企業がIoTを導入するメリット
離れた場所から機器の状態を把握できる
企業がIoTを導入することで、現地にいなくても機器の稼働状況などを把握できるようになります。機器に搭載されたセンサーがさまざまなデータを取得して送信してくれるからです。例えば、遠隔地から工場で使用するエネルギーを管理するといったことも可能です。現地に出向く必要性が低下するため、業務の進め方は大きく変化するでしょう。
生産性が向上する
工場で用いる設備をIoT化することで、工場の生産性は大きく向上する可能性があります。機器に搭載されているセンサーが集めたデータを分析することで、作業を効率化できるからです。クラウド上のアプリケーションがデータ分析などを行ってくれる点も魅力です。
品質が向上する
IoTを導入することで作業を自動化できるため、人的作業の工数は減ります。したがって、ヒューマンエラーを防ぎやすくなります。例えば、機器の操作ミス、発注ミスなどは大きく減少するでしょう。品質も向上する傾向があります。
人員を削減できる
人が行わなければならない作業が減るため、IoTを導入することで人手不足を解消できる可能性があります。慢性的な人手不足に悩まされている企業や人件費を削減したい企業にとっては、魅力的な解決策になるはずです。
異常・故障を素早く検知できる
リアルタイムでさまざまな情報を得られるため、機器の異常や故障を素早く検知できるようになります。故障が発生する前に予兆を検知して、メンテナンスを実施するなども可能です。
「関連記事：IoTの今後の予測とその将来性。課題についても解説」
企業がIoTを導入する際の課題
企業がIoTを導入する場合、乗り越えなければならない課題もあります。主な課題は次の通りです。
高額なイニシャルコスト
IoTの導入にあたり最初に検討しなければならないのがイニシャルコストです。具体的な金額はケースで大きく異なりますが、工場をIoT化するとなると通常はまとまった金額がかかります。金融機関からの資金調達を要することもあるでしょう。ただし、IoT化に成功すると、業務効率の改善、生産性の向上、人件費の削減、エネルギー使用量の最適化などにより、イニシャルコストを回収できます。長期的な視点で導入を検討することが重要です。
セキュリティ上の問題が発生しやすくなる
あらゆる設備をインターネットに接続することで、悪意のある第三者から攻撃されるリスクは高まります。適切な対策を施さないまま攻撃を受けると、工場が操業停止に追い込まれる、個人情報が流出するなどの恐れがあります。扱っている製品によっては、人命にかかわることも考えられます。したがって、IoTを導入する企業は、これまで以上にセキュリティ対策に慎重にならなければなりません。
老朽化への対応
企業がIoTを導入する場合、老朽化への対応も考えておく必要があります。企業が導入する機器の寿命は長い傾向があるからです。例えば、工場で使用する機器は、10年以上、使い続けるケースが多いでしょう。老朽化とともに、故障やセキュリティ上のリスクは高まります。もちろん、アップデートはインターネット経由で行えますが、すべての問題を解決できる保証はありません。導入前に長期的なメンテナンス方法も検討しておくべきでしょう。
専門家の確保
IoTの導入により作業などは自動化できますが、IoTシステムを最終的に管理するのは人です。管理には、IoTに関する専門的な知識が求められます。工場などがIoTを導入する場合、IoTに関する専門家をどのように確保するかも問題になるでしょう。データ分析に関する専門家も必要になることがあります。新たな人材を確保しなければならない恐れがある点にも注意が必要です。
IoTは課題を乗り越えて導入するべき
IoTが抱える問題あるいは課題について解説しました。導入にあたり乗り越えなければならない壁は多いですが、メリットを考えると挑戦する価値はあるといえるでしょう。IoT化に成功することで、生産性の向上、業務効率の改善、人件費の削減などを期待できます。乗り遅れると、競合他社との競争に取り残されてしまうかもしれません。課題を明らかにしたうえで、導入への道筋を描いてみてはいかがでしょうか。
