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2021.11

デジタルツインとは?5つのメリットを徹底解説

「デジタルツイン」という用語を耳にした経験はあるでしょうか。
私たちの日常生活をより豊かにしてくれる技術の一つが、デジタルツインです。

本記事では、デジタルツインの定義や効果をチェックしながら、現代社会での役割を解説します。
スマートファクトリーやIoT化に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

デジタルツインとは

ここではまず、デジタルツインの定義や活用法を見ていきましょう。

定義

デジタルツインとは、フィジカルな現実空間で得たモノや環境にまつわるデータを、サイバー空間上に移管し再現する技術概念を指します。 リアル空間でセンサーデバイスなどからIoT技術を駆使して得たデータ・情報を、鏡のようにそっくりサイバー空間に反映させるためデジタルツイン、つまり「デジタルの双子」と名付けられています。 IoTの進歩により、現行のデータを自動でしかもリアルタイムで取得し続けられるようになったため、デジタルツインの実現が可能となりました。

活用法

デジタルツインによって、現実空間をモニタリングするだけでなく、サイバー空間において現実空間での近未来の事象を推測・予測できます。
実際に東京都は、デジタルツインを導入したSociety 5.0に向けた戦略を発表しており、行政やビジネスの分野でデジタルツインのさらなる普及が予想されます。

東京都デジタルツインプロジェクト

デジタルツインの5つのメリット

デジタルツインを導入すると、産業界に大きな利益があります。
ここでは、製造現場や製品のライフサイクルにおける効果を見ていきましょう。

予防保全

従来、製造ラインや製品に何らかのトラブルが発生した際、現場からの調査報告や顧客からのフィードバックをもとに、原因の究明と改善が行われてきました。

一方でデジタルツインを導入すると、製造機器の稼働状況を同時進行で把握でき、故障予測を行うことで、ダウンタイムが縮小されます。
さらにARを導入すれば、機器の効率的なメンテナンスが可能です。

製造ラインが正常に作動することによって、人員を適材適所に割り当てられます。

品質保証

デジタルツインを導入すると、ビッグデータ解析や可視化による複合的要因の分析により、製品の不具合を特定しやすくなります。
また、現実空間では限界のあった試作や試験を仮説空間で繰り返し行え、品質向上や顧客の満足度アップに貢献します。

コスト・リスク削減

デジタルツインを導入すると、サイバー空間での試作・試験により、開発・設計段階でのコストを削りやすくなります。 また、新しい開発・設計を始める前に、必要なコストや人員の試算も可能です。
結果的に開発リスクを抑えながら、短期間での製造が期待できます。

デジタルツインでは、ARやVRを用いたバーチャルデザインレビューも効果的です。

販売効果・売上アップ

サイバー空間で製品デモを実現できるため、より多くの消費者に対し製品やブランドの価値を訴求できます。
遠方で実機を触れない、もしくは機械が大きく移動ができないといった場合でもより多くの人に製品の接触機会を設けることが可能です。
これにより引き合い機会を拡大しながら、顧客獲得・売上アップに貢献します。

アフターフォローの充実化

デジタルツインを採用すれば、製品が顧客の手に渡った後も仮想センサーによってデータを取得し、製品状況の把握・寿命予測が可能です。
製品のバッテリー消耗具合や部品の使用状況に合わせて、適切なタイミングでサポート案内を自動で送信し、きめ細やかなアフターフォローを提供できます。

また、ARを導入した仮想マニュアルにより、顧客自身が製品の正しい取扱方法を把握しやすくなるといったサポートの充実度も増します。

デジタルツイン・シミュレーションの違い

デジタルツインは、現実空間における未来の変化を、サイバー空間での実証試験により推測するという点で、シミュレーション手法の一種です。
シミュレーションの欠点を補完したさらに高度な手法であると言えます。

一般的なシミュレーションとは、現実空間での事象を異なる場所で再現し、データを集め効果を推測する手法を指します。 再現場所はサイバー空間に限りません。実在する他の土地や施設などで実験を行うケースもあるでしょう。
また、シミュレーション前には人があらかじめ仮説を立て、実証実験では入力・記録作業を行った上で、解析にもある程度の時間がかかります。 結果的に、現実空間とのタイムラグが生じてしまうケースも考えられます。

一方でデジタルツインでは、現実空間をミラーリングしたサイバー空間で解析・推測します。
IoTやAIの働きにより、現実空間と全く同じ環境が同時進行で反映されるため、人による仮説立てや作業の手間がかかりません。
解析データをもとに、適したタイミングでリアルタイムに現実空間へのフィードバックが可能です。

サイバネットシステムでは、既存のCAE解析の技術を基に製造業などでIoTやスマートファクトリーを展開し各企業の課題や目的に合わせた「シミュレーションベースのIoT/デジタルツイン」をご提案し、現実空間と仮想空間の融合を実現します。

デジタルツインを支える技術

デジタルツインは、様々な技術により支えられています。
ここでは、その作動に外せない技術を見ていきましょう。

IoT

IoTとはInternet of Thingsの略であり、モノがインターネットと接続して通信機能を持ち、相互に制御する仕組みのことです。
デジタルツインでは、センサーや監視カメラ・ドローンなどにより、現実空間の建物や自動車・家電などからデータ・情報が取得され、サイバー空間に送信されます。

関連記事:IoTの今後の予測とその将来性。課題についても解説

CAEによるシミュレーション

物理的にセンサーを設置することができない場合でも、取得したデータを元にCAEでシミュレーションすることによって、現実世界では得られない情報もリアルタイムで算出し、フィードバックすることで、物理空間と仮想空間の融合を実現します。

AI(人工知能)

デジタルツインにおいて、クラウド上に送られたデータ・情報はAIにより解析され、将来の推測に役立てられます。
]AIはIoTで得た莫大なデータを高精度かつ効率的に解析可能です。

5G

デジタルツインにおいて、現実空間とサイバー空間を繋げる通信手段として期待されているのが5Gです。
私たちの日常生活でも普及し始めた5Gは、大容量のデータを従来よりも高速・低遅延で送受信します。

AR・VR

サイバー空間でのデータ・情報の解析結果を、現実空間にフィードバックする表現技法がARやVRです。
ARやVRでは、サイバー空間をよりリアルに視覚的に表します。

デジタルツインで従来の課題を解決

いかがでしたでしょうか。
今回はデジタルツインの特徴や利点、仕組みを解説しました。
産業問題や社会問題の解決策として、デジタルツインは多様な現場で導入されています。
サイバネットシステムでは、IoT化やデジタルツイン導入のサポートをさせていただいております。

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