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2022.6

デジタルツインの業界別の活用方法と最新事例を紹介!

AIやIoTなどデジタル技術に関する話題が盛り上がる中、特に注目されているのが「デジタルツイン」です。
従来、現実空間では難しかった膨大な情報収集・分析・シミュレーションも、デジタルツインを応用することによって可能性が広がります。

本記事では、デジタルツインの仕組みやメリットを解説した上で、業界ごとの活用事例や実際の最新導入事例を紹介します。
社内や工場内のデジタル化を図りたい方、デジタルツインの構築に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

デジタルツインとは

デジタルツインとは、現実世界の物理空間をコンピューター上の仮想空間に作り出す技術のことです。IoT(Internet of Things)やAI・ARやVRなどの最新デジタル技術を駆使して、物理空間の構造や状況を忠実にバーチャル世界に再現することから、「ツイン(双子)」という言葉が用いられています。

デジタルツインは、物理空間の変化をリアルタイムで反映させる点で、他のシミュレーション技術と異なります。IoTによって集めたビッグデータをAIが分析し、物理空間で起きている細かい事象も把握できます。仮想空間での発見や気づきは、インターネットを通して物理空間に働きかけられるのもポイントです。

デジタルツインを取り入れることで、トラブル発生時の原因特定や業務の効率化・人員配置の最適化が可能です。
また、仮想空間では費用や規模などの制限にとらわれることなく、様々なシミュレーションに取り組みやすく、新たなビジネスモデルやサービスの打ち出しにも役立ちます。

業界別の活用事例

デジタルツインが注目を集める背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の普及が挙げられます。
DXとは「デジタル技術を用いて人々の生活やビジネスをより良いものへと変化させる」という概念のことです。
あらゆる業界においてDXが進む文脈で、デジタルツインの導入もスムーズになっています。ここでは、業界別のデジタルツインの活用事例を見ていきましょう。

製造業

現在、デジタルツインが最も活用されている業界の一つが製造業です。
製造業においては特に、工場での生産過程にメリットが大きいとされています。

生産ラインの稼働状況をリアルタイムでモニタリングすることで、トラブルの原因を瞬時に特定し、改善策を打ち出しやすくなります。また、設備の状態を常に把握することによって、わずかな部品の異常を検出しやすくなるため、故障前のメンテナンスも可能です。

さらに、生産ラインの人員の動きや在庫状況を可視化すれば、人員配置や在庫管理を最適化し、リードタイムを短縮したり、生産コストを削減したりできます。

デジタルツインは生産過程だけでなく、流通後のデータの取得も可能です。 製品に取り付けたセンサーにより使用状況を把握し、最適なタイミングでのアフターサービスの提供や、顧客のニーズに合った製品の開発に役立てます。

新製品の開発や生産モデルの設計時には、仮想空間で何度も試作・シミュレーションできるため、コストやリスクを抑えやすいのもデジタルツインの特徴です。

建設業

建設業界においてもデジタルツインの活用が目覚ましいです。

建築分野においては、コンピューター上に建物の3Dモデルを構築するBMI(Building Information Modeling)にデジタルツインを応用し、風向きや風力などの気象情報や作業員の人数・配置情報、建設機械の稼働状況などのデータを反映させ、作業の効率化や安全性の向上に役立てられています。

また、土木分野においても、ドローンで撮影した空中写真の地形データからデジタルツインを構築し、測量プロセスを効率化させています。

都市開発

スマートシティ構想が推進される都市計画においても、デジタルツインが果たす役割は大きいです。

開発エリアのビル・住宅・公園・道路などを単に3D化するだけでなく、交通量や人流・環境・建物の用途や築年などの様々なデータを、デジタル空間上に反映させています。
シミュレーションの結果に応じた工事や対応を現実空間で行うことで、常に都市のアップデートが図られます。

デジタルツインによって構築された3D都市モデルは、インフラの管理や物流・人流の最適化、渋滞の解消、エネルギー効率最大化、防災や環境のシミュレーションにも有効です。

農業

世界的な食料問題や農家の高齢化・後継者不足が深刻化する中で、デジタル技術の活用が注目されています。

デジタルツインを活用し、農作物の栽培環境を仮想空間に再現することで、栽培のシミュレーションが可能となります。これにより、遠隔地から栽培状況をモニタリングし、非対面・非接触で栽培指導できるようになります。
また、仮想空間上での果実の個数計測や熟度の推定、病害虫診断も可能です。農業ハウスの間取りをシミュレーションすることによって、農業資材の見積もりや収穫予測の算出も行え、コストの削減や作業効率化に繋がります。

災害対策

デジタルツインの研究は、災害発生時の対応にも活かせると考えられています。 人流や空間に関するデータと、大規模災害の予測技術やリスク研究データを組み合わせることで、より高精度な被害予測モデルを構築できます。
また、被害予測をもとに災害発生時の対応方針を策定したり、インフラの安定供給や情報管理システムを構築したりと、被害を最小限に抑えるための取り組みにも有効的です。

デジタルツインの最新事例

実際の企業では、デジタルツインがどのように活用されているのでしょうか。
以下で、デジタルツインの活用に成功した最新の事例を見ていきましょう。

鹿島建設

2020年に竣工した大阪・オービック御堂筋ビルの新築工事では、建設の企画・設計・施工・維持管理・運営など全プロセスにおいてデジタルツインを取り入れました。

企画・設計段階では、ビル風の影響をシミュレーションしながら実際のビル設計に反映させたり、施工段階では、ビルをモジュール単位で組み立てる「モジュールコンストラクション」をデジタルツイン内で試行しました。

富士通

富士通では、より安全で快適なモビリティ社会を実現するため、デジタルツインの活用を推進しています。
車の走行状況や車両状態・道路や事故情報をリアルタイムで仮想空間に反映し、高精度の事故解析や運転アシスト、渋滞マップ配信など、様々なサービスを実現しました。

PLATEAU

国土交通省が中心となり、3D都市モデルの整備・活用を進めるプロジェクトです。
視覚性や説明力が高い、立体情報をもった都市空間をデジタル世界に実現することで、幅広く精密なシミュレーションを目指しています。

PLATEAUの一例として、東京海上日動火災保険と応用地質は、浸水エリア予測と実測データを組み合わせた「リアルタイム浸水情報」と呼ばれる防災サービスを共同開発しました。

デジタルツインの構築はサイバネットにお任せください

今回は、デジタルツインの仕組みや役割を踏まえた上で、業界別の活用方法や企業の最新導入事例を紹介しました。
DXが進む社会では、今後さらにデジタルツインを活用する企業が増えるでしょう。 デジタルツインの構築を検討の際は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

サイバネットシステムでは、IoT化やデジタルツイン導入のサポートをさせていただいております。

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