掃引しました。

図1. TCO上に金属グリッドを堆積した5 × 5 cm2の有機太陽電池デバイス
解析結果
図2aに、金属グリッドのストライプ本数を増やした際のI-V特性への影響を示します。この結果からストライプの本数が増えるにつれ、デバイスの総電流が減少する代わりに、FF(fill factor)とVMPP(最大電力点)が向上することが確認できます。より具体的には、FFとVMPPの向上は対数的な挙動を示し、初めは急激に増加しますが、その後すぐに横ばいの状態となります(図2b)。一方で、短絡電流については、アクティブエリアが減少するため、グリッドの本数が増えるにつれて直線的に減少する傾向を示します(図2c橙線)。VMPPとIが相反する傾向を持つため、電力密度(図2c青線)は約9本のときにピークを迎え、それ以上にストライプを追加すると減少に転じることが確認できます。



図2:面積5 × 5 cm2の有機太陽電池において、TCO上の金属グリッドがI-V特性に及ぼす影響
(a) 5本、14本、29本、および50本のストライプにおける I-V 曲線
(b)VMppとFFの変化
まとめ
有機太陽電池やOLEDのような薄膜電子デバイス面積を大きくすると、抵抗の増加によりデバイスの性能が低下します。金属グリッド電極を追加することで、オーミック損失を減らし、大面積化に伴う悪影響を補うことができますが、同時にデバイスの機能に寄与する領域(アクティブエリア)を減少させてしまいます。したがって、アクティブエリアと性能の間の最適点を決定する必要があります。
本記事ではLaossを用いて、有機太陽電池デバイスに金属グリッド電極を堆積した場合のストライプ本数がI-V特性に与える影響を評価しました。
下記ボタンよりダウンロード可能な資料では、デバイス面積やシート抵抗がデバイス性能に及ぼす影響に加え、Laoss内蔵の最適化ツールを用いて電力が最大となるグリッド電極の幅および本数を予測する手法についても解説しています。ご興味がございましたら資料ダウンロードをお願いいたします。
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