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現在のデータでは不良要因分析できない?それでも製造状態監視しましょう

前回の技術コラム(第2回「追いきれない不良要因への対応。良品分析で良くないですか?」)では、不良要因分析を一通り進めても決定打が見つからない場合に、良品条件の切り口で進める考え方をご紹介しました。

しきい値監視をしながら製造していても、同条件でも低頻度で発生する不良に悩む——そうした現場では、センサーに含まれない要因や、ロット・季節ごとに特徴量のパターンが変わることで、不良要因として一本の説明にまとめきれないことがあります。第2回では、不良発生領域を着色し、その外側を良品状態として捉え、中心付近の領域から良品条件レポートで各属性の範囲を確認する、という流れをお伝えしました。

それでも、不良品を出し続けるわけにはいきません。良品条件の当たりがついたら、次の問いはシンプルです。その条件を満たしたまま、いまも製造できているか。 今回(第3回)は、その「監視」の部分を、BIGDAT@Analysisのリアルタイム追加プロット機能を使った製造状態監視として整理します。

 

不良要因分析が難しいとき、目指すのは「良品条件」

不良要因分析は、「何が悪かったか」を切り分け、現場を納得させ、改善アクションにつなげるための手法です。一方、第2回でお伝えしたのは、数値の特徴量を出すだけでは現場が動けないときに、良品条件の範囲に製造状態を収めるという考え方です。

詳細な解析では、関連する属性のしきい値を絞り込むことはできなかった——それでも、「とある状態で不良が発生しやすい」という事実は、マップ上の分布として把握できていることがあります。要因のメカニズムまでは説明できなくても、いまの点が、過去の良品に近いか、不良に近いかは判断できます。

第2回で領域を設定した分析結果を、そのまま監視の土台に使います。不良が起きやすい領域、不良の手前と思われる周辺領域、外れ値やこれまでに観測の少ない未知の領域——このように色分けしたうえで、最新の製造状況をBIGDAT@Analysisへ送り続けます。

リアルタイム追加プロットで「いま」を判定する

監視の流れは次のとおりです。

  1. 過去データをBIGDAT@Analysisに読み込み、マップ分析で領域を設定する(第2回と同様、不良発生領域の着色と良品状態の把握) 
  2. 運転中は、一定間隔で、特徴量をまとめたCSV、またはREST API経由で追加プロットデータとして送信する
  3. BIGDAT@Analysisが、現在のプロットがどの領域に属するかを計算し、結果を返す

 

CSVファイルを定期的に読み込む方法でも構いませんが、工場のダッシュボードやIoT基盤に表示する構成が現実的ですので、REST APIによる監視を試したほうがいいでしょう。

領域設定の例

領域設定の流れは次のとおりです。

  1. 不良ごとに不良領域とその周辺を着色する
    1.    濃赤+オレンジ・・・きず
    2.    淡赤+黄色・・・・・・ひけ
    3.    青+水色・・・・・・・・巣
  2. 暖気やチョコ停時などの外れ値状況を着色する。これは工場によっては存在しません
    1.    緑
  3. 未知の状態としてデータが存在しない周辺部分を着色する
    1.    紫
  4. 良品範囲
    1.    白 (着色無し)

そして、エリアごとに領域名と伝えるべきメッセージを設定します。

領域ごとに、現場で取るべきアクション

返ってきた「現在の領域」に応じて、現場の動きを変えます。

良品範囲にいるとき
第2回で良品条件レポートとして確認した範囲内であれば、そのまま製造を続けます。

不良周辺領域に入ったとき
まだ不良領域ではないものの、過去に不良が多かった条件に近づいています。製造条件の見直しが必要になる段階です。設備によっては自動補正、多くの場合は担当者によるパラメータ調整となります。

不良領域に入ってしまったとき
手遅れの状態です。製造条件の修正に加え、その時間帯に製造された製品の良否確認が重要になります。全数検査が難しければ、入念な目検や、通常より厳しめのスキャン検査など、現場で実行可能な方法をルール化しておくとよいでしょう。

未知の領域のとき
必ずしも不良ではありません。新しい運転条件や、季節・ロットが変わってこれまで記録の少なかった組み合わせかもしれません。マップ分析が完了している環境であれば、分析担当者は「おそらくこういう意味の状態だろう」と予想しやすい場合も多いです。未知は「止める」より、追加データを取って領域や良品条件を更新するきっかけとして扱うのがよいです。

いずれの領域でも大切なのは、誰が・いつ・何をするかをあらかじめ決めておくことです。監視はアラームを鳴らすだけではなく、現場の判断と行動につながって初めて意味を持ちます。

APIが返すのは色だけではない

BIGDAT@Analysisは、現在の領域を返す際に、任意のメッセージを付与できます。たとえば「B点温度低下と思われる傷不良の発生領域」のように、分析時に付けた領域名をそのまま現場へ渡せます。ダッシュボードに表示する文言として、そのまま使えます。

制御パラメータの推奨値を、APIレスポンスに含められる状況であれば、ぜひ入れてください。現場は「異常です」だけでは動きにくく、「どの値に寄せるか」まで示されると、判断が速くなります。現在、『現在のプロット』に対して制御値を返すAPIも開発を進めており、第2回の良品条件レポートで得た範囲を、運転中の補正へつなげる流れを強化していく予定です。

以下はThingWorxのダッシュボードと連携した弊社ものづくりDXシステムの画面です。

まとめ——分析できなくても、製造は止められない

不良要因が特定できないからといって、データ活用を諦める必要はありません。第2回で得た良品条件・領域設定を土台に、いまの製造状態がどこにいるかを継続的に見る。それだけでも、不良の手前での調整や、発生後の品質リスク低減につながります。

トライアル分析で「有効要因が見つからない」と分かった場合でも、マップ上の状態分布そのものは手がかりになります。分析できなかった時間を無駄にせず、監視の設計へつなげる——そういう使い方が、BIGDAT@Analysisではよくあります。

社内には、リアルタイム追加プロットによる判定を確認できるデモ環境もあります。BIGDAT@Analysis画面での確認方法や、IoTプラットフォームとのREST API連携の具体例については、別のコラムでも取り上げる予定です。領域設計・良品条件のご相談、トライアル分析からの監視設計まで、お気軽にお問い合わせください。

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