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製品情報

Vuforia®

産業向けAR(拡張現実)ツール

製品概要

Vuforiaは企業における作業員教育を改革する強力な産業向けAR(拡張現実)ツールです

「Vuforia」は、米国ボストンを拠点とする、産業向けARソリューションにおけるリーティングカンパニーであるPTC社によって開発が進められているエンタープライズARプラットフォームです。アプリケーション開発者向けAR開発エンジンから、現場で今すぐ利用可能なARリモート支援ツールやAR作業支援ツールに至るまで、幅広い利用シーンに対応するARソリューションが「Vuforia」シリーズとして提供されています。

Vuforiaの3つの特徴

特徴① AR(拡張現実)コンテンツの作成が早く簡単に

Vuforiaは、AR(拡張現実)とコンピュータビジョンの強力なソフトウェア開発プラットフォームです。画像処理などの高度な専門知識がなくても、スマートフォンやタブレットなど様々なデバイス向けのARコンテンツ作成を可能にします。ソフトウェア開発者向けの「Vuforia Engine」をはじめとして、プログラミング知識のない方でもアイデア次第で様々なARコンテンツが作成できる「Vuforia Studio」、ARを活用した作業手順書を誰でも簡単かつ迅速に作成することができる「Vuforia Expert Capture」など、利用シーンや目的に応じた様々なソリューションを提供しています。

特徴② 現実空間を認識するための高度なコンピュータビジョン技術

産業向けARコンテンツにおいては、作業対象となる製品や装置の上にデジタル情報を正しい位置に重ね合わせ表示するための高度な空間認識性能が要求されます。Vuforiaにおいては、従来の画像マーカーなどによる位置合わせ(イメージターゲット)はもちろん、CADデータを元にした高精度な物体認識(モデルターゲット)、スマートフォンに搭載されたLiDARセンサーによる3Dスキャンデータを元にした空間認識(エリアターゲット)など、対象物の状況に合わせた様々な空間トラッキング技術を利用することができます。

特徴③ マルチプラットフォーム対応

OSベンダー各社が提供するAR技術は利用するデバイスごとに仕様が異なり、デバイス別にコンテンツ開発を行うための多大な工数やコストが発生するなど、業務でARを活用したい企業にとってはこの事が大きな障壁となっていました。VuforiaはiOS、Androidなどの主要なスマートフォン、タブレットをはじめとして、Microsoft社のHoloLens 2や、RealWear社のスマートグラスなど、数多くのデバイスに対応可能であるため、コンテンツ開発担当者の負担を大幅に減らす事ができます。

製造業における人材不足製造業では情報伝達の手段としてARが求められています。

熟練工の高年齢化と生産年齢人口の減少

近年は少子高齢化により生産年齢人口が大きく減少している上、製造業は3K(きつい・汚い・危険)といったイメージもあり、人材不足が顕著になっています。また、熟練工の高年齢化も進んでおり、後継となる技術者がなかなか見つからないといった問題も生じています。

派遣労働者・外国人作業員の増加

人材不足を解消する手段として、最近は派遣社員や外国人作業員を採用する企業が増えています。しかし、これらの人材は離職率が高く短期間で入れ替わったり、多言語対応が必要になったりするため、教育の手間が多くかかってしまいます。

顧客ニーズの多様化

顧客ニーズの多様化に伴い、多品種少量生産への需要が高まっています。この傾向は生産対象製品の種類を増やし、作業工程を複雑化させることで、作業指示書の作成にかかる工数を増加させています。その結果、マニュアルの整備が遅れ、属人化を促進する問題に繋がっています。

AR導入のメリット

熟練工の技術をわかりやすく伝える

ARを教育に活用すれば、熟練工の技術伝承が容易になります。熟練工の技術には暗黙知が多く、言葉や単純な画像では表現できません。その点ARであれば、効率的な移動順序を空間上に直観的に表示しながら、熟練工の視点で撮影した動画なども合わせて活用しながら、経験に基づくカンコツを音声でも伝える事で、まるで熟練工が常に新人作業員に寄り添って指導しているかのようにスムーズに学習を進める事が可能になります。

3D-CADデータ資産の活用

近年、製造業においては、3D-CADを用いた三次元設計が主流となっています。
従来広く使われてきた 2D-CAD を用いた設計においては、平面図から完成された製品の立体的な構造をイメージする事は、製図を読み解く専門的な知識を持ち、経験を積んだエンジニアでなければ非常に困難な作業でした。一方、視覚的な分かり易さという特徴を持つ3D-CADにおいては、技術的なバックグラウンドを持たないデザイン部門の担当者はもちろん、全くの素人であるお客様に対しても完成予想イメージが一目で分かるため、単なる設計データ以上の価値を持つ資産として、様々な領域での活用検討が進んでいます。特にAR領域においては、保守点検作業や、生産ラインの段取り替え作業などにおいて、3D-CADデータを元にしたARによる作業手順書が大きな価値を生んでいます。

遠隔地からの現場作業の支援

昨今では、Zoom や Microsoft Teams などのビデオコミュニケーションツールが日常的に使われていますが、単に会議室同士を結んだリモート会議に留まらず、現場にいる作業員に対して社内から指示を行ったり、在宅勤務中の熟練者が新人作業員にアドバイスを行ったりする手段としても広く利用されています。しかしながら、実際に指示やアドバイスを行う側にとっては、従来のような映像や音声によるコミュニケーションだけでは、やるべき作業内容は伝えられても、その内容が実際の現場のどの装置やどのボタンについて指示しているのかが正確に伝わらず、誤操作を招いてしまったり、何度も口頭で確認を繰り返す事によって時間がかかったりする事があります。ARリモート支援ソリューションを導入する事で、動画や音声に加えて、AR技術による視覚的なコミュニケーションによって、現場作業員が瞬時に作業対象となる箇所を把握できるようになります。

