CYBERNET

シミュレーションによる本格的な試作レスで、 振動と熱に強い高速伝送コネクタ開発を実現

自動車の電動化・電子化が加速する中、車載向けコネクタに求められる性能水準は飛躍的に高まっています。
イリソ電子工業株式会社様はAnsys HFSSおよびAnsys Mechanicalを活用し、電磁界・構造の両面からシミュレーション主導の開発体制を構築しました。
カットアンドトライを廃することで、開発期間の短縮とコスト削減を同時に実現しています。

今回お話をお伺いした方

イリソ電子工業株式会社

技術本部 技術部 技術管理課 末久 優 様
技術本部 技術部 技術2課 矢部 寛大 様
技術本部 技術部 技術2課 寶槻(ほおつき) 雅樹 様
技術本部 開発部 開発一課 日下 和成 様

背景と課題カットアンドトライの限界

イリソ電子工業株式会社様は1966年の創業以来、車載・産業機器向けコネクタのリーディングカンパニーとして成長してきました。近年、ADAS(先進運転支援システム)やインフォテインメントの普及にともない、車載コネクタには高速大容量通信への対応が不可欠となっています。

同社は特に「Z-Move™」に代表されるX・Y・Z三軸方向のフローティング機能を備えたB to Bコネクタ(基板対基板コネクタ)に強みを持っています。ところが振動吸収のための複雑な端子構造は高周波特性との両立が難しく、従来の試作・実測による反復改良では開発工数・コストが膨らむ課題がありました。特に金型製作には1回あたり2〜3週間を要するため、試行錯誤を繰り返すと年単位の開発期間になることもありました。

📡
等価回路モデルの顧客提供
HFSS解析結果からSPICE/IBISフォーマットの等価回路モデルを作成し、顧客の回路設計やシミュレーションに活用できるよう、暗号化したモデルとして提供しています。
🎯
最悪条件からの一括検証
最も厳しい条件のコネクタから解析を行う。この目標をクリアできれば、他のコネクタも一定以上の性能が担保できる見通しが立ちます。
🌡️
熱-構造連成の品質保証
−40〜125℃の厳しい温度変化環境を想定し、はんだ部の応力や変形をシミュレーションで評価しています。実験だけでは見えない設計上の課題を事前に把握し、信頼性向上につなげています。

選定理由電磁界解析と構造解析の二刀流で、高い信頼性を両立

Ansys HFSSの導入は2000年代後半です。当時、車載機器の高速化が進み、欧米の顧客からも高速伝送対応への要求が高まっていました。当時電子機器分野で業界標準となっていたAnsys HFSSを採用し、解析環境の整備を進めました。

一方、構造解析ツールとしてAnsys Mechanicalを採用した背景には、自動車メーカーからの要求がありました。「はんだ部が壊れなかった」という試験結果だけではなく、「なぜ大丈夫なのか」という設計根拠をシミュレーションで示す必要が生まれたのです。

🗄️
モデルDBの顧客開放
解析済みコネクタモデルをデータベース化してオンラインで提供し、顧客が必要なタイミングで設計・解析に活用できる仕組みの構築を目指しています。
🤖
産業機械分野への展開
ロボットをはじめとした産業機械への参入を方針として掲げており、車載分野で培ったシミュレーション技術を新市場に水平展開していきます。
解析自動化への期待
パラメータ設定の自動化などHFSSの効率化機能を活用し、サイバネットとの連携でより実務に即した解析環境の整備を目指しています。

工夫や効果試作レスと解析主導開発の確立

Ansys HFSSの運用定着により、「解析で目標値を満たせれば実測でも合格範囲に入る」という信頼性が社内で確立されました。これにより、高価な試作用基板の製作なしに設計を最終決定できる体制が整い、開発コストと期間を大幅に削減できるようになりました。

Ansys HFSSでは、挿入損失・反射特性・インピーダンスを重要指標として評価しています。特にインピーダンスについてはTDR法を用いてコネクタ内部の反射位置やばらつきを可視化しながら、最適なコネクタ形状を追求しています。

Ansys Mechanicalではんだ部の応力集中や嵌合時の接触圧力分布を可視化し、実際の試験・破壊検証前に設計上の問題を特定できます。Ansys HFSSによる高速信号解析と組み合わせることで、電気特性と機械特性を同時に最適化するという、これまでは困難だった設計プロセスが実現しました。

今後の展望32Gbps対応から、さらなる高速伝送領域・産業機械分野へ

同社はAnsys HFSSを活用して60〜70Gbpsの解析にも対応しています。現在は32Gbps対応を目標に、高周波特性と構造信頼性の両立を図りながら、次世代高速伝送コネクタの開発を進めています。さらに、解析済みコネクタモデルをデータベース化し、ダウンロード提供できる仕組みの構築も構想しています。顧客が設計の早い段階からコネクタ特性を活用できる環境づくりを目指しています。

事業領域では、現在の車載分野に加えてロボットをはじめとした産業機械分野への展開も視野に入れています。高信頼・高速通信が求められるあらゆる分野で、シミュレーション主導の開発ノウハウを水平展開してコネクタ開発をさらに拡大していく方針です。サイバネットとの連携を一層強化し、パラメータ設定の自動化などに、解析効率のさらなる向上にも期待を寄せています。


32Gbps対応のその先へ。
高速伝送コネクタの開発はどのように進むのか?
解析の全プロセスと効果の詳細をぜひお読みください。

Ansys HFSS・Ansys Mechanicalを活用した高速伝送コネクタ開発の最前線や、
試作レス化を実現する解析活用の実際など、
現場エンジニアのリアルな声を収録したフルインタビューはこちらから。

2025年取材
※記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
※自治体・企業・人物名は、取材制作時点のものです。

お問い合わせ

サイバネットシステム株式会社
製品お問い合わせ窓口

anssales@cybernet.co.jp

メールでのお問い合わせも承っております。

お問い合わせフォームはこちら