課題解決Goldfireコラム抽象化して考える～　ドラッカーとスライス羊羹

2022年10月抽象化して考える～ドラッカーとスライス羊羹

京都の老舗和菓子店、亀屋良長さんのスライス羊羹をご存じでしょうか？ 羊羹をスライスチーズのようにパッケージし、パンに乗せてトーストにできるものです。

羊羹といえば和菓子の代表格ですが、創業200年以上にもなるこのお店でも、年間約50本しか売れないほど売り上げが低迷していましたが、和菓子店に羊羹がラインナップされていないのもどうかということで、細々と販売されていたそうです。ところが、スライス羊羹の販売から 3年で売り上げは1,000倍になったとのこと。

その開発物語は、SankeiBizの記事（「こんなに売れるとは」京都の老舗和菓子店の妙案ようかんスライスして売り上げ1000倍に）によれば、女将さんがお子さんの「トーストに餡子を塗って」というリクエストに応えるなかで、同じくトーストに乗せるスライスチーズをヒントにして発想されたそうです。羊羹とスライスチーズ、まさにイノベーションという言葉の定義「新しい組み合わせ」ですね。

この組み合わせで見出せる共通項は、「トーストに塗る」「低温だと固くて塗りづらい」「高温だと柔らかくなる」「薄く塗る」「手が汚れない方がいい」といったところでしょうか。これらの共通項は後から考えた後出しじゃんけんですが、もしも先にこれらのヒントに気づくことができたとしたらどうでしょう。

おそらく「トーストに塗るもの」を挙げることはできますね？「薄く塗るための方法」も調査することができるはずです。スライス羊羹という発想に近づく道筋が見えてきそうな気がしてきませんか？一方、チーズメーカーの方が羊羹について検討されることは有り得るでしょうか。あるいは和菓子職人がトーストやチーズに思いを馳せることがどれほどあるでしょうか。

「マネジメント」の発明者として著名なピーター・ドラッカーは、その著書「イノベーションと企業家精神」の中で、「新しい知識によるイノベーションが失敗するのは企業家自身に原因がある。高度な知識以外のもの、特に専門領域以外のことに関心をもたない。企業家は顧客にとっての価値よりも技術的な高度さを価値とする」と述べています。 専門領域を出て、異業種・他分野に踏み出すためには、ご自分の専門領域を少し抽象化し、例えば「薄い」とか「塗る」といったレベルまで抽象化すれば、その裾野は広大に拡がっているはずです。

ドラッカーはこうも言っています。「分析を行わなければ、欠落している知識が何かはわからない。したがって分析を行わないことは失敗を運命づけるに等しい。科学者や技術者は自分がすべてを知っていると思いこんでいる。そのためそれらの分析を行おうとしない。知識による偉大なイノベーションの多くが、科学者や技術者よりも素人を父としあるいは少なくとも祖父とする結果になっているのはこのためである」

通常の検索ツールの場合、「薄い」「塗る」といった単語レベルでの検索では、ヒット件数＝情報源の数が膨大すぎて、「薄く塗る　トースト　チーズ」といった具合に限定された領域に絞り込みをしないと到底分析しきれません。しかし、Goldfireのレンズなら、「薄い」「塗る」といったレベルの抽象的な検索ワードであっても、情報源の数の多さを恐れずに、その方法や用途、課題などを調べることができます。だからこそ異業種や他分野の情報を視野に入れることができるのです。

ご自身の専門領域と異業種・他分野との接点を探るために、Goldfireのレンズを活用してみませんか。

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