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事例紹介

自動車用空調システム向けの画期的な新型ラジアルブロワを設計

MAHLE社のケーススタディ

自動車業界における国際的な開発パートナー/サプライヤーとして、乗用車から商用車まで幅広い顧客基盤を持つMAHLEはこのたび、標準化されたラジアルブロワ製品群において、これまでにない新しい設計コンセプトを発表しました。今回の成果は、MAHLEがプレミアム機器メーカーとしての戦略的ポジションを一段と強固にし、顧客に対して最高水準の品質を提供し続ける姿勢を裏づけるものです。

Neural Conceptのプラットフォームは、この車両用空調システム向けラジアルブロワの革新的設計を実現する上で、重要な役割を果たしました。自然から着想を得て、AIの力で創出したイノベーションです。設計時には、MAHLEはEngineering AIコパイロット(AI copilot)を活用して、短期間に3,000万件超の仮想設計案を探索。AIが提示する示唆を通じて、エンジニアが省エネ性能、騒音低減、パッケージング制約(搭載スペースの制約)などの複雑なトレードオフをバランスよく最適化できるよう支援しました。
その結果、騒音を4dB低減し、効率を15%改善。さらに、EVに適したコンパクトな設計を実現した高性能コンポーネントが完成しました。

それでは、詳細を見ていきましょう。

現代のエンジニアリング設計におけるボトルネック

競争が激しく、要件も複雑化する現在のエンジニアリング環境では、企業は高性能かつ省エネルギーな製品を、これまで以上のスピードで市場に投入することを求められています。設計チームは、性能とコストの難しいトレードオフを見極めながら、製造制約や厳しい開発スケジュールも同時に満たさなければなりません。
一方で従来の設計プロセスは、試行回数が限られ、反復サイクルが長く、十分に自動化されていないことが多いため、こうした要求に追いつけないケースもあります。

この課題に対し、MAHLEのチームはNeural ConceptのエンジニアリングAI copilotを活用し、設計プロセスを大きく前進させました。自動車用空調システム向けに大幅な再設計を施したバイオニックラジアルブロワは、熟練したエンジニアリングとインテリジェントな設計ツールを組み合わせることで、従来の枠を超える成果を生み出しています。

生物学からブレークスルーへ

インスピレーションは自然界の最適化プロセスから得られました。ペンギンのヒレ(フリッパー)が持つ、流体抵抗を抑える滑らかな形状を観察することで、MAHLEのエンジニアは「自然の最適化が見つけ出した、独特の設計パターン」があることに気づいたのです。

Credit:MALE

この気づきは、とりわけEVのように搭載スペースが厳しい条件下で、車両用空調システム内の空気の流れをどう設計すべきか――MAHLEに根本的な再検討を促しました。とはいえ、生物由来のアイデアを高性能な工業製品へ落とし込むには、大胆さと膨大な検証が必要です。そこで力を発揮したのがNeural Conceptでした。
MAHLEのデータとワークフローに合わせて調整されたNeural ConceptのAI copilotを使い、チームは記録的なスピードで3,000万件以上の仮想ブロワ設計を探索。MAHLEのエンジニアが性能目標、領域固有の制約条件、設計パラメータを設定すると、AI copilotは実機での性能を即座に予測し、仕様を満たす(あるいは上回る)形状案を提示しました。
このプロセスにより、空力性能・騒音特性・効率といった指標を、膨大な設計バリエーションにわたって評価可能に。しかも、その情報へのアクセスは単一のAI Botと単一のインターフェースに集約され、設計判断を加速させました。
Neural Conceptの導入によってMAHLEが得たのは、単なる「既存ブロワの最適化」ではありません。連続的に探索し続けるAI支援型の共創プロセスへ移行することで、設計そのものを再発明する自由度が生まれたのです。時間のかかる逐次的な反復から、常時回り続ける共同設計のループへ――その転換が成果につながりました。

結果

完成したブロワは蒸発器の前方に配置され、より対称的でコンパクトな空調ユニットを実現しました。乗用車から大型商用車まで、あらゆる車種クラスに対応しています。特に、搭載スペースが限られるEVにおいて、その省スペース性は大きな価値を持ちます。
バイオミメティクス(生物模倣)と、AIによる設計探索を組み合わせた結果、MAHLEは次の特長を持つコンポーネントを実現しました。

  • 同等クラスのシステムと比べて騒音を4dB低減
  • 効率を15%改善し、エネルギー消費を削減

この成果により、MAHLE社は世界中で広く使われる標準化部品の一つにおいて、リーダーシップをいっそう確かなものにしました。現在、MAHLE社はエンジニアリングプロジェクト全体でAIを活用した開発プロセスを体系的に導入する準備を進めています。

最大効率を目指すエンジニアリングへ

自動車業界がエネルギー消費の削減と性能の最大化に注力し続ける中、こうした革新技術は極めて重要な役割を果たしています。
この協業は、Neural Conceptがデータ駆動型の洞察を通じて最適な設計を発見することで、世界トップクラスのエンジニアリングチームがイノベーションを促進する力をいかに強化しているかを示しています。これにより、より優れた製品をより迅速に開発するメリットが生まれ、世界中の産業と顧客に恩恵をもたらします。

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