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赤外線センサーとは?仕組みやメリット・デメリットを解説!

赤外線センサーとは?仕組みやメリット・デメリットを解説!

私たちの日常に、もはや欠かすことができない「赤外線センサー」。
赤外線センサーはどのようなもので、私たちの生活をどのような形で支えてくれているのでしょうか。
意外と知られていない赤外線センサーの仕組みや特徴、メリットやデメリットなどについて、詳しく解説いたします。
こちらを読むと、目に見えない赤外線がぐっと身近に感じられるでしょう。

そもそも赤外線とは?

赤外線とは、身の回りにあるあらゆる電磁波のひとつで、目に見える可視光線よりも、波長が長い光のことです。
可視光線の赤い光のすぐ外側にある光なので「赤外線(赤い外の線)」といわれています。

人間の目には可視光線の電磁波しか見えませんが、夜行性のヘビなどは、赤外線を見る(感知する)ことができるといわれています(目で見るのではなく、ピット器官で感知する仕組みです)。

赤外線の種類

まずは赤外線の種類について紹介します。
赤外線は、波長によって3つの区分に分けられます。
(波長区分は学会によって若干異なります。)

近赤外線

約0.7〜2.5 μmの波長の電磁波(赤外線)。赤外線の中で最も赤色の可視光線に近い波長をもつ赤外線です。
赤外線カメラや監視カメラ、インターフォン、テレビやエアコンのリモコン、静脈認証(生体認証のひとつ)などに使われています。

中赤外線

約2.5〜4 μmの波長の電磁波(赤外線)。近赤外線と遠赤外線の両方の性質をもつ。 化学物質の特定などに使用されています。

遠赤外線

約4〜1,000 μmの波長の電磁波(赤外線)。電波に近い性質をもちます。
暖房効果が最も高い赤外線で、暖房器具やオーブントースター、サーモグラフィ、ナイトビジョン(夜間撮影システム)などで使用されています。

赤外線は体に影響があるか

ご紹介した通り、赤外線は身の回りにある電磁波のひとつです。
電磁波というと不安を感じる方もいるかもしれませんが、人が放つ熱放射も赤外線です。
身の回りのあらゆるものから赤外線は放出されており、危険なものではありません。

また赤外線のひとつ「遠赤外線」は、人の細胞と共振して、内部に素早く熱を伝えてくれる性質があります。
そのため、体を温めてくれる効果や血行を促進してくれる効果もあり、遠赤外線は人体へのメリットも大きいとも考えられています。

太陽光から発せられる光の中にも赤外線が含まれています。
地表に届く太陽光のうち、50%を占める赤外線ですが、その中でも可視光線に近い「近赤外線」は、長時間浴び続けると肌や目に多少の害があると考えられています。
ただし、エネルギーは非常に小さいため、長時間浴び続けなければ問題はなく、紫外線ほどの害はないといえます。

赤外線センサーの仕組み

赤外線は熱を伝える性質をもっています。人間などあらゆる物体は、絶対零度でない限り赤外線を発しています。
赤外線センサーは、赤外線を感知してスイッチが入る仕組みです。

多くの赤外線センサーはセンサーそのものが赤外線を発するのではなく、人や動物などが放つ熱放射(赤外線)の量や温度の変化を感知して、電気信号を送ることでセンサーが反応します。

赤外線センサーの特徴

赤外線センサーは、日々の生活で関わるさまざまな面で活躍してくれます。

メリット

生活を便利で安全なものにしてくれる、赤外線センサーのメリットの代表的なものをいくつかご紹介します。

節電効果がある

人感センサーは、人の温度や動きを感知して、スイッチのオン・オフをするので、照明の消し忘れや水の出しっぱなしなどを防げます。
必要なときだけスイッチが入る(明るくなる、水が出るなど)の仕組みは、無駄がなく節電効果につながります。

