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2022.6

日本国内の主なスマートファクトリーの事例を解説!

競争力低下や労働力人口減少などの課題を抱える製造業では、デジタル技術の進化とともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。
製造業のDXの文脈で鍵となる要素が、スマートファクトリーです。

そこで本記事では、スマートファクトリーの特徴やメリットをふまえた上で、国内のスマートファクトリーの事例を紹介します。
スマートファクトリーの導入を検討している方、国内のDXの最新トレンドについて興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

スマートファクトリーとは?

スマートファクトリーとは、工場内の設備機器や生産ラインをネットワークに接続させ、情報管理や生産性の効率化・最適化を図る工場のことです。
AIやIoT・ロボットやビッグデータの解析技術など、あらゆるデジタル技術を駆使し、設備同士・設備と人が連携することで、データを収集・分析し、最適な生産環境を目指します。

スマートファクトリーの概念は、2011年にドイツ政府が提唱した、製造業のIT化を推進するプロジェクト「Industry 4.0」をはじめとして、世界各国に広がりを見せています。
日本でも内閣府が掲げる「Society 5.0」で製造業のDXが叫ばれ、2017年には経済産業省が「スマートファクトリーロードマップ」を発表しました。

スマートファクトリーを導入するメリットは豊富にあります。
IoTのセンサ技術によって生産ラインが常に監視されれば、各作業員の作業内容や製品の品質が把握できるため、ヒューマンエラーを最小限に抑え、不具合発生時には迅速な対応が可能です。また、ロボット機器を導入することで人手不足を解消しつつ、AI技術により熟練技能者の動きを分析・マニュアル化すれば、技術の継承にも貢献できます。

さらに、デジタルツインもスマートファクトリーの実現を後押しします。
デジタルツインとは、現実世界の物理空間で起きている事象を、リアルタイムでネットワーク上の仮想空間に再現する技術のことです。
デジタルツインを活用すれば、設備の稼働状況や人員配置・在庫管理に関する情報をリアルタイムで把握しつつ、データの分析結果をもとに生産ラインを最適化しやすくなります。
仮想空間では繰り返しシミュレーションできるため、製品の開発や設計にかかるコスト・時間を削減可能です。

このようにスマートファクトリーは、生産性や品質の向上・コストの削減・人手不足や技術継承の課題に貢献します。スマートファクトリーの実現には、工場の状態を可視化するデータの収集・分析技術と、データの分析結果を用いた生産ラインの自動化・最適化システムが欠かせません。
スマートファクトリーを推進する製造業においては、データを適切に扱えるデジタル人材と、情報漏洩やサイバー攻撃などを防ぐセキュリティ対策が求められます。

国内の主なスマートファクトリーの事例

スマートファクトリーの実現には、デジタル技術の導入やセキュリティ構築などの課題が残ります。しかし、スマートファクトリー実現への動きは、すでに国内の複数の企業において進んでいます。

ここでは、国内の主なスマートファクトリーの事例を見ていきましょう。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所では、生産ロス改善や品質向上に向けた取り組みとして、各設備や機器からデータを収集し、製造工程を可視化する実証実験を行いました。
人による作業が多いATM・金融端末の板金加工工程においては、カメラやセンサによって人や設備の稼働状況・品質情報を収集しました。
収集したデータの分析結果は、無駄な動作の存在や時間を要している作業内容を割り出し、最適な生産計画・人員配置に役立つことが証明されています。

株式会社IHI

株式会社IHIでは、センサの小型化やネットワーク化を活かし、人と機械が協調するスマートファクトリーの実現に取り組んでいます。
ウェアラブル端末により作業員の体にかかる負荷を把握し、作業の割り当てを均等化しました。 また、機械は人の意図に合わせて適切に動作し、両者が相互補完的に作業することで生産性の高い工場の実現を図っています。

株式会社IBUKI

株式会社IBUKIでは、金型加工の技術伝承に向け、デジタル技術を活用したものづくりに取り組んでいます。
匠の技を形式知化した「ブレインモデル」は、現場の熟練技能者にヒアリングし、複数の知見を繋ぎ合わせて作成されました。

株式会社岐阜多田精機

株式会社岐阜多田精機では、射出成形立上げ時の成形条件出しや生産時の不良検出を目的として、金型にセンサーを取り付け、温度や圧力の変化を見える化するシステムを導入しました。
微小な欠陥や異物混入の検知、不具合発生時の原因究明の迅速化に効果が期待されます。
金型を使う成形機が変わっても通常の型換え作業のみで成形データの取得が可能であり、将来的なセンシングのコスト削減や、保守サービス・製造条件のコンサルティング分野まで踏み込んだ提案が実現できるとされています。

スマートファクトリーはものづくりDXのカギ

今回は、スマートファクトリーの特徴やメリットをふまえ、国内での導入事例を紹介しました。少子高齢化や人手不足などの問題を抱えつつも、消費者ニーズが多様化する現代では、効率的かつ正確にものづくりをする体制が重要となってきます。
デジタル技術が進歩しDXが推進される中で、スマートファクトリーの実現は大きなカギです。

弊社ではIoT等をはじめとする包括的なDXソリューションを提供しています。 スマートファクトリーの実現を目指している方、デジタル技術の導入に興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

サイバネットシステムでは、IoT化やデジタルツイン導入のサポートをさせていただいております。

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