磁気共鳴画像処理機コイルの構造・熱

NMR Systems Inc.

FEAがMRI機械の安全なレトロフィットを保証

有限要素法解析ソフトウェアANSYSを用いて、Advanced NMR Systems社は、長さ14フィート (4.26m) の非常に強力な磁石の内側の応力とたわみを評価しました。

Advanced NMR Systems社(マサチューセッツ州Wilmington)は、全身磁気共鳴画像処理機(MRI)用に高速勾配コイルを製造しています。コイルは、MRI機械の磁石の全長にわたって縦方向に走る穴の中に収納されており、磁界を認識可能な画像に変換する上で重要な役割を担います。

すべてのMRIには勾配コイルが付いていますが、Advanced NMR Systems社のものは、FDAによって承認された最初の全身MRI用高速コイルです。そのため、同社は他社の機械に自社のコイルを取り替えることがよくあります。普通これは非常に簡単な作業です。古いコイルを取り出して新しいコイルを取り付ければ、顧客の機械はスピードが改善し、たとえば、落ち着かない患者や心拍の速い患者に対しても、よりスムーズに診断が行えるようになります。

しかしワシントンD.C.にある国立衛生研究所 (NIH) の場合には、MRIの取り替えはそれほど簡単ではありませんでした。ここでは、現存する最大級のMRIを使用しています。この長さ14フィート (4.26m)、重さ4.0トンの磁石に比べると、普段Advanced NMR社の技術者たちが目にする6フィート (1.83m)、1.5トンの磁石は、サイズにおいてもパワーにおいても、まったく小型に見えます。$20,000相当の新しい非金属製索具装置の用意と、少なくとも1週間の設置時間、それに機械の磁石を損傷する危険性も含めた桁外れの取り替え作業が予想されました。

Advanced NMR社は新しいコイルやその他の製品を設計する際に頻繁に有限要素法解析ANSYSを使用しますが、Advanced NMR社の上級機械技師Kevin Bourque氏の言葉によれば、「疑いなく当社の歴史において最も重要なFEAの適用であったケース。」と述べる取り替え作業を計画する上でもこのANSYSを使用しました。Bourque氏は次のように語っています。「手作業で解析していたら、まったく手に負えない問題でした。FEAの結果が弊社の取り付け計画の全基盤となりました。当初は非常にコストの高いアプローチを考えていましたが、FEA結果に基づいて、もっとずっと簡単な戦略に切り替え、完全に功を奏しました。」

扱いづらかった磁石

国立衛生研究所のMRI機械の取り替えを行う際の困難の1つは、勾配コイルの重さでした。Advanced NMR社の高速コイルは、750ポンド (340kg)であった置き換え前のコイルの3倍の重さがあったのです。「初めて見たその場で、これは問題だと感じました。」とBourque氏は述べます。「しかし、それは単なる始まりにすぎませんでした。」

もうひとつの問題は、磁石のボアの内部にもう1つチューブが存在したことです。コイルが磁石の中に直接はめ込まれる他のケースと異なり、このMRIの場合、ボアの端から端まで伸びる別のチューブが存在しました。また、この磁石ではボアの直径は1mでした。内部のチューブは支持チューブと呼ばれ、厚さ1/4インチ (6.35mm) のガラス繊維からできていました。このチューブは、両端を厚さ1インチ (25.4mm) のアルミニウム製端板によって支えられており、したがって磁石にはまったく触れていませんでした。

このチューブが新しいコイルの重量をうまく支えられるかどうかが、非常に重大な関心事でした。一見、このチューブでは新しい勾配コイルを支えられる訳がないと思われました。そうすればAdvanced NMR社は、新しいチューブを設計しなければなりません。

Bourque氏は次のように語っています。「当初、2倍程度厚い新しい支持チューブを製作しなければならないと考えましたが、そうすると桁外れの索具作業が必要になります。通常同社は磁石をまたぎ、ボアに触れずにコイルを挿入する特殊な非金属製の設置作業用装置を使用しています。もし新しい支持チューブを製作しなければならなかったら、新しい索具装置も考案し、すべてワシントンへ持っていって磁石を破壊しないようにして取り付けなければならないところでした。」