非接触(自動)でオン・オフができる

感染症の流行で、スイッチや物を触らずに作動できる赤外線センサーは重宝され、需要も増えています。
また、小さな子どもが届かないような場所にあるスイッチも、触らずにオン・オフができることは大変便利です。
夜、暗がりでスイッチを探さずとも電気がつくことなど、夜間の転倒を防ぐことにもつながり、便利なだけでなく安全面でも役立ちます。

防犯対策になる

赤外線センサーは、防犯対策にも有効です。
人を感知して作動するため、屋外の目の行き届かない場所や玄関などに、人感センサー付きのカメラを設置しておけば、犯罪行為の立証にも役立ちます。
また、不審者に防犯意識の高い家だと思わせることで、防犯効果も得られます。
人感センサーでライトが点灯されるものでも、急に明かりが付くことで相手をひるませ、防犯効果につながります。

デメリット

赤外線センサーの使用にあたって、デメリットも押さえておきたいところです。

設置に適さない場所がある

赤外線センサーは、直射日光や強い光が当たるところなどでは誤作動を起こしやすく、温度変化の激しい場所では、人がいない場合もセンサーが反応してしまうことがあります。

人以外も感知してしまう

温度変化を感知する赤外線センサーは、人以外の犬や猫などの動物も感知してしまいます。
例えば、夜間の屋内でペットを感知してしまうことや、屋外で野良猫などを感知して不審者かも?と勘違いしてしまうことも。
赤外線センサーは万能ではないということも知っておきたいポイントです。

赤外線センサーの種類

赤外線センサーの種類は、内蔵するシステムにより、熱型(非冷却型)赤外線センサーと、量子型(冷却型)赤外線センサーに分類されます。

熱型赤外線センサー

センサーが赤外線をキャッチして、熱に変換し、電気信号に変えて取り出すもの。
対象物の「温度」に反応するセンサーです。
感度、反応速度は量子型より劣るものの、常温で使えることが特徴です。

量子型赤外線センサー

キャッチした赤外線を、そのまま量子に変換するもの。
赤外線を「光」として感知するセンサーです。
熱型よりも反応が早く、感度も高いことが特徴。
高感度を生かすために、専用の冷却装置が必要となり、熱型よりもコストがかかる傾向があります。

赤外線センサーの用途

赤外線センサーは、生活のあらゆる場面で使用されています。
身近なものから、意外な場所で使われているものまで、代表的なものをご紹介します。

家(自宅)など

  • 照明(玄関、廊下、階段など)
  • テレビ・エアコンのリモコン
  • トイレの自動開閉ふた
  • 非接触の体温計
  • シニア(高齢者)の見守りシステム
  • 自動車(※後述)

商業施設(オフィスなど)

  • 自動ドア
  • エスカレーター(感知式のもの)
  • トイレなどの自動水栓、手洗い
  • ジェットタオル

街中

  • 信号機
  • 交通量の測定

このほか、夜間用監視カメラなど、さまざまなもので赤外線センサーが活用されています。

自動車分野では、車両周囲モニター、夜間撮像システム、エアコンシステムなど、赤外線センサーを応用したさまざまなシステムが導入されています。
赤外線センサーは夜間でも感知可能なことから、他のセンサーではカバーできない機能をもっているため、これからの自動運転においても、多様な役割を担うことを期待されています。

複雑な赤外線センシング技術の最適化を目指して

赤外線センサーの仕組みや種類などについてご紹介してきました。
身の回りに、もはや生活に欠かせないものとして幅広く活躍している赤外線センサー。
衛星や無人飛行機、ドローンなどで使用されていたり、生体認証や指紋認証などの個人認証システムなどでも活用されていたりと、赤外線センシング技術は拡大し続けています。

サイバネットシステムでは、赤外光学系のシミュレーションや最適化の依頼をお受けしております。

光学設計などのエンジニアリングサービスは是非サイバネットシステムにご相談下さい。
また具体的なサービス内容の一例については以下のページでも詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。

【参考サイト】 サイバネットシステム Speosラジオメトリック(赤外放射)ソリューション

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