RBFカーネル (Radial Basis Function Kernel)
RBFカーネルは機械学習で広く用いられる「カーネル関数」の一種です。
カーネル関数は、データ間の類似度を計算するための関数であり、特に線形分離が難しい非線形なデータを、より高次元の特徴空間に暗黙的にマッピングすることで、線形分離可能にする「カーネルトリック」において重要な役割を果たします。
RBFカーネルの仕組みと特徴
RBFカーネルは、2つのデータ点間の類似度を、それらのユークリッド距離に基づいて計算します。
一般的に、距離が近いデータ点ほど類似度が高く、距離が離れるにつれて類似度が低くなるという性質を持ちます。その計算式には、データ点間の距離の二乗に負の係数を乗じて指数関数をとる形がよく用いられます。この形式から、RBFカーネルはガウシアンカーネルと呼ばれることもあります。
RBFカーネルの大きな特徴は、その非線形なマッピング能力にあります。
これにより、元のデータ空間では複雑に入り組んだデータパターンでも、高次元空間ではよりシンプルな構造として捉えることが可能になり、サポートベクターマシン(SVM)をはじめとする様々な機械学習アルゴリズムの性能向上に貢献します。また、RBFカーネルは「ユニバーサルカーネル」としても知られており、適切な設定を行えば、ほぼどのような連続関数でも近似できる高い表現力を持っています。
CAEサロゲートモデルにおけるRBFカーネルの応用
CAEのサロゲートモデルの構築の際にもRBFカーネルが有効な選択肢となることがあります。
RBFカーネルを用いたサロゲートモデルは、既知のシミュレーションデータ点(入力と結果のペア)を中心にRBF関数を配置し、これらの線形結合として未知の点でのシミュレーション結果を予測します。RBFカーネルの持つ「距離に基づいて類似度を測る」という性質は、入力空間で近い設計パラメータは、シミュレーション結果も似通っている可能性が高いというCAEデータの特性と親和性が高いと言えます。
また、RBFカーネルの高い非線形表現力は、複雑な物理現象に起因する非線形な入出力関係を持つCAEデータを高精度にモデル化するのに適しています。