解析事例
均質化法を用いたパンチングメタルの応力評価
こんな方におすすめ
- モデルに沢山の孔が空いている等が原因で計算コストが大きくなりがちである
- 極力計算精度は落とさずに計算コストを削減したい。
金属板に複数の孔のあいたパンチングメタルでは、孔を実際にモデリングして解析を実施すると、孔周りの要素が細かくなることが避けられず、計算コストが大きくなる傾向にあります。この孔のあいた領域を均質化解析によって簡略化することで、計算精度を下げることなく、計算コストを97%削減することに成功した事例を紹介します。
解析モデル
解析モデルは樹脂と金属の2つの材料からなる構造物です。樹脂部には多数の孔な面内方向に対して周期的に並んでおります。これらの孔を全てモデリングしてしまうと孔周りのメッシュが細かくなってしまい、計算コストが非常に大きくなってしまいます。本解析事例では、これらの不均質領域を、等価な剛性を持った均質体に置換することでモデルを簡略化します。

図1. 解析モデル概観
解析フロー

図2. パンチングメタルに対する解析フロー
解析結果
孔のあいた構造を直接モデリングした場合(以下、直接モデルと呼びます)と、均質化解析によって等価な剛性を持った均質体に置換したモデル(以下、均質化モデルと呼びます)とで結果を比較しました。まず図3には、両モデルのメッシュ形状を示しました。
直接モデルでは、孔周りのメッシュが細かくなってしまうことが避けられず、計算コストが大きくなってしまう問題が避けられません。一方で、均質化モデルでは孔が均質な材料に置換されているため、粗いメッシュでも十分に品質の良い解析結果を得ることができるようになります。

図3. 均質化前後の有限要素モデル比較
続いて図4には変位と応力の結果を示しました。孔周りの応力は、均質化解析モデルでは孔が存在しないため、そのままの形状では評価することができないため、サブモデリング法を用いて評価しました。
最後に、得られた結果リストと計算コストを図6にまとめました。均質化解析を併用することによって、計算コストが97%削減することができました。一方で最大変位および最大相当応力は直接モデルと均質化モデルでほぼ等しい値を示しており、モデルの簡略化によって計算精度も下がっていないことが確認できました。

図6. 変位・応力のリストおよび計算コストの比較
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