半導体封止材の反り・クラックを試作前に予測――複数のAnsys解析を組み合わせた材料設計への挑戦
半導体用液状封止材のグローバルリーダー、ナミックス株式会社様。
要求が高度化・多様化するなかで、樹脂の流動や反り・クラックといった不具合を開発段階で高精度に予測することが課題でした。
流動解析と構造解析を組み合わせたCAE活用により、試作・評価前に材料設計の方向性を絞り込む体制を築いた取り組みをご紹介します。

(左から)榎本様、斉藤様
今回お話をお伺いした方
ナミックス株式会社
技術開発本部 開発U 評価技術開発G
榎本 利章 様
斉藤 寛之 様
阿部 早苗 様
背景と課題要求の高度化に、試作中心の開発では応えきれない
ナミックス株式会社様は、材料・プロセス・評価技術を基盤に導電材料や絶縁材料、フィルム材料を開発するメーカーです。同社の液状封止材は、パソコンや自動車、スマートフォンに使われる半導体材料の接続・固定を担っており、要求される性能は年々厳しさを増しています。
従来は、実際の製品を入手したうえで信頼性試験を行い、OK・NGを判断するというフィードバックの積み重ねが開発の中心でした。しかし封止工程では、樹脂が硬化する過程で反りやクラックが生じることがあり、この現象を開発段階でどれだけ精度高く予測できるかが大きな課題となっていました。
選定理由流動・構造・材料物性、複数の視点をひとつの解析環境で
同社では、樹脂流動予測にPlanetsXとAnsys Discoveryを、構造解析にAnsys Mechanicalを、材料物性のフィッティングにMultiscale.Simを活用しています。流体・構造・材料モデルという異なる専門領域を、Ansys Workbench上でつなげて扱えることが選定の軸になりました。
PlanetsXとMultiscale.Simはサイバネットシステムが自社開発するツールであり、現場の課題を相談すると改良にまで踏み込んで対応してもらえる点も評価されています。Web会議による伴走サポートで、操作画面を共有しながら解析手法やソフトウェアの運用面まで踏み込んで相談できる関係が構築されています。
工夫や効果試作・試験の前に、使用環境をシミュレーション上で再現
CAE導入前は、実製品の入手後に信頼性試験を行い、結果が出るまで材料開発の方向性を決められないことが大きな課題でした。導入後は、お客様の使用環境や構造をシミュレーション上で再現し、最適な材料設計の方向性を事前に検討できる体制が整いました。
材料挙動のメカニズムを理解したうえで顧客に説明できるようになったことも大きな変化です。技術的な裏付けを伴う提案は顧客からの評価にもつながっており、現在では多くの技術者・開発者から相談が寄せられているとのことです。
今後の展望計算時間の短縮と、実成形まで見据えたソリューションへ
現状の課題として、半導体封止モデル全体を解析する際にメッシュ数が膨大になり計算時間・メモリを消費する点、樹脂の粘弾性を考慮した精度向上、材料物性の入力作業の効率化などが挙げられています。これらはPlanetsXやMultiscale.Simの改良とサポートを通じて継続的に取り組まれています。
今後はCAEと実成形を組み合わせたソリューションを模索していく方針とのことです。ソフトウェアは導入して終わりではなく、そこから共に高めていくものだという考えのもと、開発元との継続的な対話を重視しています。
技術者3名は、それぞれの現場でCAEをどう使い分けているのか?
フルインタビューでは、樹脂流動・構造・材料モデルという異なる専門領域を担う3名それぞれの視点、PlanetsXやMultiscale.Simを使った具体的な業務の進め方、そしてサイバネットのサポート活用の詳細まで、ダイジェストでは触れきれなかった内容を読むことができます。
2025年取材
※記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
※自治体・企業・人物名は、取材制作時点のものです。