Vuforiaには利用する現場や目的に合わせた様々なARソリューションが用意されています。

遠隔支援(Vuforia Chalk)

  • ビデオ通話にAR機能が追加されたAR遠隔支援ソリューション
  • 作業現場のカメラ映像にARで書き込みしながらビデオ通話ができる
  • おすすめユーザー:遠隔地のサポートが多い/出張費を減らしたい/ビデオだけでは伝わりづらい

Vuforia Chalkは、通常のビデオ通話の映像と音声によるコミュニケーション機能に加えて、ARアノテーションと呼ばれる機能が備わっている事が特徴となっており、支援を行う側の熟練者が、画面を指でなぞって丸や矢印を描くだけの簡単な操作で、現場の作業員に対して、操作を行うボタンの位置や、点検を行うべき計器の位置などを瞬時に伝える事ができます。言葉による指示だけでは何度も確認を繰り返さなければならなかったりするような作業であっても、視覚に訴える事により、スムーズなコミュニケーションを行う事ができ、作業時間の短縮や操作ミスの低減が期待できます。

作業指示マニュアル作成(Vuforia Expert Capture)

  • ARマーカーによる視覚的なガイドで、作業箇所を瞬時に把握
  • ARや動画を活用したマニュアル作成・更新・配信が簡単に行える
  • 作業結果の記録やコメントの入力も可能

Vuforia Expert Captureは、ARマーカーと呼ばれる視覚的なガイドによって、作業の対象となる箇所を直感的に瞬時に把握できるため、新人作業員の教育にかかるコストを大幅に軽減するだけでなく、熟練者にとっても、作業時間の短縮や、作業手順の順序や内容を標準化する事による効率化に繋がります。また、動画や画像なども活用した作業指示のコンテンツが誰でも簡単に作る事ができる事に加えて、内容の更新が必要となった場合であっても、直ちに作業者の端末に修正版を反映できます。

汎用ARコンテンツ作成(Vuforia Studio)

  • プログラミングが不要で、ブラウザ上でARコンテンツ制作可能
  • 3Dアニメーションの再生ができ、IoT連携も可能
  • おすすめユーザー:CADデータを活用してマニュアルを作成したい

Vuforia Studio は、簡単な操作でCADの3Dモデルや画像、ビデオなどを取り込んで、ARコンテンツを直感的な操作で迅速に作成していくことができます。シンプルなシナリオの商品説明や、作業指示のようなARコンテンツであれば、プログラミングコードを1行も書くことなく作成が可能であるため、専門のエンジニアがいなくても、自社内で様々な目的のARコンテンツを作成する事ができます。また、大規模な3D-CADデータに対しては、ポリゴン数の削減などの最適化機能も備わっており、事前の3Dデータ加工の手間を大幅に削減できることも特徴となっています。

アプリケーション開発(Vuforia Engine)

  • アプリケーション開発者向けのフルスクラッチの開発環境
  • Unityで開発
  • 多彩なAR表示方法を搭載

2D画像認識による空間トラッキング

Vuforia Engineでは様々な2次元画像に対してARを表示させることが可能です。単純な平面画像を認識する「Image Target」を始め、多面体を認識して各平面にARを表示する「Multi Target」、円筒形の物体に貼られた画像を認識する「Cylinder Target」、事前設定した特定のマーカー画像を認識する「VuMark」などの機能があります。

3D物体認識による空間トラッキング

Vuforia Engineでは3次元に対する認識機能も豊富に有しています。読み込んだ3D-CADデータを基に物体を高精度で認識する「Model Target」、3Dスキャナでスキャンしたデータをもとに空間を認識する「Area Target」などの機能があります。

IoTプラットフォーム(ThingWork)との連携

PTCが提供するIoTプラットフォーム「ThingWork」と連携させて、AR上にIoTで得たデータを表示させることも可能です。例えば各種センサーや制御機器などにスマートフォンのカメラをかざすことで、製品情報やリアルタイムのデータを表示できます。さらにスマートフォン側から機器を制御することも可能なので、機器の利用の幅が格段に広がります。

Vuforiaの導入事例

トヨタ自動車様

導入背景
トヨタ自動車では、全世界に点在する工場の生産ラインを管理する上で、セキュリティ上自由な記録が行えず、遠隔地への情報伝達が難しいという課題を持っていました。遠隔地からは詳細な状況が分からないため、トラブル発生時は技術者が直接赴いて現状を把握する必要があり、技術者にとっては大きな負担でした。

効果
「Vuforia Chalk」を導入することで、技術者の出張を格段に減らすことができています。ビデオ会話に適宜マーカーを入れながらコミュニケーションすることで、口頭では伝わらなかった現場の状況を正確に把握でき、技術者が遠隔地から適切な指示を出せるようになりました。また、セキュリティ性を担保するために、アプリ仕様をカスタマイズしました。

 

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ファイザー・ファーマ様

導入背景
ファイザー・ファーマ名古屋工場では、教育や技術伝承における課題を抱えてきました。新人教育ができる熟練の技術者の不足や、多品種少量生産体制へのシフトによる教育の複雑化などにより、人材教育の負担は日々大きくなる一方でした。

効果
「Vuforia Expert Capture」を採用し、作業者の習熟度向上に向けた取り組みを行っています。現在は試験運用の段階であり、作業の「良い例」と「悪い例」を比較提示するなど、効果的な使い方を検討している状況です。生産速度の向上が期待できると評価されています。

 

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