国立衛生研究所の磁石はユニークな性質を持っており、それがさらに懸念を生みました。「この磁石は壊れやすく、場合によっては永久的に破損するといわれています。そのため、最適なパフォーマンスが得られるように多額の費用をかけて注意深く詰め物を入れたり、調整したりしています」とBourque氏は説明します。「これらのものは、すべて超伝導低温保持装置です。少しでも磁性を持つもの、あるいは非磁性の導体でさえ、磁石の周りで動かすと、内部のチューブが回転し、磁石の壁に接触する可能性があります。これは良くありません。そして磁界が強いほど、影響は深刻になります。」

これらすべてに厳しい制限を考え合わせれば、支持チューブの応力とたわみを迅速かつ正確に予測する必要があるのは明白です。Bourque氏は次のように述べています。「作業を開始する前に、はたしてチューブが勾配コイルを支えられるか知る必要がありました。おそらく支えられないかもしれません。そして、いずれにしろ新しい支持チューブと新しい索具を製作しなければならないかもしれません。しかし、私はそう考えたくはありませんでした。」

当初、問題は手計算が適当だと思われました。しかし、よく調べるとそう簡単ではありませんでした。Bourque氏によれば、チューブの円筒形状と単純な支持物を扱うのは楽でしたが、チューブに対する勾配コイルの荷重が軸対称を破り、解析するモデルを複雑にしました。チューブの底の死荷重点から±50°の角度で、コイルの下に4つのシム・パッドを入れました。コイルの重量はチューブ上に均一にかかる訳ではないので、チューブを梁(はり)として扱うことはできませんでした。また、この種の荷重下の、円筒に関するRoarkの公式集も役に立ちませんでした。

以上の理由により、Bourque氏は解析プログラムANSYSを使用することにしました。同氏は、新しい勾配コイルの設計に関する構造解析および熱解析に、1993年から同プログラムを用いていました。領域を2Dで描き、アーク(円弧)上に押し出して1/4の対称モデルを作成することにより、ANSYS内に支持チューブをモデル化しました。次に、荷重を加えるパッドを作成しました。これらの荷重は表面圧力荷重として定義し、過去の経験に基づいて大きさを算定しました。「私はこれらの厄介な荷重を扱うためにFEAが必要でした」と同氏は述べます。「手計算していると扱いにくいですが、FEAだと単純明快です。」

ANSYSによる応力とたわみの解析には約1週間かかり、その間Bourque氏は他のプロジェクトも扱いました。結果は良い知らせでした。支持チューブのたわみは目標としていた0.2インチ (5.1mm) 未満であり、最大応力は心配するに足らないレベルでした。Bourque氏は次のように述べています。「私は結果を質的な意味で利用することを期待していましたが、ANSYSで得られた数字は、コイルを既存の支持チューブに取り付けても大丈夫だと確信するのに十分なものでした。」

それでも、Bourque氏が認めているように、FEAの結果がこの決定の唯一の基盤だったため、実際の設置は緊張の連続でした。「しかし、私はANSYSに信頼を置いていました」とBourque氏は付け加えます。「このような重要な仕事の場合、どんな解析ソフトウェアの結果でも信じるという訳ではありません。しかし、ANSYSソフトウェアおよび自社製品に対するANSYS社のサポートには常に感銘を受けてきました。」

Bourque氏は次のように述べています。「私は設置に立ち会いました。新しいコイルの取付け後は実際のたわみを十分に測定することはできませんでしたが、ボアを見下ろせば、私たちの正しかったことが分かりました。それは、きわめて重要な決定に必要な情報を提供することができるFEAのパワーを表していました。コイルを1回の週末だけで設置し、厄介な新しい索具の設置を回避でき、磁石を少しも傷つけませんでした。」

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