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加飾太陽電池における外観評価と発電性能の解析

解析概要

本事例は有機EL・太陽電池の光学・電気シミュレータ Setfosと3次元光学解析ソフトウェア Ansys Speosを連携し、加飾太陽電池を建物へ設置したときの外観と発電性能を解析した例を説明したものです。まず、Step1でSetfosより光学薄膜の積層構造を設計し、加飾太陽電池の角度依存反射特性を出力します。続いて、Step2でAnsys Speosに建物モデルと角度依存反射特性を入力し、太陽電池を建物の壁面に設置したときの見栄え評価を行います。次に、Step3でAnsys Speosより建物の壁面で受光した太陽光の分光放射照度を取得します。最後にStep4でSetfosで作製した積層構造に電気特性パラメータと分光放射照度を入力することで太陽電池の発電量を算出します。

解析目的および解析手法

背景と目的

屋根材、外壁、窓ガラスなどの建物外装材に太陽光発電機能を持たせるBIPV(Building Integrated Photovoltaics:建材一体型太陽光発電)では、「発電性能」だけでなく、建築物の外観の調和を図るための「意匠性」も求められます。しかし、建築物に組み込むという特性上、これら「発電性能」と「意匠性」を事前に正確に把握することは容易ではありません。そこで、Setfos(太陽電池の光学・電気特性)とSpeos(建築物壁面の光環境)を連携することで、「見栄え」と「発電量」を同時にシミュレーションでき、「意匠性」と「発電性能」を両立したBIPVの設計が可能になります。

解析対象

Setfosの解析対象を図1に示します。Setfosでは、光学薄膜の積層構造を設計し、その構造に応じた発電性能を算出することが可能です。

図1. 光学薄膜の積層構造

Speosでは、以下のような見栄え解析や照度解析を行うことが可能です。光線追跡を行うことで建物などの複雑な3Dデータを含んだ解析空間でもスムーズに輝度解析や照度解析を行うことが出来ます。

図2. 建物の見栄え解析

図3. 建物壁面の照度解析

解析手法

以下の4つのStepで解析を行います。

  1. 光学薄膜設計
  2. 外観評価
  3. 照度解析
  4. 発電量予測

解析内容

1. 光学薄膜設計

太陽電池の上部に、特定の光を反射させる誘電体多層膜を形成することで、加飾太陽電池を実現します。SetfosのStack editorを用いることで、光学薄膜の積層構造を簡単に作成できます。

図4. 太陽電池の積層構造

この積層構造に対して入射角を掃引することで、入射角に対する反射率や反射色を出力することができます。

図5. 入射角に対する太陽電池の反射率・反射色

2. 外観評価

Speosで建物モデルを用意します。

図6. 建物モデルの準備

Setfosで設計した太陽電池の反射率をSpeosに反映させ、建物と併せて見栄え解析を行います。

図7. 太陽電池と壁面の見栄え解析

3. 照度解析

太陽電池の設置位置に照度受光面を設定し、太陽電池の設置位置の分光放射照度を解析します。

図8. 太陽電池設置位置の分光放射照度

照度受光面にどの角度から多く光が入射したかを確認します。Setfosで、入射角ごとに放射照度の割合で重みづけして発電量を計算します。

図9. 入射角ごとの放射照度

4. 発電量予測

最後にSetfosで作成した積層構造に電荷輸送特性とSpeosで取得した分光放射照度を入力し、太陽電池の発電量を算出します。

Speosで取得した分光放射照度を太陽電池に入射される光のスペクトルとして入力します。本解析では、入射角によらず入射光のスペクトル形状(波長ごとの強度比)は一定と仮定します。

図10. 入射スペクトルの入力

次に設計した積層構造に対し、光電変換層であるPerovskiteを半導体(Semiconducting)、電荷輸送層であるZnOとSpiro-OMeTADを電極(Electrode)と仮定し、電気特性パラメータを入力します。

図11. 電気特性パラメータの入力

設定したデバイスに対し、電圧・入射角・重みづけに対する掃引を設定し、シミュレーションを実行しますと各入射角に対するJ-V特性(電流密度-電圧特性)を取得できます。これらを合成し、合成したJ–V特性から最大電力点(MPP)を算出します。

図12. 発電量の算出

まとめ

SetfosとSpeosを連携し、加飾太陽電池を建物に設置した際の外観と発電性能を解析した事例を紹介しました。Setfosでは光学薄膜の積層構造設計および太陽電池の発電量算出が可能であり、Speosでは建築物設置時の外観評価と受光した太陽光の分光放射照度の取得が可能です。これらを連携することで、「見栄え」と「発電量」を同時にシミュレーションでき、「意匠性」と「発電性能」を両立したBIPV設計が可能となります。

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