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2021.11

スマートファクトリーとは?ロードマップや課題について解説

近年、産業界を中心に「スマートファクトリー」が注目を浴びています。
現代社会の人手不足や不景気に対処するためには、スマートファクトリーの導入は無視できません。

そこで本記事では、スマートファクトリーの概念や特徴を、初心者の方でも分かりやすく解説します。

スマートファクトリーとは

スマートファクトリーとは、データやデジタル技術を用いて、設計から製造・稼働、保守プロセスの「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を図った工場のことです。
スマートファクトリーでは、IoTやAIなどの技術の導入により、工場内設備を可視化・自動化することで、データの分析や品質・生産性の向上を実現します。

スマートファクトリーの概念は、ドイツ政府による「Industry 4.0」の構想から生まれました。
Industry 4.0では、IoTによる機械や人間の相互運用性・分析による情報の透明性・ロボットや情報システムによる技術的補助・分散型意思決定が指針とされています。
ドイツでは政府主導の指針をもとに、各企業でスマートファクトリーの取り組みが行われ、一定の成果を上げています。

高齢化社会で人材不足や専門的な技術を持った技術者の減少が進む日本でも、スマートファクトリーは重要な議題となっているのです。

スマートファクトリーの4つのメリット

では、スマートファクトリーを導入するとどのような恩恵がもたらされるのでしょうか。
ここでは4つの主なメリットを見ていきましょう。

製造プロセスの可視化

カメラやセンサを駆使したIoTにより、工場内設備や機器の作動状況を把握したり、人の動きを確認したりできるようになります。
工場全体から各製造ラインまで様々な単位でモニタリングすることで、必要なデータをリアルタイムでどこでも共有可能です。
集めたデータの分析により、従来見えなかった改善ポイントを発見し、生産性の向上に努めやすくなります。

人材育成・技術継承

少子高齢化社会では、正確な技術力と的確な判断力をもった熟練工が不足しています。
スマートファクトリーでは、従来感覚的に受け継がれてきた技術を、データの裏付けのもと記録・保存し継承可能です。
技能やノウハウをデータベース化することで、人材育成に貢献できます。
また、深刻化する人手不足の解消にも繋がるでしょう。

予防保全・稼働の安定化

IoTやAI、5GやAR・VRなどの最新技術を活用すれば、デジタルツインが実現できます。
デジタルツインでは、現実空間のデータを仮想空間にミラーリングすることで、将来の事象の推測が可能です。

この予測機能により、機器や製品の不具合・故障が起きる前に異常を探知し、未然に防ぎやすくなります。 結果的にダウンタイムを削減し、製造ラインをストップさせません。

関連記事:デジタルツインとは?5つのメリットを徹底解説

企業内の連携強化

工場で取得したデータは現場だけでなく、設計部門や営業部門とも共有できます。
企業内での連携を図りやすくなり、生産計画や設備投資、在庫管理などの判断が瞬時に可能になります。

スマートファクトリーにおける経済産業省のロードマップ

2017年5月に経済産業省は「スマートファクトリーロードマップ」を発表しました。 これは各企業に対し、ものづくりのスマート化に向けた方向性やレベルを提示するための調査研究です。

ロードマップではまず、「コスト削減」「生産性向上」など企業が日頃取り組んでいるスマート化の目的を項目ごとに整理しています。
それぞれの目標に対し、データの収集・蓄積、データによる分析・予測、データによる制御・最適化の3レベルに分けて、IoTやロボットをどのように活用すべきか示しています。 また、ものづくりのスマート化に取り組んでいる企業の先行事例を紹介し、成功のポイントをまとめています。

ロードマップの項目の一例が「品質の安定化」です。
素形材加工企業の生産プロセスにおいて品質の安定化を図るためには、センサによるモニタリングで品質データを収集し、加工誤差の要因を特定後、加工改善モデルを用いて最適化するというステップが提示されています。

スマートファクトリーの課題

効果が大きく注目を浴びるスマートファクトリーですが、実現にあたっては依然として課題が残っています。 導入する企業は以下の点を留意しなければなりません。

スマートファクトリーの実現には、様々な機器・設備のIoTによるネットワークの構築が欠かせません。 大幅なコストや時間がかかる点で導入までのハードルが高いと言えます。 また、スマートファクトリーはあくまで手段であるため、データ収集の目的を明確にし、情報を活用するためのノウハウや専門の技術者が必要です。 そして、得たデータを損失したり悪用されたりしないための、強固なセキュリティが求められます。
サイバー犯罪が横行する社会では、安全性の確保も重要な課題です。

工場のデジタル化でスマートな運用を

いかがでしたでしょうか。
今回はスマートファクトリーの実態や特徴、効果などを解説しました。
未だ課題は残るものの、デジタル社会ではスマートファクトリーのさらなる普及が予想されます。
製造ラインのスマートファクトリー化をご検討の方は、サイバネットシステムまでお気軽にご相談ください。

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