事例紹介
CISPR25 伝導エミッション(電圧法)の解析事例
テンプレートを用いた自動車部品のノイズ評価
解析概要
本事例ではCISPR25の構成要素の設定と試験環境のレイアウトの寸法をダイアログに入力することでエミッション計測の試験環境をモデル化し、規格試験に則った伝導ノイズレベルを評価しております。
こんな方にオススメします
- 車載部品の回路設計に携わっている方
- 試作前に伝導ノイズを見積もりたい方
- 基板の伝導ノイズの規格試験を実施している方
背景・課題
昨今、電子機器の高度化に伴い電磁両立性が求められています。電磁両立性を担保するためにCISPR25などの規格への適合が求められており、電磁界解析ソフトなどを使った事前の見積が有効です。
しかし、従来の電磁界解析ソフトをEMCの規格試験に適用する場合は、評価対象(PCB)以外にも試験環境(LISN、試験テーブル、電波吸収体など)をモデリングする必要があり解析の準備に工数がかかります。
SimYog Compliance-Scopeは試験環境自体がプリセットされておりレイアウト(テーブルの長さなど)を数値の入力によって変更できるためモデリングの工数を削減しつつ規格試験の解析結果を得ることが可能です。
解析対象
解析対象として降圧コンバータを使用しております。

図1 解析対象のPCBモデル
解析手法
CISPR25の構成要素(DUT/ケーブル/電源やLISNなどの負荷装置)の設定を行い、解析を実行します。

図2 設定項目の概要
CISPR25の構成要素の設定
・DUTの設定について
解析したいDUT(PCBモデル)をインポートし、ノイズ源となる素子が配置されているネットにノイズ波形(CSVファイル)を設定します。

図3 ノイズソースの設定
・Cableの設定について
Cable作成のダイアログから材料や寸法のパラメータを入力します。

図4 Cable設定のテンプレート
・負荷装置の設定について
DUT、Cable以外の電気回路構成(LISNや電源など)を作成します。

図5 負荷装置の設定
解析の実行
解析したい周波数範囲を入力し解析を実行します。

図6 解析実行ダイアログの設定
解析条件
・試験レイアウトについて
Compliance-Scopeでは規格試験のレイアウト寸法がプリセットされております。
本事例ではその設定を変更せずに使用します。

図7 試験レイアウトのテンプレート
解析結果
LISN1,2の端子に発生する電圧がCISPR25の伝導ノイズの限度を下回っていることが確認できます。

図8 解析結果と限度値の比較
また本解析ではCISPR25の試験環境でのコモンモード及びディファレンシャルモード電圧も出力が可能です。

図9 コモンモード、ディファレンシャルモード電圧の出力
解析の効果
今回は降圧コンバータに対してCISPR25の伝導ノイズ試験の解析を行い、規格を満足していることを確認しました。
このように、PCBモデルとノイズ波形をインポートし、いくつかのダイアログからパラメータを入力するだけで、簡単に規格試験の解析結果を得ることができます。設計段階で規格試験環境での解析を行うことで、PCBのEMC設計を最適化し、製品の規格合格に貢献することができます。
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