事例
打撃音の放射音解析
概要
物と物が衝突する際に発生する打撃音について(図1)、その発生プロセスを以下の3ステップとして考えます。
① 物体同士が接触し、物体に(パルス状の)加振力が生じる
② ①の加振力により、物体が振動
③ ②の物体振動によって周囲の空気が振動して音波が伝搬

図1:打撃音の発生と伝搬
この発生プロセスを元にしますと、打撃音の数値解析フローの一つとして図2のようなプロセスが考えられます。まず構造解析や実測等により衝突によって生じる力(打撃力)を求め、フーリエ変換により周波数領域の力(力の周波数スペクトル)に変換します。次に変換された周波数領域の力を加振力として構造解析(周波数応答)を実施、物体(固体)の振動速度を求めます。最後にその物体の振動速度を入力条件として物体周囲の空気の音の伝搬を音響解析(周波数応答)にて計算します。

図2:打撃音の解析フローの例
なおこのフローは解析コストの点から振動解析として線形の周波数応答解析手法を採用したものですが、打撃音の解析フローとしては周波数領域に変換せず構造解析および音響解析とも時間領域で計算する方法や、構造振動と音の伝搬を同時に解析する方法(構造音響連成解析)なども考えられ、物体の接触現象の詳細(物体同士の接触時間の鋭さや接触面積の大小など)や評価・検討したい物理現象に応じて、計算時間や精度を考慮して慎重に検討する必要があります。
解析例
ギアのバックラッシュによる衝突音を想定した解析例を示します。図3のようなギアのかみ合いを考え、構造解析ツールAnsysを用いて噛み合い1サイクルの接触力の計算と、その接触力をFFTにより周波数領域の力に変換して構造(周波数応答)解析を実施しています。得られたギア表面の振動速度を音源としてWAONにより周囲の音の伝搬を計算し、特定位置の音圧レベルの周波数スペクトルや特定周波数の音圧分布、指向性などを計算しています。

図3:AnsysとWAONを用いたギアの打撃音の解析例
